ハタホオジロ

ハタホオジロ
トルコのアダナ
Corn Bunting (Emberiza calandra) (W1CDR0001392 BD1).ogg
イングランドのドーセットでのオスのさえずり
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ目 Passeriformes
: ホオジロ科 Emberizidae
: ホオジロ属 Emberiza
: ハタホオジロ E. calandra
学名
Emberiza calandra
Linnaeus, 1758
シノニム
  • Emberiza miliaria Linnaeus, 1766
  • Miliaria calandra (Linnaeus, 1758)
  • Miliaria europaea Swainson, 1837
  • Miliaria minor (Radde, 1884)
  • Crithagra miliaria (Linnaeus, 1766)
和名
ハタホオジロ
英名
Corn bunting
亜種
  • E. c. calandra
  • E. c. buturlini
ハタホオジロの生息域     繁殖      留鳥      非繁殖

ハタホオジロ(Emberiza calandra)は、スズメ目ホオジロ科である。ホオジロ科は、現在、多くの研究者によってアトリ科から区別されている。ホオジロ属の中では比較的大型で、黄褐色がかった茶色の縞模様の羽毛を持つ。両性はよく似ているが、オスの方がメスよりも若干大きい。生息域は、西ヨーロッパ北アフリカから中国北西部にまで及ぶ。

分類[編集]

1758年にスウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネによって、『自然の体系』(Systema Naturae)第10版の中で公式に記載され、Emberiza calandraという学名が与えられた[2]。模式地は、スウェーデンである[3]。属名のEmberizaは、古高ドイツ語で「ホオジロ」を意味するEmbritzという言葉に由来する。また、種小名calandraは、古代ギリシア語クロエリコウテンシを意味するkalandrosという言葉に由来する[4]単型ハタホオジロ属(Miliaria)が置かれることもある[5][6]

2つの亜種が知られている[7]

記載[編集]

ホオジロ属の他の種とは異なり、両性の羽毛の見た目が似ているが、オスはメスよりも約20%大きい。体長は約16-19cmで、目立つ黒い目と黄色いくちばしを持つ。オスは、ホオジロ属に特徴的な、特に頭部の派手な色を欠く。両性とも、頭側は灰色がかった茶色、尾側は白っぽい縞模様で、見た目がヒバリに似ている。横腹と胸に縞模様があり、縞模様は喉の周りでは、鎧の首当てのようになる。小翼の雨覆羽は、独特の暗い色で、先端は白色である。尻尾は無地の茶色である[8]

オスのさえずりは、鍵がジャラジャラ鳴る音に例えられる反復的な金属音で、低い茂み、フェンスの柱、または電話線等から発せられる。

分布と生息地[編集]

ヨーロッパの南部および中部、北アフリカ、カザフスタンまでのアジアで繁殖する。大半は留鳥であるが、中央ヨーロッパやアジアの寒冷な地域に住むものは冬季には南方に渡りを行う。農地や雑草の茂る荒れ地等、木々が生えた開けた場所に生息する。北西ヨーロッパでは、雑草の種子や若鳥の生育に必要な昆虫等の食糧供給を奪う集約農業の慣行により、個体数を大幅に減らしている。かつては多くの個体が生息していたウェールズアイルランドでは、近年絶滅した。

行動と生態[編集]

食糧[編集]

野生での食糧は主に種子であるが、特に若鳥は、コオロギ等の昆虫も食べる。

繁殖[編集]

繁殖期には、オスは縄張りを守り、一夫多妻制で、繁殖期のオス1羽に対し、3羽までのメスがつがいになる。性比はほぼ1:1であるので、繁殖期につがいになれないオスが出ることになる。巣作りや抱卵にはオスはあまり関わらず、半分以上まで成長した雛にのみ餌を与える。

巣は通常、草を材料に地面の上に作られる。抱卵数は3個から5個、平均4個であるが、6個になることもある。

保全状況[編集]

イングランドでは、政府外公共機関であるナチュラル・イングランド環境スチュワードシップの下、この種の保護対策の実施に対して助成金を支給している[9]

出典[編集]

  1. ^ BirdLife International (2019). Emberiza calandra. IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T22721020A155499724. doi:10.2305/IUCN.UK.2019-3.RLTS.T22721020A155499724.en. https://www.iucnredlist.org/species/22721020/155499724 2021年11月12日閲覧。. 
  2. ^ Linnaeus, Carl (1758) (ラテン語). Systema Naturae per regna tria naturae, secundum classes, ordines, genera, species, cum characteribus, differentiis, synonymis, locis. 1 (10th ed.). Holmiae (Stockholm): Laurentii Salvii. pp. 176-177. https://www.biodiversitylibrary.org/page/727083 
  3. ^ Paynter, Raymond A. Jr, ed (1970). Check-List of Birds of the World. 13. Cambridge, Massachusetts: Museum of Comparative Zoology. p. 6. https://www.biodiversitylibrary.org/page/14483241 
  4. ^ Jobling, James A. (2010). The Helm Dictionary of Scientific Bird Names. London, United Kingdom: Christopher Helm. pp. 84, 145. ISBN 978-1-4081-2501-4. https://archive.org/details/helmdictionarysc00jobl_997 
  5. ^ Cramp & Perrins 1994, p. 323.
  6. ^ Lepage, Denis. “Corn bunting”. Avibase - The World Bird Database. 2020年7月2日閲覧。
  7. ^ Sylviid babblers, parrotbills, white-eyes”. IOC World Bird List Version 10.1. International Ornithologists' Union (2020年). 2018年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月2日閲覧。
  8. ^ Corn Bunting Emberiza calandra”. Bird Field Guide. 2017年12月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月21日閲覧。
  9. ^ Natural England Environmental Stewardship Scheme webpages
  • Cramp, Stanley; Perrins, C.M., eds (1994). “Miliaria calandra Corn Bunting”. Handbook of the Birds of Europe the Middle East and North Africa. The Birds of the Western Palearctic. IX: Buntings and New World Warblers. Oxford: Oxford University Press. pp. 323-338. ISBN 978-0-19-854843-0 

外部リンク[編集]