H1 TOWER

H1 TOWER
(H1 Tower)
地図
H1 TOWERの位置(広東省内)
H1 TOWER
情報
用途 エレベーターの研究・開発
設計者 デザインアーキテクト安田アトリエ[1]
設計・監理:日立建設設計[1]
構造設計者 華南理工大学建築設計研究院[1]
外郭形状エンジニアリング・アドバイザー:田村幸雄竹内徹 [1]
施工 上海建工四建集団有限公司[1]
事業主体 日立製作所
管理運営 日立電梯(中国)有限公司
構造形式 鉄筋コンクリート構造鉄骨構造 [1]
階数 地上38地下1階
高さ 地上高 273.8 m [2]
地下深度 15.0 m [2]
建物全高 288.8 m [2]
エレベーター数 15基 [2]
竣工 2020年1月16日[3]
所在地 中華人民共和国の旗 中国 広東省広州市番禺区[4]大石鎮石北工業区(広州日立電梯大石工場内)[5]
座標 北緯23度1分13.0秒 東経113度17分9.0秒 / 北緯23.020278度 東経113.285833度 / 23.020278; 113.285833 (H1 TOWER)座標: 北緯23度1分13.0秒 東経113度17分9.0秒 / 北緯23.020278度 東経113.285833度 / 23.020278; 113.285833 (H1 TOWER)
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H1 TOWER(エイチワンタワー、英語表記: HI Tower, Hitachi H1 Tower [注 1])とは、中国広東省広州市に所在する地上高 273.8 mのエレベーター試験塔[2]。株式会社日立製作所中国における昇降機製造・販売・サービス会社である日立電梯(中国)有限公司[注 2](※日立グループの中国現地法人の一つ[注 3])が所有する[2]2020年令和2年)1月16日竣工[3]地上高 273.8 m[2]

史上最も背の高いエレベーター試験塔である[7](2021年時点)。cf. 乗り物に関する世界一の一覧#史上最も背の高いエレベーター試験塔

歴史[編集]

日立グループは、世界の昇降機市場における高速・大容量エレベーターの需要拡大に対応するべく、2010年(平成22年)4月に、当時高さ世界一のエレベーター試験塔「G1TOWER」(地上高 213.5 m)を日本の茨城県ひたちなか市に完成させた[2]。この施設で研究開発と試験を重ね、中国広州市の超高層複合ビル「CTF金融センター」に2019年9月付で分速 1,260 m (75.6 km/h[7]) のエレベーターを納入した[2]。このエレベーターは "The fastest lift (elevator)" (世界最高速エレベーター)名義でギネス世界記録に認定されている[2][7]。新たに完成した「H1 TOWER」は、日本の「G1TOWER」と連携しながら 日立グループのグローバル昇降機開発戦略における重要な役割を担ってゆくことになる[2]

H1 TOWER の登場以前は、オーチス・ワールドワイド(オーチス・エレベータ・カンパニー)が中国上海市に建てた2018年竣工のオーチス試験塔(地上高 270 m)が、史上最も背の高いエレベーター試験塔であった。地上高 273.8 mの H1 TOWER がこれを抜いて首位に躍り出たわけであるが、2010年代後期後半は超高層建築物の建築ラッシュが続いていた中国本土でエレベーター試験塔もまた大手メーカーがこぞって世界最高クラスと史上第1位を抜きつ抜かれつしながら築いていった時代であった[8]。また、日立グループ内にあって、昇降機の製造・販売・アフターメンテナンスを担うビルシステム事業の2018年度における売上高は約6,216億円を計上しており、このうち 52.3 %にも上る中国向けは 、すでに事業の柱とも言えるポジションを占めている[9]

より高いエレベーター試験塔がまだ登場していない現在(2021年時点)、H1 TOWER の位置づけは以下のとおりである。

  • 史上最も背の高いエレベーター試験塔 [7]
  • 日本企業が建てた史上最も背の高いエレベーター試験塔 [注 4]
  • 日立グループ史上最も背の高いエレベーター試験塔
  • 中国史上最も背の高いエレベーター試験塔

特徴[編集]

地上高 273.8 m、地下深度 15.0 m、建物全高 288.8 m [2]。塔内には、長さ 250m超の昇降路を始めとする15本、総延長距離 2.2 km超の試験用昇降路を備えており[2]、超高速エレベーター、大容量エレベーター、ダブルデッキエレベーター英語版、運行管理システムなど、さまざまな技術・製品の開発・試験を行える[2]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 米国カリフォルニア州サンフランシスコには 5M Development社の超高層ビル "H1 Tower"(地上高 132.6 m)が未着工ながら2012年から計画されており[6]、区別する業界関係者がいないとは言えない。"Hitachi H1 Tower" を用いている実例としては、デザインアーキテクトを担当した安田アトリエを挙げる[1]
  2. ^ 中国語表記: 日立电梯(中国)有限公司[3]、英語表記: Hitachi Elevator (China) Co., Ltd.[7]
  3. ^ Global Network” (English). Hitachi, Ltd.. 2021年2月20日閲覧。
  4. ^ 仮の話として、日本国内で建設されていた場合、塔としての高さは2021年時点で以下の順位になる。
       第1位:東京スカイツリー (634 m) - 2012年竣工。東京都墨田区所在。
       第2位:東京タワー(日本電波塔)(332.6 m) - 1958年竣工。東京都港区所在。
       第3位:明石海峡大橋主塔(海面上)(298.3 m) - 1993年竣工。兵庫県神戸市と同県淡路市に各1基あり。
       第4位:H1 TOWER (273.8 m) - 2020年竣工。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g 安田 (2020).
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 株式会社日立製作所日立电梯(中国)有限公司 (2020年1月16日). “世界トップクラスの高さを有するエレベーター試験塔「H1 TOWER」が中国・広州の研究開発・製造拠点内に完成 < ニュースリリース”. 日立グループ. 2021年2月20日閲覧。
  3. ^ a b c 288.8米!日立电梯“H1 TOWER”刷新电梯试验塔新高度 < 日立新闻”. 日立电梯(中国)有限公司 (2020年1月17日). 2021年2月20日閲覧。
  4. ^ 日立電梯、広州にエレベーター試験塔」『NNA ASIA』株式会社エヌ・エヌ・エー、2020年1月17日。2021年2月20日閲覧。
  5. ^ 中国・広州に「日立電梯亜州開発センター」を設立 中国・東南アジアにおける昇降機事業を強化” (PDF). 株式会社日立製作所 (2004年10月12日). 2021年2月20日閲覧。
  6. ^ 5M Development - H1 Tower” (English). Skyscraper Center. 2021年2月20日閲覧。
  7. ^ a b c d e Hitachi 20200116.
  8. ^ 日立、中国・広州にエレベーター試験塔を完成」『日本経済新聞日本経済新聞社、2020年1月16日。2021年2月20日閲覧。
  9. ^ 日立の世界一高い“288.8m”エレベーター試験塔、中国・広州市で完成」『ITmedia News』アイティメディア株式会社、2020年2月12日。2021年2月20日閲覧。

参考文献[編集]

  • "Hitachi Completes Construction of the H1 TOWER, One of the World's Tallest Elevator Test Towers, at its R&D and Manufacturing Facilityin Guangzhou, China" (PDF) (Press release) (English). Hitachi, Ltd. 16 January 2020. pp. 1–3. 2021年2月20日閲覧

関連項目[編集]

外部リンク[編集]