東京市電気局乙1形電車

東京市電気局乙1形電車(とうきょうしでんききょくおつ1がたでんしゃ)は、1941年(昭和16年)に登場した東京市電気局(後の東京都交通局)の路面電車専用の電動貨車。

概要[編集]

静態保存されている乙2(2006年)
2020年7月時点での乙2。劣化が進行している。

1941年に東京市電気局が製造した無蓋貨車[1]。「乙」は「電動無蓋貨車」を意味する[1]乙10形に使用されていたと推定されるジョンバット台車を利用して、芝浦工場で2輌製造された[1]。後に台車はブリル21-E形に変更された[1]。戦後、乙1は三田車庫に、乙2は荒川車庫に配備されたが、乙1は余り使用されぬまま1967年(昭和42年)に廃車となった[1]。一方、乙2は荒川線で保線作業に使用されていたが1971年(昭和46年)3月20日に廃車となった[1]

主要諸元[編集]

荷重:5t
積載容量:15m3
全長:7,650mm
全幅:1,980mm
全高:3,453mm
主電動機出力:18.7kW

保存車両[編集]

乙2が、東京都文京区の神明都電車庫跡公園に6063号と共に保存されている[1]。保存時に車体を新造しているが[2]、劣化が進行したため、2021年(令和3年)から2023年(令和5年)に予定されている公園の再整備の際に、6063号と共に補修を行うこととなっている。

余談[編集]

荒川車庫・荒川車両検修所内で使用されている構内作業車に『乙3』という車番が付けられている。6000形などに準じた黄色地に赤帯の塗装が施されており、車庫内のイベント公開時に見ることが出来る。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 名取紀之 (2010年5月10日). “都電"乙2"を見る。 編集長敬白 鉄道ホビダス”. ネコ・パブリッシング. 2018年8月16日閲覧。(インターネットアーカイブ)
  2. ^ 江本『都電車両総覧』147頁。