パリメトロ8号線

8号線
コンコルド駅
基本情報
路線網 パリメトロ
起点 バラール駅
終点 ポワント・デュ・ラック駅
駅数 38 (うち地上駅4)
開業 1913年
運営者 パリ交通公団
路線諸元
路線距離 23.4 km
軌間 1,435 mm
線路数 複線 (右側通行)
電化方式 直流750V 第三軌条方式
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パリメトロ8号線(Ligne 8)はパリ市交通公団 (RATP) の運営するフランスパリメトロ地下鉄)路線の一つ。パリ市南西部のバラール駅から、パリ市中心部のやや北よりを東西に横断し、南東部郊外のクレテイユ=プレフェクチュール駅を経てポワント・デュ・ラック駅に至る。

概要[編集]

8号線の西端はパリ市内にあるが、東側ではパリ市から大きく離れて隣接するヴァル=ド=マルヌ県の県庁所在地クレテイユにまで至っている。その距離は13号線に次ぎメトロで2番目であるが、13号線は途中で2つに分岐しているため、1本の路線としては8号線が最長である。マルヌ川の橋とクレテイユ市内は地上線となっている。

8号線は1913年に開業したパリで8番目のメトロ路線であり、1898年時点での計画にあった最後の路線である。もともとはパリ中心部と南西部を結ぶ路線だったが、1931年パリ植民地博覧会を期に南東部へ延長され、さらに南東部郊外へと延伸された。なお南西部のラ・モット=ピケ=グルネル駅から先は元々現10号線のルートをとっていたが、1937年にこの区間が10号線に移管され、8号線はバラールに向かうようになった。

沿線概況[編集]

8号線路線図

8号線西端のバラール駅は南西部の市境近くのブールヴァール・デ・マレショー上のバラール広場の地下にある。ここから北東方向に進み、アンヴァリッドの北、アレクサンドル3世橋のやや東でセーヌ川を潜り、コンコルド広場、オペラ広場(ガルニエ宮前)に至る。この辺りから東に向きを変え、パリ中心部の北よりを東西に横切るグラン・ブールヴァールの地下を通る。リシュリュー=ドゥルオ駅からレピュブリック駅までの間は9号線と上下2層になった複々線となっている。レピュブリックからは南東に向きを変え、バスティーユ広場を通り、ヴァンセンヌの森の入口でもあるポルト・ド・シャラントンで市境を越える。

郊外に出てからも南東に進み、シャラトン=エコール駅の南東で地上に出て高速道路A4とマルヌ川を橋で渡る。この後再び地下に潜るが、メゾン=アルフォール=レ・ジュイオット駅の先で地上に出て、道路の中央に設けられた線路を通ってクレテイユ=プレフェクチュール駅に至る。クレテイユ市内のポワント・デュ・ラック駅が終点である。

歴史[編集]

1937年の路線付けかえ

1898年のメトロ整備計画では、8号線(I線)はオペラからパリ南西部のオートゥイユ(現10号線ポルト・ドートゥイユ駅)に至る路線とされていた。環状線以外でセーヌ川を2度渡ることになっていた唯一の路線である。1910年にはバラールへの支線の建設も決まった。

オペラ〜ラ・モット=ピケ=グルネル〜ボーグルネル(現10号線シャルル・ミシェル)間は1913年に開業し、その年の内にポルト・ドートゥイユまでの区間が完成した。

1922年に市議会は8号線をグラン・ブールヴァール経由で南西部まで延長することに決定した。1931年にポルト・ド・シャラントンまでの区間が開業し、同年にヴァンセンヌの森で開催されたパリ植民地博覧会の観客を輸送した。

西側では、1937年に8号線、10号線、14号線(現13号線の一部)の間で線路の付けかえが行われ、8号線のラ・モット=ピケ・グルネル以西を10号線に移管し、新たに建設されたラ・モット=ピケ・グルネル〜バラール間が代わって8号線の一部となった。

1939年には、第二次世界大戦勃発の影響でシャン・ド・マルス駅とサン=マルタン駅が休止され、そのまま再開されることはなかった。

東部では1942年に市境を越えてシャラントン=エコールまで延伸された後、1970年代に何度かに渡って延伸されてクレテイユ=プレフェクチュールまで達し、さらに2011年にはポワント・デュ・ラックにまで延伸された。

年表[編集]

  • 1913年7月13日 - オペラ〜ラ・モット=ピケ・グルネル〜ボーグルネル(現10号線シャルル・ミシェル)間開業。
  • 1913年9月30日 - ボーグルネル〜ポルト・ドートゥイユ間(現10号線)延伸開業。
  • 1928年6月30日 - オペラ〜リシュリュー・ドゥルオ間延伸開業。
  • 1931年5月5日 - リシュリュー・ドゥルオ〜ポルト・ド・シャラントン間延伸開業。
  • 1937年7月27日 - ラ・モット=ピケ・グルネル〜ポルト・ドートゥイユ間を10号線に移管。ラ・モット=ピケ・グルネル〜バラール間開業。
  • 1939年9月2日 - シャン・ド・マルス駅とサン=マルタン駅を休止
  • 1942年10月5日 - ポルト・ド・シャラントン〜シャラントン=エコール間延伸開業。
  • 1970年9月19日 - シャラントン=エコール〜メゾン=アルフォール=スタード間延伸開業。
  • 1972年4月27日 - メゾン=アルフォール=スタード〜メゾン=アルフォール=レ・ジュイオット間延伸開業。
  • 1973年9月24日 - メゾン=アルフォール=レ・ジュイオット〜クレテイユ=レシャ間延伸開業。
  • 1974年9月9日 - クレテイユ=レシャ〜クレテイユ=プレフェクチュール間延伸開業。
  • 2011年10月8日 - クレテイユ=プレフェクチュール〜ポワント・デュ・ラック間延伸開業。

車両[編集]

1980年からMF77が使われている。

車両基地はパリ15区のジャヴェル (Javel) にあり、ルールメル駅の北側から入線する。大規模な検査や改修作業は4号線サン・トゥアン(Saint-Ouen) 車両基地で行われる。

[編集]

  • バラール駅 (Balard)
    • 接続路線 : トラム T3線
    • 同名の広場の地下に位置する。到着ホーム1面1線と出発ホーム1面2線があり、駅の南に引き上げ線・留置線がある。
  • ルールメル駅 (Lourmel)
    • 駅の北側で車両基地への連絡線が分岐している。バラール行が1面1線、クレテイユ行が1面2線をしているが、クレテイユ行の1線の南側は本線とつながっておらず、専ら車両基地から出庫した列車がクレテイユ方面に折り返すために用いられる。
  • ブシコー駅 (Boucicaut)
  • フェリックス・フォール駅 (Félix Faure)
  • コメルス駅 (Commerce)
    • 同名の通りの地下にある。道路幅が狭いため通常の相対式ホームを設けることができず、バラール行とクレテイユ行のホームが縦にずれた変則的な配置をしている。
  • ラ・モット=ピケ=グルネル駅 (La Motte-Picquet - Grenelle)
    • 接続路線 : メトロ610号線
    • クレテイユ行は10号線オステルリッツ行と島式ホームを挟む形をしており、バラール行は10号線ブローニュ行と上下2層に重なっている。この特異な配線はかつて8号線が現10号線方面に通じていた名残である。
エコール・ミリテール駅
グラン・ブールヴァール駅
ルイイ=ディドロ駅入口
クレテイユ=プレフェクチュール駅留置線

廃駅[編集]

  • シャン・ド・マルス駅 (Champ de Mars)
    • ラ・モット=ピケ=グルネル駅とエコール・ミリテール駅の間にあった。1937年パリ万国博覧会では会場となったシャン・ド・マルス広場の最寄り駅の一つだったが、第二次世界大戦勃発に伴う営業縮小で1939年9月2日に休止され、そのまま再開されることはなかった。隣駅との駅間距離が短すぎたのが休止の理由である。なおRER C線にシャン・ド・マルス=トゥール・エッフェル駅(Champ de Mars - Tour Eiffel)があるが、これは広場の反対側に位置する。
サン=マルタン駅ホーム跡
  • サン=マルタン駅 (Saint-Martin)
    • ストラスブール=サン=ドニ駅とレピュブリック駅の間にあったが、シャン・ド・マルス駅と同様1939年9月2日に休止され、そのまま再開されることはなかった。現在駅跡は冬季に救世軍ホームレス簡易宿泊所として使用している。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • RATP (フランス語他)