1972年最高裁判所裁判官国民審査

1972年最高裁判所裁判官国民審査(1972ねんさいこうさいばんしょさいばんかんこくみんしんさ)は、1972年昭和47年)12月10日第33回衆議院議員総選挙と共に執行された最高裁判所裁判官国民審査

総論[編集]

7人の最高裁判所裁判官に対して国民審査が行われ、全員罷免しないとされた。投票率は67.61%であった[1]沖縄返還後に行われた初めての国民審査であり、沖縄県の有権者が初めて国民審査に参加した[2]

下田武三に対する最低の罷免を可とする率の15.17%は歴代最高である。なお、下田は駐米大使時代に「沖縄の核兵器付き返還が現実的」旨の発言をしていたため沖縄での反発は強く、沖縄県内54市町村のうち6市町村(大宜味村浦添市大里村粟国村北大東村下地町)で最低の罷免を可とする率が過半数を上回った[3]

罷免を可とする率が高かった裁判官(下田武三)と罷免を可とする率が低かった裁判官(天野武一)との差が3.75%となり、歴代最大差となった[4]

国民審査の結果[編集]

裁判官 罷免を可とする票 罷免を可としない票 罷免を可とする率
小川信雄 5,785,545 39,651,383 12.73%
坂本吉勝 5,648,869 39,790,243 12.43%
岡原昌男 5,549,661 39,889,890 12.21%
藤林益三 5,797,873 39,941,806 12.68%
下田武三 6,895,134 38,545,096 15.17%
岸盛一 6,631,339 38,809,005 14.59%
天野武一 5,190,989 40,248,926 11.42%

脚注[編集]

  1. ^ 西川 2012, p. 77.
  2. ^ 西川 2012, p. 142.
  3. ^ 西川 2012, p. 218.
  4. ^ 西川 2012, p. 100.

参考文献[編集]

  • 西川伸一『最高裁裁判官国民審査の実証的研究 「もうひとつの参政権」の復権をめざして』(第1刷)五月書房、2012年1月27日。ISBN 978-4772704960 
  • 野村二郎『最高裁全裁判官 人と判決』三省堂、1986年9月。ISBN 978-4385320403 

関連項目[編集]