バトルタワー

バトルタワーとは、ポケットモンスターシリーズに登場する架空の施設のひとつである。

概要[編集]

クリスタル』で初登場。その名が示す通り、戦闘を行うための塔である。なお、いずれも壁面全体にガラスをあしらった近代的な姿を見せる。

それぞれ細かいシステムや目的は異なるが、NPCを相手に、プレイヤー同士の通信対戦に近い雰囲気を持った戦闘が楽めるという点では共通している。具体的には、通常のフィールド上で行われる戦闘とは異なり、ポケモンに対してアイテムを使用できず、ポケモンへの行動指示とポケモンの入れ替え、ギブアップ(逃げる)のみが許される。戦闘前に強制的にレポート(敗北した状態のデータを上書き)され、リセットによるやり直しが通用しないといった部分であり、プレイヤーの緊張感をかき立てる。

現在の所、『クリスタル』『ルビー・サファイア・エメラルド』『ダイヤモンド・パール・プラチナ』『ハートゴールド・ソウルシルバー』『ソード・シールド』『ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』で登場したが、それ以外の本編作品(『Let's Go! ピカチュウ・Let's Go!イーブイ』を除く)では、バトルタワーと同じような役割を担う施設か戦闘ルールが存在する。

共通ルール[編集]

細部のルールは作品によって異なるが、初登場作の『クリスタル』を除く対戦における基本ルールは下記のものに準ずる。なお、このルールはバトルタワーと同じとうなバトル施設と、一部のオンライン対戦なども適用される。

  • 手持ちポケモンは通常の6体までではなく3体(2対2戦である「ダブルバトル」のみ4体)となる。全勝するか敗北・リタイアするまで手持ちの変更ができない。
  • 同じポケモンは2体以上参加できない。
  • 一部特別なポケモン(基本ステータスが一定以上の伝説のポケモンや、幻のポケモンなど外部イベントにしか入手できないポケモン)およびポケモンのタマゴは参加できない。
  • ポケモンに対してアイテムを使用できない、ポケモンに道具を持たせることは可能であるが、全て異なるものでなくてはならない。
  • プレイヤーのポケモンのレベル上限が50である。レベル50以上のポケモンも参加できるが、一時的にレベルが50となり、能力もレベル50の時のものに換算される。
  • ポケモンスタジアム』等と異なり、「ねむり」や「こおり」についての制限は無い。
  • なかよし度は下がらないが、補正は得られない。
  • いかなる理由においても両トレーナーの最後のポケモン同士が同時に倒れた場合は、挑戦者であるプレイヤーの敗北と見なされる。
  • 1戦ごとに手持ちポケモンのHP・PP・道具を全快させてもらえるが、経験値は入手しない。
  • 対戦したポケモンはポケモン図鑑に記録されない。
    • ただし『ソード・シールド』以降、ポケモン図鑑に登録されていないポケモンであっても、対戦中に限りわざの相性が確認可能。

クリスタル版[編集]

アサギシティの北に位置し、シナリオ中盤から利用できる。モバイルアダプタGBによるオンライン専用コンテンツだった(バーチャルコンソール版では利用不可能)。2002年12月14日にモバイルアダプタGBのサービスが終了したため、現在では使用できない(最後にダウンロードしたデータとの模擬対戦のみ可能)。プレイするごとに専用サーバから敵トレーナーのデータをダウンロードし、彼らとの戦闘結果を任意でアップロードする。月刊配信されるニュースに通算の勝利数ランキングが掲載された。

1度のプレイでは、手持ちポケモンが全滅するか、あるいは敵トレーナー達に7連勝するまで続けられる。1日当たり最大5回までプレイできた。

最初期こそメーカーの用意したデータを相手に戦うことになったが、基本的に敵として現れるのは前日までに実際のプレイヤーが使っていたポケモン達のデータである。特に最後の7人目はバトルリーダーと呼ばれ、前日に最も少ないターン数で7人抜きを達成したプレイヤーがその座に就いた。リーダーに限らず、ポケモンにつけるニックネームや戦闘開始前後のセリフはプレイヤーが設定したものが反映される。

本作のバトルタワーでは、クリアしてもゲームを有利に進める手段(アイテム等)は一切手に入らない。純粋に戦闘を楽しみ、ランキング更新を目指すだけのストイックなシステムだった。

レギュレーション[編集]

上限のレベルが10から100までの10段階から選べた。それぞれ20部屋のバトルルームが用意されており、データが独立して記録されていた。レベル70以降は、いわゆる「伝説」「幻」を含む全種類のポケモンを使用できたという点で、後の作品に登場するバトルタワーとは一線を画している。

不正問題[編集]

サービス開始初期において、何らかのチートを用いたと思われる通常では覚えられない技を覚えたポケモン達が多数確認されたという。ユーザーの抗議もあってか、そのようなポケモンのデータは自動的に削除されるようになっていったが、個々では普通に覚えられる技だが、同時習得は不可能な組み合わせの技を覚えたポケモンカメックスの「カウンター」「ミラーコート」など)はサービス終了時まで存在していた。

ルビー・サファイア版[編集]

殿堂入り後に向かうことができる、ホウエン地方の南部にある孤島に存在する。対戦における基本ルールはクリスタル版に準ずるが、以下のような変更点がある。

  • 勝利数のみならず「連勝数」が記録される。50連勝・100連勝することがゲーム上の目標である。
  • 7人連勝を達成するごとにアイテムが入手できる。一定以上連勝数が増えると入手できるアイテムも希少な物となる。
  • 相手は基本的にゲーム内で設定されたノンプレイヤーキャラである。連勝数が多いほど強い者が現れる。
  • 通信した(レコードを混ぜた)他プレイヤーが敵として出現することがある。
  • 行動パターンは特殊なケースを除いてほぼ完全にランダムであるため戦略性に乏しい。
  • バックの持ち物数が限界になった状態でバトルタワーに参加するとバグが発生する。バグが発生した場合は今後一切バトルタワーに参加できなくなるので注意。

本作では直接登場することのない「バトルリーダー」「バトルルーム」等の単語が「かんたん会話」に存在することや、タワー付近に「35連勝」を目指すトレーナーがいるのはクリスタル版の名残と言える。

レギュレーション[編集]

上限レベルが「レベル50」「レベル100」の2類のみ存在する。なお、レベル51以上のポケモンは一時的にレベルが50に変更できないため、「レベル100」のルールでしか参戦できなくなった。

ゲーム側で用意された敵トレーナーは、全てレベルが上限に達したポケモンを繰り出してくる。どちらのレベルでも敵ポケモンの育成方針や技は変わらないが、レベル100でのみ出現するパターンが少数存在する。

なお、(『ルビー・サファイア』当時)外部イベントにしか入手できないラティオスラティアスの専用アイテム「こころのしずく」の「とくこう」「とくぼう」を上昇させる効果を発揮しない(持たせるだけは可能)。

エメラルド版[編集]

バトルフロンティアの一施設である。詳細はリンク先を参照。『ルビー・サファイア』ではほぼランダムだった思考ルーチンが大幅に改善されたり、戦闘形式として従来通りのシングルバトルのほか、2対2戦である「ダブルバトル」と、別トレーナーとタッグを行う2対2戦「マルチバトル」も選択できるようになったなど、多数の改良点がある。同時に難易度も大幅に上昇している。

ダイヤモンド&パール版[編集]

殿堂入り後向かうことができる、シンオウ地方の北にあるバトルゾーンに存在する(『プラチナ』ではバトルフロンティアの一施設として存在)。

『エメラルド』のようにコンピュータ相手のシングルバトル・ダブルバトル・マルチバトルを選べると同時に、シングルバトル専用コンテンツとしてニンテンドーWi-Fiコネクションを活用したオンライン仕様の「Wi-Fiルーム」でも選ぶことができる(2014年5月20日に同サービスが終了したため、現在では使用できない)。Wi-Fiルームではクリスタルの時と同じく前回のプレイで優秀な成績を収めたプレイヤーを相手に戦うことになる。Wi-Fiルームにおいてはプレイヤーごとにランクが設定される。7連勝を達成するごとにランクが上昇し、同じランクのプレイヤーが対戦相手として出現するので、必然的に近い実力の対戦相手が選ばれることになる。

また、マルチバトルではゲーム中に登場したキャラクターのほか、近くのプレイヤーとワイヤレス通信を利用してタッグを組むこともできる。

7連勝達成ごとに連勝数に応じた得点「バトルポイント」が得られ、貴重なアイテムと交換できる。一定の連勝数に達するごとに「タワータイクーン」と呼ばれる強力なトレーナーが出現し、彼に勝利することでより高いバトルポイントを得ることができる。これらはエメラルド版のバトルフロンティアのシステムと共通している。

レギュレーション[編集]

  • 本作よりレベル100ルールを廃止し、現行の「レベル50」と一本化となる。
    • レベル50以上のポケモンが、レベル・能力一時的にレベルが50と換算されて参加できるが、『ダイヤモンド・パール』にてヒードランレジギガスではレベル50時の能力を設定されなかった(2方とも初期レベルが51以上)により使用できなかったが、『プラチナ』以降ではレジギガスの初期レベルが1でヒードランの初期レベルが50に変更したことでバトルタワーやそれに相当する施設で使用できるようになった。
    • 相手のポケモンもすべてレベル50である。
  • 『ルビー・サファイア・エメラルド』と同じく、特別なポケモンは使用できず、アイテム「こころのしずく」の効果を発揮しない。
  • ロトムのフォルムチェンジ機能は利用できず、強制的にノーマルフォームになる。

ハートゴールド・ソウルシルバー版[編集]

エメラルド版同様。バトルフロンティアの一施設である。詳細はリンク先を参照。

ソード・シールド版[編集]

シュートシティにある、ローズタワーを元にした施設に存在する。殿堂入り後バトルタワーとして使用できるようになった。オーナーは元チャンピオンであるダンテ。

これまでのバトル施設という7連戦形式ではなく、ルール別(シングルバトル・ダブルバトル)に11ランクが設定され、ランクごと9勝を達成するとマスター(ランク10を除くはダンテ)と対戦し、それも勝利すると次のランクへ昇格という形式である。新形式によりバトルは1戦ごとに完結に変更された。また、ゲーム側か他のプレイヤーで用意された「レンタルパーティ」も使用できる。

Pokémon HOME』リリース以降、他作品から連れてきたポケモンが技を全て忘れさせて、ソード・シールド内の同ポケモンに相当した仕様へのコンバート機能「バトルレギュレーションマーク」が追加された。

レギュレーション[編集]

対戦における基本ルールは『ダイヤモンド・パール・プラチナ』版などに準ずるが、下記の点が異なる。

  • クリスタル版同様に特別なポケモン(幻のポケモン含め)への使用制限はない。
  • ロトムなど、フォルムチェンジができるポケモンの現在のフォルムは反映される。
  • ラティオス、ラティアスの専用アイテム「こころのしずく」の効果を発揮できるようになった(もっとも、『サン・ムーン』以降の作品では同アイテムの効果が変更された)。

ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール版[編集]

『ダイヤモンド・パール』のリメイク作品であり、バトルタワーの基本仕様も上記の2作に準ずるが、下記の点が異なる。

  • マルチバトルとWi-Fiバトルを廃止、現行の作品と同様にシングルバトルとダブルバトル2ルールのみとなる。
  • 『ダイヤモンド・パール』のルールに準ずるノーマルクラス(負ければ最初からやり直し)と、ノーマルクラス49戦を連勝すると挑戦できる、『ソード・シールド』のようなランクシステムを採用したマスタークラス(負ければランクが下がる)の2つに分かれる。
  • ロトムのフォルムチェンジと、ラティオス、ラティアスの専用アイテム「こころのしずく」は利用できるようになった。