HARPS-N

HARPS-N(英:the High Accuracy Radial velocity Planet Searcher for the Northern hemisphere)はスペインカナリア諸島ラ・パルマ島ロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台の口径3.58m国立ガリレオ望遠鏡に設置された、高い波長分解能を持つ視線速度分光器である。

HARPS-Nは、チリラ・シヤ天文台の3.6m望遠鏡に取り付けられたHARPSという装置とよく似た装置で、チリからは観測できない北天を観測するためのカウンターパーツである[1]。HARPSと同じく視線速度法を用いた太陽系外惑星の捜索・観測を行っている。北半球に設置されたためはくちょう座こと座方向の主星が持つ惑星の研究に用いることができ、特にケプラー宇宙望遠鏡はくちょう座に発見した惑星候補のフォローアップ観測に用いることができる。

この機器の目指す主な科学目標は、惑星を発見したり、惑星の大きさと軌道傾斜角を決定できるトランジット法と軌道傾斜角に依存した量としての質量を決定できる視線速度法の観測を組み合わせることで発見した惑星の特性評価をすることである。特に大きさと質量が決まったことで求まる密度によって、岩石質のスーパーアースかガスが主成分の巨大ガス惑星かを区別することができる[2]。 HARPS-Nはジュネーブ天文台が主導し、ケンブリッジ (マサチューセッツ州)天体物理学センターセントアンドリュース大学エディンバラ大学クイーンズ大学ベルファストイギリス天体技術センター英語版イタリア天体物理学研究所英語版の協力で運営されている。

ファーストライト[編集]

HARPS-Nのファーストライト2012年3月27日に行われ、公式の観測は2012年8月1日に始まった[3]

脚注[編集]

  1. ^ Cosentino, Rosario; Lovis, Christophe; Pepe, Francesco; Collier Cameron, Andrew; Latham, David W.; Molinari, Emilio; Udry, Stephane; Bezawada, Naidu; Black, Martin; Born, Andy; Buchschacher, Nicolas; Charbonneau, Dave; Figueira, Pedro; Fleury, Michel; Galli, Alberto; Gallie, Angus; Gao, Xiaofeng; Ghedina, Adriano; Gonzalez, Carlos; Gonzalez, Manuel; Guerra, Jose; Henry, David; Horne, Keith; Hughes, Ian; Kelly, Dennis; Lodi, Marcello; Lunney, David; Maire, Charles; Mayor, Michel; et al. (2012). "Harps-N: the new planet hunter at TNG". In McLean, Ian S; Ramsay, Suzanne K; Takami, Hideki (eds.). Ground-based and Airborne Instrumentation for Astronomy IV. Vol. 8446. pp. 84461V. Bibcode:2012SPIE.8446E..1VC. doi:10.1117/12.925738. S2CID 125379344
  2. ^ Latham, David W.; HARPS-N Collaboration (2013). “HARPS-N: A New Tool for Characterizing Kepler Planets”. American Astronomical Society Meeting Abstracts #221 221: 231.02. Bibcode2013AAS...22123102L. 
  3. ^ Official operations starting on August 1st, 2012”. 2021年9月17日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]