第10回統一地方選挙

第10回統一地方選挙(だい10かいとういつちほうせんきょ)は、日本における地方自治体首長都道府県知事・指定市長・市区町村長)と地方議会(道府県議会・指定市議会・市区町村議会)の議員を全国一斉に改選するために、1983年昭和58年)4月10日4月24日の2回に分けて投票が行われた地方選挙である。

概要[編集]

1947年4月に行われた第1回統一地方選挙から、数えて10回目となる統一地方選挙である。中曽根政権発足後、初めての全国規模で行われる選挙であったこと、また6月には初めて比例代表制を導入した参院選が控え、加えて衆院総選挙も参院選とほぼ同時に行われるという観測が強まっていた中、この時の統一地方選は衆参両院選挙(亥年選挙)の前哨戦と位置づけられ、各党とも国政選挙並みに力を入れた選挙戦となった。

日程[編集]

前半選挙
3月16日:都道府県知事選挙、告示
3月21日:政令指定都市の市長選挙、告示
3月29日:道府県議選挙と政令指定都市の市議会選挙、告示
4月10日:投票日(都道府県知事選挙、政令指定市長選挙、道府県議選挙、指定市議会選挙)
後半選挙
4月14日:一般市長・市議選、東京都特別区長及び区議選、告示
4月17日:町村長および町村議会選挙、告示
4月24日:投票日(一般市長・市議選、東京都特別区長及び区議選、町村長および町村議会選挙)

実施された選挙[編集]

注:○がついている地域は、首長選挙と議会選挙が同時に実施された地域。

都道府県知事選挙[編集]

13都道府県

政令指定都市の市長選挙[編集]

2市

道府県議会議員選挙[編集]

東京都・茨城県・沖縄県を除く44道府県議会2,661名

政令指定都市の市議会議員選挙[編集]

9市665議席

後半選挙[編集]

  • 東京都特別区長選挙:20区
  • 東京都特別区議会議員選挙:23区
  • 一般市長選挙:145市
  • 一般市議会議員選挙:386市
  • 町村長選挙:702町村
  • 町村議会議員選挙:1,290町村 

候補者[編集]

都道府県知事選挙(計38名)
候補者名 現職・新人 党派 政党の推薦・支持 経歴
北海道(3名)
三上顕一郎(55) 新人 無所属 自民党・公明党・民社党・新自由クラブ・社民連 前副知事
広谷陸男(54) 新人 無所属 共産党 弁護士
横路孝弘(42) 新人 無所属 社会党 前代議士
岩手県(2名)
中村直(70) 現職 自民党 知事
柏朔司(52) 新人 共産党 党県委員会副委員長
秋田県(2名)
高橋清人(53) 新人 共産党 党県委員会副委員長
佐々木喜久治(61) 現職 無所属 自民党・公明党・民社党 知事
茨城県(2名)
奈良達雄(50) 新人 共産党 党県委員会経済委員長
竹内藤男(65) 現職 無所属 自民党・公明党・民社党・新自由クラブ 知事
東京都(12名)
鈴木俊一(72) 現職 無所属 自民・公明党・民社党・新自由クラブ 知事、全国知事会会長
赤尾敏(84) 新人 諸派 愛国党総裁
東郷健(50) 新人 無所属 出版社役員
松岡英夫(70) 新人 無所属 社会党・共産党 政治評論家
古賀裕也(43) 新人 諸派 会社役員
岩崎筆吉(54) 新人 無所属 電気工事業
福田拓泉(55) 新人 諸派 都水道局職員
高橋満(38) 新人 無所属 元私鉄社員
赤石貞治(54) 新人 諸派 政治団体代表
南俊夫(71) 新人 諸派 政治団体役員
深作清次郎(71) 新人 無所属 著述業
前田保(70) 新人 諸派 貸家業
神奈川県(2名)
山本正治(37) 新人 無所属 日本労働党県委員長
長洲一二(63) 現職 無所属
  • 自民党・社会党・公明党・民社党
  • 共産党・新自由クラブ・社民連
知事、元横浜国立大学教授
福井県(2名)
中川平太夫(68) 現職 無所属 自民党・社会党・公明党・民社党 知事、米価審議委員
嵐山繁樹(55) 新人 共産党 党県委員会委員長
大阪府(3名)
亀田得治(70) 新人 無所属 共産党 弁護士、元社会党参議院議員
岸昌(61) 現職 無所属
  • 自民党・社会党・公明党・民社党
  • 新自由クラブ・社民連
知事
江頭暢明(38) 新人 無所属 政治団体役員
鳥取県(2名)
岡崎楠夫(54) 新人 共産党 党県委員会常任委員
西尾邑次(62) 新人 無所属 自民党・社会党・公明党・民社党 前副知事
島根県(2名)
飯塚行男(55) 新人 共産党 党県委員会書記長
恒松制治(60) 現職 無所属 自民党・社会党・公明党・民社党・新自由クラブ 知事
福岡県(2名)
亀井光(74) 現職 無所属 自民党・民社党
奥田八二(62) 新人 無所属 社会党・共産党 九州大学名誉教授
佐賀県(2名)
関屋敏正(48) 新人 共産党 党県委員会副委員長
香月熊雄(67) 現職 無所属 自民党 知事
大分県(2名)
都留忠久(62) 新人 共産党 党県常任委員
平松守彦(59) 現職 無所属 自民党・公明党・民社党 知事
出典:1983年3月18日付「13知事選 候補者一覧」、朝日新聞社『「朝日新聞」縮刷版』(1983年3月号)678頁。候補者横の括弧内数字は年齢、届け出順に掲載した。
政令指定都市市長選挙候補者一覧(4名)
候補者名 現職・新人 党派 政党の推薦・支持 経歴
札幌市(2名)
阿部昭一(47) 新人 共産党 前市議
板垣武四(67) 現職 無所属 自民党・公明党・民社党・新自由クラブ・社民連
川崎市(2名)
伊藤三郎(63) 現職 無所属 社会党・公明党・民社党・共産党 市長、元市職組委員長
高田がん(52) 新人 無所属 政治団体役員
出典:朝日新聞夕刊1983年3月22日付1面の記事「札幌と川崎で市長選始まる」内の「立候補届け出」。前掲書825頁。
  • 道府県議会議員選挙候補者数:4,555名(うち80名が無投票当選
道府県議選党派別立候補者数
党派 合計 新旧内訳 無投票
当選
備考
現職 元職 新人
自由民主党 1,738 1,370 39 329 68
日本社会党 554 318 40 196 5
公明党 193 130 9 54 1
民社党 148 91 3 54 0
日本共産党 1,018 102 12 904 1
新自由クラブ 26 16 1 9 0
社会民主連合 10 6 0 4 0
諸派 61 43 1 17 0
無所属 807 153 32 622 5
  • 保守系:633名
  • 革新系:74名
  • その他:100名
合計 4,555 1,370 39 329 80
出典:朝日新聞1983年3月31日付2面「44道府県議選別候補者数」、前掲書1,194頁。女性候補者は212名。
  • 政令指定都市議会議員選挙:909名
党派別候補者数
党派 候補者数
自由民主党 270
日本社会党 141
公明党 128
民社党 83
日本共産党 143
新自由クラブ 13
社会民主連合 1
諸派 22
無所属 108
合計 909
  • 一般市市長選挙:279名(うち46名は無投票当選)
  • 東京都の特別区区長選挙:46名
  • 一般市議会議員選挙:13,733名(3市84名が無投票当選)
  • 特別区議会議員選挙:
出典:朝日新聞1983年4月16日付1面「市長選候補者数」と「東京区長候補者数」
  • 町村長選挙:
  • 町村議会議員選挙:

選挙結果[編集]

前半選挙[編集]

投票日:4月10日

都道府県知事選挙[編集]

投票率:63.21%[1]

当選者一覧
都道府県名 当選者 党派 現職・新人 公認・推薦・支持政党
北海道 横路孝弘① 無所属 新人 社会党
岩手県 中村直② 自民党 現職
秋田県 佐々木喜久治② 無所属 現職 自民党・公明党・民社党
茨城県 竹内藤男② 無所属 現職 自民党・公明党・民社党・新自由クラブ
東京都 鈴木俊一② 無所属 現職 自民党・公明党・民社党・新自由クラブ
神奈川県 長洲一二③ 無所属 現職 自民党・社会党・公明党・民社党・共産党・新自由クラブ・社民連
福井県 中川平太夫⑤ 無所属 現職 自民党・社会党・公明党・民社党
大阪府 岸昌② 無所属 現職 自民党・社会党・公明党・民社党・新自由クラブ・社民連
鳥取県 西尾邑次① 無所属 現職 自民党・社会党・公明党・民社党
島根県 恒松制治③ 無所属 現職 自民党・社会党・公明党・民社党・新自由クラブ
福岡県 奥田八二① 無所属 新人 社会党・共産党
佐賀県 香月熊雄② 無所属 現職 自民党
大分県 平松守彦② 無所属 現職 自民党・公明党・民社党
出典:朝日新聞1983年4月12日付2面「知事確定得票」。朝日新聞社『「朝日新聞」縮刷版』412頁。

政令指定都市の市長選挙[編集]

投票率:70.93%[1]

当選者一覧
都道府県名 当選者 党派 現職・新人 公認・推薦・支持政党
札幌市 板垣武四④ 無所属 現職 自民党・公明党・民社党・新自由クラブ・社民連
川崎市 伊藤三郎④ 無所属 現職 社会党・公明党・民社党・共産党
出典:朝日新聞1983年4月12日付2面「2大市長確定得票」。朝日新聞社『「朝日新聞」縮刷版』412頁。

道府県議会議員選挙[編集]

投票率:68.47%[1]

党派別当選者数と得票
党派 得票数 得票率 当選
者数
前回
当選
増減
自由民主党 22,201,035 46.8 1,487[2] 1,407 +80
日本社会党 6,810,389 14.3 372 379 -7
公明党 2,972,478 6.3 182 166 +16
民社党 2,189,774 4.6 100 106 -6
日本共産党 4,458,628 9.4 85 122 -37
新自由クラブ 354,307 0.7 16 27 -11
社会民主連合 83,601 0.2 6 6 0
諸派 825,658 1.7 41 43 -2
無所属 7,538,676 16.0 371 390 -19
合計 47,434,546 100.0 2,660 2,646 +14
出典:朝日新聞1983年4月12日付2面「44道府県議当選者数」、前掲書412頁。『地方自治年鑑』(昭和59年版)105頁の表2「党派別得票数及び得票率」、なお得票数については小数点以下を四捨五入している。女性当選者は30名(前回28名)。
党派別議席数
定数 党派
自民 社会 公明 民社 共産 新自ク 社民連 諸派 無所属
改選 北海道 110 52 29 6 0 1 0 0 0 22
青森県 52 32 7 2 1 2 0 0 0 8
岩手県 52 32 6 0 1 1 0 0 0 11
秋田県 49 26 14 1 1 1 0 0 0 6
山形県 49 30 8 1 1 2 1 4 0 2
宮城県 59 34 7 3 2 1 0 0 0 12
福島県 58 32 9 3 3 1 0 0 0 10
栃木県 55 32 7 1 1 0 1 0 0 13
群馬県 57 41 6 2 0 0 0 0 0 8
埼玉県 94 43 6 11 1 6 4 0 0 23
千葉県 79 49 9 7 2 4 0 0 0 8
神奈川県 115 37 23 13 12 3 10 0 0 17
新潟県 65 43 10 1 1 1 0 0 2 7
長野県 61 31 17 2 1 0 0 0 0 10
山梨県 42 18 5 2 0 0 0 0 0 17
静岡県 78 53 11 7 3 1 0 0 0 3
愛知県 106 66 10 7 11 3 0 1 2 6
岐阜県 50 37 5 2 2 1 0 1 0 2
三重県 54 25 7 2 1 0 0 0 0 19
富山県 47 30 10 1 2 1 0 0 0 3
石川県 47 36 4 1 1 1 0 0 0 4
福井県 40 26 3 1 2 0 0 0 0 8
滋賀県 46 27 2 1 0 1 0 0 10 5
京都府 63 26 5 7 2 14 0 0 7 2
大阪府 113 40 15 25 10 9 0 0 9 5
兵庫県 91 32 12 14 9 4 0 0 0 20
奈良県 45 25 7 4 1 1 0 0 0 7
和歌山県 47 27 3 3 1 4 0 0 0 9
香川県 45 30 8 3 1 2 0 0 0 1
徳島県 42 21 6 2 0 1 0 0 0 12
愛媛県 53 35 3 3 3 1 0 0 0 8
高知県 42 28 5 3 1 3 0 0 0 2
岡山県 57 36 6 5 3 3 0 0 0 4
広島県 69 42 9 5 2 0 0 0 0 11
鳥取県 40 28 7 2 0 1 0 0 0 2
島根県 41 26 6 1 0 1 0 0 0 7
山口県 54 32 5 5 2 2 0 0 0 8
福岡県 89 36 16 8 4 2 0 0 11 12
佐賀県 42 29 6 1 0 0 0 0 0 6
長崎県 54 29 8 3 5 1 0 0 0 8
熊本県 56 40 6 3 0 1 0 0 0 6
大分県 48 27 8 2 2 2 0 0 0 7
宮崎県 47 26 8 3 4 1 0 0 0 5
鹿児島県 57 39 8 3 1 1 0 0 0 5
非改選 茨城県 65 43 6 4 0 1 0 0 2 9
東京都 127 53 15 27 4 16 8 0 0 4
沖縄県 46 20 6 2 1 4 0 0 8 5
合計 2,898 1,603 399 215 105 106 24 6 51 389
朝日新聞1983年4月12日付9面「都道府県議会の新勢力分野」を元に作成。なお山口県に関しては12日にくじ引きで当選が決まった自民党候補者の分も含んでいる。非改選である茨城県と東京都、沖縄県については直近の選挙結果を示し、東京都に関しては都知事選と同時に行われた補欠選挙の結果も含めた。沖縄社会大衆党は諸派に含めた。

政令指定都市議会選挙[編集]

投票率:60.00%[1]

合計 指定市別
札幌 横浜 川崎 名古屋 京都 大阪 神戸 広島 福岡
自民党 232 26 30 17 23 24 37 22 31 22
社会党 112 20 18 12 16 6 11 13 7 9
公明党 122 10 17 10 14 14 21 16 8 12
民社党 69 0 18 6 14 14 21 16 8 12
共産党 74 4 6 9 6 19 11 10 4 5
新自ク 6 0 4 0 0 1 1 0 0 0
社民連 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1
諸派 13 0 0 0 0 0 0 0 0 13
無所属 36 10 3 10 2 1 0 0 8 2
合計 665 70 96 64 75 72 92 72 60 64
出典:朝日新聞1983年4月12日付2面「九大市議当選者数」、朝日新聞社『「朝日新聞」縮刷版』(1983年4月号)412頁。女性当選者35名。
党派別得票数
党派 得票数 得票率
自民党 1,995,121 32.6
社会党 1,014,903 16.6
公明党 1,048,246 17.1
民社党 627,319 10.3
共産党 799,553 13.1
新自ク 77,036 1.3
社民連 7,193 0.2
諸派 118,901 1.9
無所属 425,479 7.0
合計 6,113,751 100.0
出典:表2「党派別得票数及び得票率」、『地方自治年鑑』(昭和59年版)105頁。

後半選挙[編集]

投票日:4月24日

一般市長及び特別区長[編集]

投票率:69.54%(区長選も含む)[1]

一般市長当選者数
当選 新旧別内訳 備考
現職 元職 新人
保守系 50 30 1 19 自民党公認当選者は5名
保守・中道系 54 44 0 10
革新・中道系 4 4 0 0
革新系 6 5 0 1
保革相乗り型 28 24 0 4
その他 3 2 0 1
145 109 1 35
出典:朝日新聞1983年4月25日付夕刊1面「市長の新分野」、朝日新聞社『「朝日新聞」縮刷版』(1983年4月号)953頁。当選者の政党推薦及び支持の関係を元に分類されたもので、無投票当選者46名を含んでいる。
東京区長当選者数
合計 新旧内訳
現職 新人
保守系 1 1 0
保守・中道系 7 5 2
革新・中道系 0 0 0
革新系 1 1 0
保革相乗り系 11 11 0
その他 0 0 0
20 18 2
出典:朝日新聞1983年4月25日付夕刊1面「東京区長当選者数」、前掲書953頁。

一般市議・特別区議[編集]

投票率:75.70%[1]

市議選党派別当選者数
合計 新旧別内訳 前回
当選
現職 元職 新人
自民党 1,439 1,262 31 158 1,227
社会党 1,219 957 32 230 1,298
公明党 1,149 834 10 305 1,117
民社党 429 326 4 99 413
共産党 926 712 30 184 930
新自ク 21 13 2 6 28
社民連 11 8 0 3 15
諸派 9 5 1 3 27
無所属 6,872 4,670 257 1,945 7,269
12,075 8,787 367 2,921 12,324
出典:朝日新聞1983年4月26日付7面「市議選当選者数」、前掲書971頁。

町村長および町村議会[編集]

町村長当選者数
合計 新旧内訳
現職 元職 新人
保守系 667[3] 449 11 207
革新系 4 4 0 0
その他 31 16 0 15
702 469 11 222
出所:朝日新聞1983年4月26日付7面「町村長当選者数」、前掲書971頁。無投票当選者386名を含む。
町村議当選者
党派
自民党 263
社会党 504
公明党 609
民社党 48
共産党 772
新自ク 0
社民連 0
諸派 5
無所属 20,102
合計 22,303
出典:朝日新聞1983年4月26日付7面「町村長当選者数」、前掲書971頁。無投票当選者2,192名含む。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f 『地方自治年鑑』(昭和59年版)104頁、「1 第10回統一地方選挙」
  2. ^ 山口県徳山市(現・周南市)・都濃郡選挙区(定数4)では最後の4議席目を争った二人の候補者得票が同数となり、12日にくじ引きが行われ、その結果、元県議会議長で自民党県連副会長の近間忠一が当選した。
  3. ^ 自民党公認1名を含む。

関連項目[編集]

参考書籍[編集]

  • 朝日新聞社『「朝日新聞」縮刷版』(1983年3月号・4月号)
  • 自治研修協会地方自治研究資料センター編『地方自治年鑑(昭和59年版)』(第一法規出版)