御池岳

御池岳
頭蛇ヶ平から望む冬の御池岳
標高 1,247[1] m
所在地 日本の旗 日本
滋賀県東近江市
三重県いなべ市
位置 北緯35度10分43秒 東経136度24分54秒 / 北緯35.17861度 東経136.41500度 / 35.17861; 136.41500座標: 北緯35度10分43秒 東経136度24分54秒 / 北緯35.17861度 東経136.41500度 / 35.17861; 136.41500[1]
山系 鈴鹿山脈
種類 堆積岩石灰岩
御池岳の位置(日本内)
御池岳
御池岳の位置
プロジェクト 山
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御池岳(おいけだけ)は、滋賀県東近江市鈴鹿国定公園内にある標高1,247 m。山腹の北東面は三重県いなべ市との境界に位置する。鈴鹿山脈および東近江市の最高峰

概要[編集]

山体は古生層の石灰岩からなり[2]藤原岳とともに鈴鹿山脈の北部石灰岩地帯に位置する[3][4]。南北約3km、東西数百mの広い平らな空母のような山容の山頂部は「テーブルランド」と呼ばれている[3][4][5]。山頂部には多くのドリーネの池とカレンフェルトが点在するカルスト地形が見られる[3][6]。最大の池は、日本庭園近くの元池で、その南東には真ノ池がある。山頂部は丸山とも呼ばれ、山頂の西端には、ボタンブチ及び天狗の鼻と呼ばれる、崖の上の展望地がある。山頂からは御在所岳など鈴鹿山脈のほとんどの山が望める。遠く伊吹山乗鞍岳御嶽山中央アルプス恵那山南アルプスなどを望むこともできる。麓の犬上郡多賀町などでは雨乞いの神事が行われている[4]。「東近江市八景」[7]および関西百名山の一つに選定されている[8]。別称が御池、丸山[4]

環境[編集]

冬は西側が琵琶湖のため、日本海側の気候の影響が強く積雪があり、山頂では樹氷が見られることがある[3]。その他の季節は伊勢湾に近いため、太平洋側の気候となる。登山口のある国道306号の鞍掛トンネル周辺は、冬期は積雪のため閉鎖される[9]

1968年昭和43年)7月22日に、鈴鹿山脈の主な山域は鈴鹿国定公園指定された[10]。山頂周辺ではササ枯れが進んでいて、オオイタヤメイゲツ(学名:Acer shirasawanum Koidz.)が点在している[4]1983年(昭和58年)に朝日新聞社と森林文化協会により、山頂部の北側に分布する[11]「御池岳オオイタヤメイゲツ群落」が『21世紀に残したい日本の自然100選』の一つに選定されている[12]1980年(昭和55年)に田中澄江は御池岳を花の百名山のひとつに選定し、代表する花としてヤマエンゴサクなどを紹介した[13]。他にもアケボノソウイワカガミエンレイソウカタクリキクザキイチゲサワギクタチツボスミレトリカブトニリンソウバイケイソウフクジュソウリンドウなど多くの花が登山道周辺で見られる[3][14]。石灰岩帯特有の植物が多い[6]。周辺の山域にはイヌワシクマタカニホンカモシカニホンジカが生息し、「御池岳鳥獣保護区」に指定されている[15]。鈴北岳との鞍部にある鞍部付近の平坦地は笹枯れが進みコケ類絨毯のように生育し、その様相から「日本庭園」と呼ばれている[16]

登山[編集]

鈴鹿山脈最高点の御池岳山頂、東側に養老山地が望める。石灰岩が点在する。

各方面からの登山道が開設されていて、最短のルートは三重県側国道306号のコグルミ谷からのルートである[3][4][5][16][17][18][19][20]。山頂からは東側に養老山地が少し見える程度で展望はあまりよくない[3]。山頂の南側に崖の上の岩場は「ボタンブチ」と呼ばれ、そのすぐ北側の岩場は天狗鼻と呼ばれている[5]。奥の平やボタンブチでは西方などの展望が開け、琵琶湖を望むことができる場合がある。コグルミ谷のルートでは春先多くの花が見られる[19]

  • コグルミ谷登山口 - 長命水 - 天ヶ平(カタクリ峠[注釈 1]) - 真ノ谷 - 御池岳
  • コグルミ谷登山口 - タテ谷(難路) - 鈴北岳 - 日本庭園 - 真ノ池 - 御池岳
  • 国道306号鞍掛トンネル東登山口(三重県側) - 鞍掛峠 - 鈴北岳 - 日本庭園 - 真ノ池 - 御池岳
  • 国道306号鞍掛トンネル西登山口(滋賀県側) - 鞍掛峠 - 鈴北岳 - 日本庭園 - 真ノ池 - 御池岳
  • 藤原岳登山口 - 藤原山荘 - 天狗岩 - 頭蛇ヶ平 - 天ヶ平(カタクリ峠) - 真ノ谷 - 御池岳

地理[編集]

鈴鹿山脈の主稜線から南に派生する尾根にある。その尾根の北西には鈴ヶ岳(1,130 m)、南東には土倉岳(1,049 m)があり、ヒノキ - 旭山 - 岳への尾根が南西へ延びる[20]。西側には御池川を挟んで滝谷山 - サンヤリ - 天狗堂 - 日本コバへと延びる鈴鹿山脈から派生する尾根が対峙している[20]。東側には員弁川を挟んで養老山地が対峙している。伊吹山金糞岳に次ぐ滋賀県で三番目に高い山。山頂の最高点は、三角点が設置されていない標高点である[1]。山頂の約0.4 km南東の標高点1,241 mである小ピーク周辺は「奥ノ平」と呼ばれている[11]

周辺の山[編集]

北側の伊吹山から望む鈴鹿山脈、左端が藤原岳その右側が御池岳、右手前が霊仙山
山容 山名 標高
(m)[1][21]
三角点等級
基準点名[21]
御池岳からの
方角と距離(km)
備考
三国岳  894 北 4.3 岐阜・三重・滋賀県境
最高点911m
鈴ヶ岳 1,130 北西 1.9
御池岳  1,247 0 鈴鹿山脈の最高峰
藤原岳 1,144 (標高未確定) 南東 4.3 日本三百名山
竜ヶ岳 1,099.26  二等
「竜ケ岳」
南東 7.1

周辺の峠[編集]

焼尾山と鈴北岳との鞍部の鞍掛峠、下に国道306号の鞍掛トンネルが通る。

周辺には以下のがある。

  • 鞍掛峠 - 焼尾山と鈴北岳との鞍部。小さながある。国道306号の鞍掛トンネルが下部を横断する。
  • ヒルコバ - 鈴ヶ岳と鈴北岳との鞍部。ヤマビルの生息地。
  • ミノガ峠 - 滝谷山と茶野との鞍部。
  • 白瀬峠(白船峠) - 冷川岳と蛇頭ヶ平との鞍部。
  • 河倉峠 - 土倉岳南東の鞍部。
  • ノタノ坂 - 土倉岳とヒキノとの鞍部。

源流の河川[編集]

源流となる以下の河川愛知川支流であり、琵琶湖へ流れる。南南西13.5kmに永源寺ダムがある。

  • 御池川
  • 茶屋川(真ノ谷)、愛知川の本流、山頂の南東2.7 kmに三筋がある。

山頂部の池[編集]

山頂部のドリーネに水が溜まってできた多数の小さながある[2][18][5][17]。麓の郷土資料では「山上平坦ニシテ三十余池アリ」と記録されている[6]。元池と真の池は一般登山道沿いにある。

  • 元池 - 日本庭園の西側の鈴北岳との鞍部付近、直径約20 m、水深約50 cm[18]。別名「雨乞池」と呼ばれ雨乞い神事が行われていた[18]
  • おはな池
  • ひょうたん池
  • 丸池
  • 風池
  • 幸助池
  • 真の池
  • 北池
  • 道池
  • 幻池 など

交通・アクセス[編集]

山域の北側を国道306号が横断している。滋賀県道34号多賀永源寺線が御池川沿いに通り、東近江市君ヶ畑町から山頂の西側の上流部まで御池林道が通る。

御池岳周辺の風景[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 周辺では春先にカタクリの花が見られる。

出典[編集]

  1. ^ a b c d 日本の主な山岳標高(滋賀県の山)”. 国土地理院. 2011年3月14日閲覧。
  2. ^ a b 日本山名辞典 (1992)、71頁
  3. ^ a b c d e f g 三重県の山 (2010)、20-21頁
  4. ^ a b c d e f 新日本山岳誌 (2005)、1240-1241頁
  5. ^ a b c d 鈴鹿の山万能ガイド (2006)、38-41頁
  6. ^ a b c 日本の山1000 (1992)、538頁
  7. ^ 東近江市八景”. 東近江市 (2007年3月1日). 2013年1月26日閲覧。
  8. ^ 『関西百名山地図帳』山と溪谷社、2010年2月。ISBN 4-16-731304-9 
  9. ^ 冬季閉鎖区間”. 三重県. 2013年1月26日閲覧。
  10. ^ 国定公園の概要” (PDF). 環境省. pp. 4 (2012年4月1日). 2013年1月26日閲覧。
  11. ^ a b 鈴鹿・大峰・大台ヶ原 (2004)、20頁
  12. ^ 『21世紀に残したい日本の自然100選』朝日新聞社、1986年6月。ISBN 4022583436 
  13. ^ 田中澄江『花の百名山』文春文庫、1997年6月、343-346頁。ISBN 4-16-352790-7 
  14. ^ 花の山旅 (2001)、84-87頁
  15. ^ 鳥獣保護区の指定(平成21年10月30日滋賀県告示第571号)”. 滋賀県 (2009年10月30日). 2013年1月26日閲覧。
  16. ^ a b 名古屋周辺の山 (2010)、342-343頁
  17. ^ a b 地図で歩く鈴鹿の山 (2003)、26-29頁
  18. ^ a b c d 滋賀県の山 (2000)、90-91頁
  19. ^ a b 鈴鹿を歩く (1995)、36-39頁
  20. ^ a b c 山と高原地図 (2011)、地図表面
  21. ^ a b 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2013年1月26日閲覧。

参考文献[編集]

  • 『日本の山1000』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1992年8月。ISBN 4635090256 
  • 徳久球雄 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1 
  • 吉住友一、田中均、笠井道男、岩井好晃、山中保一『鈴鹿を歩く』山と溪谷社〈フルカラー特選ガイド〉、1995年12月15日。ISBN 4635170845 
  • 片岡浜子、沢原道則、山本武人、米田実『滋賀県の山』(改訂第2版)山と溪谷社〈分県登山ガイド〉、2000年6月。ISBN 463502184X 
  • 金丸勝実『鈴鹿・伊吹山』山と溪谷社〈花の山旅〉、2001年6月10日。ISBN 4635014134 
  • 西内正弘『地図で歩く鈴鹿の山 ハイキング100選』中日新聞社、2003年9月。ISBN 4806204641 
  • 小嶋誠孝、金丸勝実『鈴鹿・大峰・大台ヶ原』山と溪谷社〈YAMAPシリーズ〉、2004年8月。ISBN 4635531139 
  • 日本山岳会『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1 
  • 西内正弘『鈴鹿の山万能ガイド』中日新聞社、2006年9月。ISBN 4806205265 
  • 山と溪谷社 編『改訂新版 名古屋周辺の山』山と溪谷社〈週末登山コースの百科事典〉、2010年7月28日。ISBN 978-4635180177 
  • 佐藤貞夫、黒田豊年、金丸勝実『三重県の山』(改訂版)山と溪谷社〈分県登山ガイド〉、2010年8月25日。ISBN 978-4635023733 
  • 『御在所・霊仙・伊吹』昭文社山と高原地図2011年版〉、2011年2月10日。ISBN 978-4398757845 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]