中丸美繪

中丸 美繪(なかまる よしえ、1955年9月12日 - )は、日本ノンフィクション作家[1]

夫は医師の山村隆[2]。妹はオペラ歌手の中丸三千繪[3]

人物・来歴[編集]

茨城県下館市(現・筑西市)生まれ[4]

茨城県立下館第一高等学校を経て、慶應義塾大学文学部文学科英米文学専攻を卒業後、日本航空に入社[5]。東京空港支店を経て、国際線客室乗務員として5年ほど勤務した。退社後、東宝戯曲研究科に籍をおき、フィクション、音楽や演劇関係の執筆をはじめる。夫の転勤で、ドイツアメリカイスラエルに在住。ドイツ・バイエルン州ヴュルツブルク大学ドイツ語専修コース修了。

1997年、『嬉遊曲、鳴りやまず-斎藤秀雄の生涯』で、第45回日本エッセイスト・クラブ賞、第9回ミュージック・ペンクラブ賞受賞、大宅壮一ノンフィクション賞候補。また、本書を原案として、斎藤秀雄ドキュメンタリー「歌え! 全身で歌え!」(NHK・テレビマンユニオン制作)が、2005年、斎藤没後30年を記念して、NHK BSにて放映される。

2003年、文藝春秋より『杉村春子 -女優として女として』を上梓。

2005年11月24日から26日まで、フジテレビ制作のスペシャルドラマシリーズ「女の一代記」の原案、ドラマ化される。(第一夜瀬戸内寂聴、第二夜越路吹雪、第三夜杉村春子)。このドラマは「悪女の一生 -芝居と結婚した女優 杉村春子の生涯」として米倉涼子主演で11月26日に放送された。

2006年、白水社より『君に書かずにはいられない -ひとりの女性に届いた400通の恋文』を発行。三菱化成会長、日経連副会長をつとめた篠島秀雄が後の妻に書いた恋文から夫婦の愛と生涯を描いたもの。篠島秀雄朝比奈隆の旧制高等学校時代の同級生。篠島春枝は杉村春子の旧制女学校の同窓生。

2007年4月7日、朝日カルチャーセンター立川にて杉村春子について講演。

2009年、『オーケストラそれは我なり 朝比奈隆四つの試練』で第26回織田作之助賞・大賞受賞。大宅壮一ノンフィクション賞候補。

2009年4月より、実践女子学園生涯学習センター講師をつとめる。2010年4月より、日本大学芸術学部非常勤講師。

2010年、織田作之助賞・大賞受賞の授賞式が、自身がトークで出演することになっていた東京・日経ホールにおける文楽人形遣い・桐竹勘十郎プロデュース「KANJURO 人形の世界」と同日となったが、主催者である日経新聞社側の配慮で大阪・綿業会館での授賞式に参加することになり、勘十郎とのトークは妹のソプラノ歌手中丸三千繪が代役をつとめた[6]

2015年1月『日本航空一期生』を白水社より出版。

2015年、産経新聞社発行の「月刊モーストリー・クラシック」に8回にわたって、「小澤征爾異聞」を連載[7]

2016年『日本航空一期生』[8]を大幅に加筆、中公文庫となる。あらたに整備、パーサーの一期生、中心人物となる松尾靜磨の家族などに取材した。帯は「容姿端麗が応募資格」「臆病者と言われる勇気をもて[注 1]」。

2016年 産経新聞社から発行されている「月刊モーストリー・クラシック」[7]2月号から「鍵盤の血脈 井口基成[注 2]」の連載が始まる。

2021年3月20日、『日本航空一期生』(中公文庫)を原案とし、広瀬すず主演によるテレビ朝日エアガール[注 3][9][10]がドラマ化された。

日本エッセイスト・クラブ理事[1]。実践女子大学生涯学習センター講師。元日本大学芸術学部文芸学科非常勤講師。

家族[編集]

著書[編集]

書評執筆[編集]

産経新聞 2011年9月4日、2010年5月23日、2009年4月5日、6月14日、10月11日、2008年5月4日、2005年6月20日、9月19日、11月28日

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 「臆病者と言われる勇気をもて」は、日本航空創業時に専務となり、「日本航空界の父」といわれるようになった松尾靜磨の言葉である。 GHQによる「航空禁止令」のもと、占領下の日本では、航空機保有はおろか、教育や研究も禁止されていた。民間航空再開の日を夢見て奮闘し、「日本航空」創立後は、現場主義・安全運行を何より徹底した先達たち。その気概に満ちた歳月を、当時を知る関係者の貴重な証言をもとに描いたノンフィクション。
  2. ^ 井口基成は日本人として初めてのヴィルトゥオーゾ・ピアニストといわれ、戦前に若くして東京音楽学校(現・東京芸術大学)教授、帝国芸術院賞など受賞。 戦後「子供のための音楽教室」を斎藤秀雄、吉田秀和らと創設し、井口基成の名前で生徒が集まった。桐朋学園大学初代学長。レパートリーの多さは現代のピアニストでも追随をゆるさない。 妻井口秋子、妹井口愛子を加えた井口一門の弟子たちが、毎年、国内音楽コンクール優勝を独占。国外にも進出し、世界最高峰といわれる数々の国際ピアノコンクールでつぎつぎと優勝、入賞し、日本ピアノ界最盛期をつくった。「月刊モーストリー・クラシック」での連載は、2021年1月時点で「第61回」を数え、連載中。
  3. ^ テレビ朝日担当プロデューサーは本書を愛読、三年越しの企画でドラマ化にこぎつけた。 文庫版カバーは、当時の「東京エアベース」(=東京飛行場=羽田空港)におけるスチュワーデス一期生の実写写真となった。 とくに、本書では松尾靜磨に焦点をあてている。テレビでは吉岡秀隆が演じる。一方、アメリカに航空界をまかせたほうがいいと考える白州次郎。二人は航空再開をめぐって対立、マスコミと世論は松尾ら日本人の手による航空再開を支持、そしてついにナショナルフラッグとして日本航空が誕生した。客室乗務員は募集時点では「エアガール」とよばれており、その後、スチュワーデスという世界に通用する呼び方となった。 『日本航空一期生』は、創業時の社員全員を意味している。スチュワーデス、パイロット、整備士、地上職社員ら。敗戦後6年、うしなわれた「日本の空」をとりもどし、ナショナルフラッグを誕生させた創業時代の苦難と喜びを、当時の人々に取材し、資料を集めて描いている。

出典[編集]

  1. ^ a b 「文藝年鑑」(新潮社)より
  2. ^ a b 朝日新聞2005年5月24日-26日「こころの風景」および「WINDS」1998年2月号より
  3. ^ a b 出会いの連鎖::Back Number::本音のエッセイ::連載コーナー::分譲マンションと生活に関する情報 Wendy-Net”. 2023年1月3日閲覧。
  4. ^ 『嬉遊曲、鳴りやまず -斎藤秀雄の生涯』(新潮社 1996年刊)より
  5. ^ 「月刊ウェンディ」 2010年8月号「本音のエッセイ/出会いの連鎖」より
  6. ^ 産経新聞2009年1月31日より
  7. ^ a b 「月刊モーストリー・クラシック」(産経新聞社)より
  8. ^ 中公文庫『日本航空一期生』カバーより
  9. ^ ウィキペディア「エアガール」より
  10. ^ 2021年3月8日朝日新聞「フォーカス・オン」より

参考文献[編集]

  • 産経新聞2011年6月14日
  • 産経新聞2010年9月11日
  • 産経新聞2010年9月4日
  • 産経新聞2010年1月31日、3月22日
  • 毎日新聞2010年1月10日
  • 産経新聞2009年1月31日
  • 日経新聞2006年1月29日
  • 朝日新聞2005年5月24日-26日「こころの風景」
  • 「月刊ウェンディ」 2010年8月号「本音のエッセイ/出会いの連鎖」
  • 「文藝春秋」 2010年5月号
  • 「江古田文学」2010年77号
  • 「東京人」2009年7月号
  • 『こころを言葉に』(日本エッセイスト・クラブ編)2007年刊
  • 「三田評論」2003年7月号
  • 「オール読物」1998年8月号-11月号
  • 『新・学生時代になにを学ぶべきか』講談社 1998年刊
  • 『嬉遊曲、鳴りやまず -斎藤秀雄の生涯』(新潮社 1996年刊)
  • 「文藝年鑑」新潮社

関連項目[編集]

  • 茨城県出身の人物一覧
  • 女の一代記
  • [フジテレビ スペシャルドラマシリーズ 『女の一代記シリーズ (最終夜) 杉村春子』(2005年11月26日放送・主演:米倉涼子)]
  • [テレビ朝日 スペシャルドラマ『エアガール』(2021年3月21日放送・メインキャスト:広瀬すず、坂口健太郎、藤木直人、吉岡秀隆)]

外部リンク[編集]