ツケヒキ定石

ツケヒキ定石(ツケヒキじょうせき)は、囲碁における基本的な定石の一つ。小目に対する一間高ガカリから発生する下記の形を指す。他にもツケヒキを含む定石は数多くあるが、単に「ツケヒキ定石」と言った場合は下記の形を指す。

小目の一間高ガカリに対し、黒が下に1とツケ、白2のオサエに対して黒3と引いてできる形。ツケヒキが打たれた後、白からはaのカタツギまたはbのカケツギが普通。中央を重視する場合、cの大ゲイマあるいはdのケイマなどが打たれることがある。また白は何も打たず、このまま手を抜くこともある。

黒は隅に10目程度のを確保して安定し、白は下辺に展開して、部分的に互角とみなされる。

カタツギ[編集]

(上辺)白が1に堅くツイだ場合、次に白からaとツケる手を防いで、黒2あたりにトンでおくのが普通で、bにコスむ手もある。白は3と上辺へ二立三析にヒラいて一段落となる。後に黒cのツメからdの打ち込みなどが狙いとなる。

(下辺)白3と高くヒラく手もある。aやbなどに味方の石がいる時などは、バランスの観点からこちらへヒラくことが多い。黒はcにツメてからdへのオキ、eとツメればfの打ち込み、あるいは単独でgへの侵入などが後の狙いとなる。

カケツギ[編集]

(上辺)白が1にカケツイだ場合も、黒はやはりaのツケを嫌って2などに備えておく。白は3と、カタツギの場合よりも一路広くヒラけるのが利点。ただし黒からbにツメられるとcの打ち込みが厳しい(黒dのワタリが狙い)ので、白eとトンで備えておくのも立派な一手。

(下辺)左辺への発展を重視するなら、白1のカケツギに対して黒2のノゾキを利かせ、黒4へのコスミあるいはaへのケイマといった手もある。ただし後に黒bの打ち込みを失う(黒cでワタれなくなる)ため、近年はあまり打たれない。

大ゲイマ[編集]

白1と大ゲイマして中央制覇を狙う手もある。黒aのキリなら、白bから符号順に打って外勢を固める。黒は2などに打って、後に白の薄みを狙うことが多い。黒が手を抜けば、白から2あたりに打って封鎖する展開が考えられる。

手抜き[編集]

白はツケヒキの形のまま手を抜き、黒1のキリを許すこともある。後に白からaと引き出す手なども残る。このためさらに黒からaの点にカカエておくのも立派な一手。

定石の方向[編集]

ツケヒキ定石では、白が下辺に展開する形となる。しかし下辺の価値が低く石を向けたくない局面などでは、黒1のツケに対してaとオサエるのではなく白2 - 4と運び、ナダレ定石に持っていく手もある。これにより下辺でなく左辺に石を向けられる。黒もこれを嫌えば、黒1でbと上ツケするなどの手も考えられる。

参考文献[編集]