マザー・フォーカス

マザー・フォーカス
フォーカススタジオ・アルバム
リリース
録音 1975年5月
アメリカ合衆国の旗
ベルギーの旗
ジャンル プログレッシブ・ロックジャズ・フュージョンインストゥルメンタル・ロック英語版ファンク
時間
レーベル 欧州連合の旗ポリドール・レコード
アメリカ合衆国の旗アトコ・レコード
プロデュース フォーカス
Hubert Terheggen(エグゼクティブ・プロデューサー)
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 17位(ノルウェー[1]
  • 152位(アメリカ[2]
  • フォーカス アルバム 年表
    ハンバーガー・コンチェルト
    (1974年)
    マザー・フォーカス
    (1975年)
    シップ・オブ・メモリーズ-美の魔術-
    (1976年)
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    マザー・フォーカス』(Mother Focus)は、オランダプログレッシブ・ロックバンドフォーカス1975年に発表した5作目のスタジオ・アルバム。通算では6作目に相当する。

    内容[編集]

    2作目から前作までプロデューサーを務めたマイク・ヴァーノン英語版の手を離れ、バンド自身がプロデュースした[3][注釈 1]アルバム。1975年5月に新ドラマーのデヴィッド・ケンパーを迎えて制作されたが、「アイ・ニード・ア・バスルーム」のみ前任者のコリン・アレンがドラムスを担当した[4][注釈 2]

    前作まで作曲の中心的な役割を担ってきたタイス・ファン・レール(キーボード、フルート、ボーカル)とヤン・アッカーマン(ギター)は当時、ソロ・アルバムの制作を準備していたので、本作にはベルト・ライテル(ベース、ボーカル)が自作を4曲提供した。収録曲の大部分はインストゥルメンタルだが、「マザー・フォーカス」ではファン・レールが、「アイ・ニード・ア・バスルーム」ではライテルがボーカルを担当している[4][5]。バンドの友人が作曲した「ノー・ハング・アップス」は前年の夏頃からライブで取り上げられており、他の収録曲に先立ち1975年1月に録音された[6]

    アッカーマンは、本作を最後に1976年にバンドを脱退するが[7]、同年発売のアウトテイク集『シップ・オブ・メモリーズ-美の魔術-』には、脱退前の彼が参加した最後の2曲が収録された。また、1985年にはアッカーマンとファン・レールの連名による新作アルバムFocusが発表された[4]

    アッカーマンは1994年に発表したソロ・アルバムBlues Hearts[8]で、「フォーカスIV」を自作の'Soft Focus'として取り上げ、作者のファン・レールの怒りを買った。彼から盗作であると指摘され訂正を求められると、アッカーマンは1997年に発表したライブ・ソロ・アルバム10000 Clowns On A Rainy Day[9]で'Soft Focus'のライブ版を発表して、M. MuletaとT. van Leerの共作であるとした。M. Muletaとは彼の偽名である[10][11]

    反響・評価[編集]

    母国オランダのアルバム・チャートでは、『フォーカスII』(1971年)以降のアルバムとしては初めてトップ10入りを逃す結果となった[12]。ノルウェーのアルバム・チャートでは4週連続で17位を記録した[1]

    ベン・デイヴィーズはオールミュージックにおいて5点満点中2.5点を付け、タイトル曲に関して「アルバム中最も典型的なフォーカスの曲」、「アイ・ニード・ア・バスルーム」に関して「アルバム中最良のファンク・トラックの一つ」と評する一方、「『マザー・フォーカス』自体は良いアルバムだが、彼らの初期のアルバムにおいてプログレッシブ・ロック路線が特色となっていたことを考えると、期待外れに感じる人もいるかもしれない」と評している[7]

    収録曲[編集]

    サイド1[編集]

    1. マザー・フォーカス - "Mother Focus" (Jan Akkerman, Bert Ruiter, Thijs van Leer) - 3:04
    2. アイ・ニード・ア・バスルーム - "I Need a Bathroom" (B. Ruiter) - 3:05
    3. ベニー・ヘルダー - "Bennie Helder" (T. van Leer) - 3:32
    4. ソフト・ヴァニラ - "Soft Vanilla" (B. Ruiter) - 3:03
    5. ハード・ヴァニラ - "Hard Vanilla" (B. Ruiter) - 2:35
    6. トロピック・バード - "Tropic Bird" (B. Ruiter) - 2:43

    サイド2[編集]

    1. フォーカスIV - "Focus IV" (T. van Leer) - 3:58
    2. サムワンズ・クライング…ホワット! - "Someone's Crying… What!" (J. Akkerman) - 3:19
    3. オール・トゥゲザー…オー、ザット! - "All Together… Oh, That!" (J. Akkerman) - 3:42
    4. ノー・ハング・アップス - "No Hang Ups" (Paul Stoppelman) - 2:56
    5. マイ・スウィートハート - "My Sweetheart" (J. Akkerman, T. van Leer) - 3:36
    6. ファーザー・バッハ - "Father Bach" (T. van Leer) - 1:34

    パーソネル[編集]

    脚注[編集]

    出典[編集]

    1. ^ a b norwegiancharts.com - Focus - Mother Focus
    2. ^ Focus - Awards”. AllMusic. 2016年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月13日閲覧。
    3. ^ Johnson (2015), p. 147.
    4. ^ a b c Discography - FOCUS - THE - BAND”. Official Focus homepage. 2016年1月3日閲覧。
    5. ^ Focus (2) - Mother Focus (Vinyl, LP, Album) at Discogs
    6. ^ "50 Years: Anthology 1970-1976"のライナーノーツより。
    7. ^ a b Davies, Ben. “Mother Focus - Focus”. AllMusic. 2016年1月3日閲覧。
    8. ^ Discogs”. 2022年11月1日閲覧。
    9. ^ Discogs”. 2022年11月1日閲覧。
    10. ^ Doscogs”. 2022年11月1日閲覧。
    11. ^ Johnson (2015), p. 152.
    12. ^ Focus - Hamburger Concerto - dutchcharts.nl

    注釈[編集]

    1. ^ デビューアルバムFocus Plays FocusをプロデュースしたHubert Terheggenが、エグゼクティブ・プロデューサーを務めた。
    2. ^ 2020年に発表されたCD・ボックス・セットの50 Years: Anthology 1970-1976のライナーノーツでは「アレンは1975年2月にフォーカスを去っており、彼が演奏したのは同年1月に録音された『ノー・ハング・アップス』であった」と指摘されている。
    3. ^ 50 Years: Anthology 1970-1976のライナーノーツによれば、#10。

    参考文献[編集]

    • Johnson, Peet (2015), Hocus Pocus: The Strife and Times of Rock's Dutch Masters, Tweed Press, ISBN 978-0-646-59727-0 

    外部リンク[編集]