有馬街道

有馬街道(ありまかいどう)は、大阪や神戸から有馬温泉に至る街道の名称である。現在では兵庫県道15号神戸三田線の別称として使用される。有馬道(ありまどう、ありまみち)ともいわれる。

有馬街道 平野交差点付近

概要[編集]

「有馬街道」「有馬道」と呼ばれた道は歴史的に以下の四つのルートがあった。

  1. 神崎尼崎市) - 伊丹伊丹市) - 小浜宝塚市) - 生瀬西宮市) - 有馬温泉
    別名「湯山湯乃山街道(ゆのやまかいどう)」。
    このルートは最も歴史が古く、有馬温泉へ行く天皇や貴族、武家が往来したとされる道。大阪の難波宮が起点だとする説もある。兵庫県道41号大阪伊丹線のごく一部(園田支所前交差点から猪名寺交差点まで)は旧街道がほぼそのまま舗装された区間である。京都からの道筋である西国街道から池田で分岐し小浜でこのルートに合流する道も有馬街道(有馬道)と呼ばれていたようである。また、羽柴秀吉三木城を攻める(三木合戦)折に、この街道を有馬温泉から三木まで延長整備したことにより、姫路から京都への最短ルートとして利用されるようになり、姫路 - 有馬温泉間も「有馬街道」もしくは「湯山街道」と呼ばれていた。なお、「湯山(ゆのやま)」とは有馬温泉の別名で、有馬温泉の場所が摂津国有馬郡湯山村であったことに由来する。
  2. 深江(神戸市東灘区) - 雨ヶ峠六甲山) - 本庄橋六甲山・廃橋) - 一軒茶屋付近(六甲山最高峰東脇) - 有馬温泉
    別名「魚屋道(ととやみち)」。
    魚問屋が有馬温泉の宿に魚を卸す際に1.の湯山街道を経由して運搬すると、時間がかかるのと継立による運搬費用がかさむ為、六甲山を越えるルートで魚を運ぶようになり、道が出来たとされる。阪神電車深江駅の南側にある大日神社から西国浜街道と分岐している。
  3. 住吉(神戸市東灘区) - 住吉道六甲山) - 本庄橋六甲山・廃橋) - 魚屋道六甲山) - 一軒茶屋付近(六甲山最高峰東脇) - 有馬温泉
    現在の神戸市道有馬住吉線(1993年までは兵庫県道328号山口住吉線の一部)で、別名「住吉道・魚屋道(ととやみち)」。
    本住吉神社境内東隣の南北に走る道の東南に「有馬道」の石碑があり、本住吉神社境内南東の交差点で本住吉神社境内の南に接し東西に走る西国街道本街道(現国道2号)と交差し、すぐ南方で本住吉神社参道と合流、南方の西国街道浜街道(現国道43号)に突き当たる。北側は住吉谷沿いの住吉道を六甲山頂方向に遡り、本庄橋(廃橋)付近で魚屋道に合流する。東海道本線住吉駅営業開始以後、阪鶴鉄道(現福知山線)や、神戸有馬電気鉄道(現神戸電鉄)経由が便利になるまで、有馬温泉客の主要往還ルートとなった。なお、この道と阪急電鉄神戸本線との交差箇所にある有馬道踏切付近は鉄道有名撮影地とされている。
  4. 平野(神戸市兵庫区) - 天王谷 - 山田(神戸市北区) - 唐櫃(有馬口) - 道場(神戸市北区) - 三田三田市)。
    現在の兵庫県道15号神戸三田線。(神戸市兵庫区~神戸市北区皆森交差点間は国道428号と重複)
    明治7年(1874年)に、「天王谷越え」と呼ばれていた山道を、有馬郡役所があった三田まで整備した道。

現在、「有馬街道」と言えば4.のルートで、国道28号と国道428号が分岐する神戸市中央区の有馬道交差点から国道176号と合流する神戸市北区の日下部交差点までの区間を指すのが一般的である。地図によっては、有馬口交差点を右折して有馬温泉を通り、1.のルートである旧・湯山街道の兵庫県道51号宝塚唐櫃線が国道176号と合流する西宮市の大多田橋交差点までを「有馬街道」としているものもある。また、1.や2.や3.の街道沿いであった地域では、現在でも一部を「有馬街道」もしくは「有馬道」と呼んでいる場合もある。2.3.のルートは、現在主としてハイキングコースとなっている。

沿道施設[編集]

歴史[編集]

妹尾河童の小説、少年Hの作中で主人公が行軍していた道は、有馬街道である。

関連項目[編集]