交響曲第15番 (ハイドン)

交響曲第15番 ニ長調 Hob. I:15 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲した交響曲

概要[編集]

ゲットヴァイク修道院英語版の目録に1764年の日付があり[1]、それ以前の作品であるが、正確な作曲年代は明らかでない[2]

第1楽章が非常に変わった形式をしており、中心になる快速な部分の前後がアダージョによる緩徐な部分ではさまれている。このような楽章構成はハイドンのほかの作品には見られない。かつて「フランス序曲」と呼ばれたこともあったが[3]、実際にはフランス序曲でも、序奏つきのアレグロ楽章でもない[2]。これに対して第2楽章以下は普通の曲になっている。

編成[編集]

オーボエ2、ホルン2、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリンヴィオラ、低音(チェロファゴットコントラバス)。

曲の構成[編集]

メヌエットが第2楽章に来る4楽章構成を採る。この構成は主に初期の交響曲にいくつか見える(第32番第37番交響曲『B』(第108番)。初期以外では第44番『悲しみ』第68番)。演奏時間は約22分[4]

  • 第1楽章 アダージョ - プレスト - アダージョ
    イ長調、4分の3拍子 - 4分の4拍子、ソナタ形式
    アダージョの部分は弦楽器とホルンによって演奏される(オーボエは休み)。ピッツィカートの伴奏に乗って、第1ヴァイオリンがのどかな旋律を演奏し、ときどきホルンの合いの手が加わる、ディヴェルティメント風の音楽になっている。短調に転じた後、ユニゾンによるイ音の繰り返し(ニ長調の属音)によって次のプレストへと進む。
    プレストの部分はおおむねソナタ形式だが、通常と異なって繰り返しがなく、提示部がはっきり終止しないため、どこから展開部がはじまるのかはっきりしない[2]。提示部は3小節にわたるヴァイオリンのトレモロから始まる第1主題にはじまり、イ長調に転じた後にヴァイオリンが で8分音符による第2主題を演奏する。展開部はやはりトレモロで開始し、短調へと進む。再現部はトレモロを省略して始まる。再現部の後にトレモロが再び現れ、属和音で終わる。それからふたたび最初のアダージョが少し省略した形で繰り返される。
  • 第2楽章 メヌエット - トリオ
    ニ長調 - ト長調、4分の3拍子。
    メヌエット主部は付点つきリズムを持ったはずんだ音楽である。
    トリオは弦楽器のみで演奏されるが、低音から独立したチェロの独奏パートがあるために楽譜は5段になっている。独奏チェロと、やはり独奏と指定されたヴィオラがひとまとまりになり、第1・第2ヴァイオリンと対話する。メヌエット主部とは対照的に8分音符によるなだらかな音楽である。
  • 第3楽章 アンダンテ
    ト長調、4分の2拍子、ソナタ形式。
    この時期のハイドンの緩徐楽章の多くに見られるように、弦楽器のみで演奏される。突然現れる やシンコペーションがよいアクセントになっている。
  • 第4楽章 フィナーレ:プレスト
    ニ長調、8分の3拍子、三部形式
    両端部分はニ長調。中間部分はニ短調で、弦楽器のみで演奏される。最後に10小節ほどのコーダがある。

脚注[編集]

  1. ^ 大宮(1981) 表p.4
  2. ^ a b c デッカ・レコードのホグウッドによるハイドン交響曲全集第2巻、ウェブスターによる解説。1993年
  3. ^ たとえば音楽之友社ミニスコアのランドンによる序文にもそのように記されている
  4. ^ 音楽之友社ミニスコアによる

参考文献[編集]

  • 大宮真琴『新版 ハイドン』音楽之友社〈大作曲家 人と作品〉、1981年。ISBN 4276220025 
  • 『ハイドン 交響曲集II(13-27番) OGT 1590』音楽之友社、1981年。 (ミニスコア、ランドンによる序文の原文は1964年のもの)

外部リンク[編集]