ヴォストック島

ヴォストック島
現地名:
Vostok Island

愛称: Staver Island
海から臨むヴォストック島
ヴォストック島の位置(太平洋内)
ヴォストック島
地理
場所 中部太平洋
座標 南緯10度6分 西経152度23分 / 南緯10.100度 西経152.383度 / -10.100; -152.383
諸島 南部ライン諸島
面積 0.24 km2 (0.093 sq mi)
長さ 700 m (2300 ft)
600 m (2000 ft)
最高標高 5 m (16 ft)
行政
区域 ライン諸島
人口統計
人口 0
人口密度 0 /km2 (0 /sq mi)
追加情報
時間帯
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ヴォストック島Vostok Island)は、中部太平洋に存在するキリバス領の無人島環礁)。南部ライン諸島に属する。ステイヴァー島Staver Island)という名前でも知られる他にも別名の多い島で、Vostokと綴りの異なるBostock IslandWostock IslandWostok Islandの他、アン島Anne Island)、レヴィッツ島Leavitts Island)、リーパー島Reaper Island)などと呼ばれることもある。

地理と植物相、動物相[編集]

ヴォストック島は南緯10度6分 西経152度23分 / 南緯10.100度 西経152.383度 / -10.100; -152.383に位置し、面積は24ヘクタール (59エーカー)である。最も近い島はライン諸島最南端の島、フリント島でヴォストック島の南南東158キロメートル (98マイル)の位置にある。カロリン島(ミレニアム島)は、東230キロメートル (140マイル)の位置にある。また、マルデン島は北北西709キロメートル (441マイル)の位置にある。

ヴォストック島は、サンゴ殻に由来する幅25 and 30メートル (82 and 98フィート)の砂浜に囲まれている。島内には環礁によく見られる礁湖は存在せず、淡水も存在しない。加えて淡水レンズの存在も確認されていない。ヴォストック島の大部分は厚さ1mほどの湿った泥炭層に根付くピソニア属英語版の純群落である。これらの木々は最大で高さ30メートル (98フィート)に及ぶが、非常に高密度で自生しているため、これらの下には他の植物は生育することが出来ないほどである[1]。ピソニア属以外には、草本Boerhavia repensSesuvium portulacastrumが生えている程度である。

ライン諸島の他の島々と同様に、1922年にはココヤシの苗木が移植されたが失敗に終わっている。その一方で、ココヤシが移植された近隣の島、フリント島カロリン島では、ココヤシの自生に成功している[1]

注目すべき動物相としては、アカアシカツオドリ (Sula sula)、オオグンカンドリ (Fregata minor)、コグンカンドリ (Fregata ariel)、ヒメクロアジサシ (Anous minutus)、シロアジサシ (Gygis alba)、アオツラカツオドリ (Sula dactylatra)、カツオドリ (Sula leucogaster)、クロアジサシ (Anous stolidus)といった海鳥が挙げられる。知られている陸生の動物相は、ナンヨウネズミ、青色の尾をもつトカゲヤシガニアオウミガメに尽きる。

歴史[編集]

ヴォストック島は、1820年ロシア人探検家ファビアン・ゴットリープ・フォン・ベリングスハウゼンによって発見され、ベリングスハウゼンの乗っていた船の名前、ヴォストークロシア語: Востокロシア語ラテン翻字: Vostok[注釈 1]にちなんで名づけられた[2]1856年に成立したグアノ島法においてアメリカ合衆国が領有を主張したが、実際にグアノの採掘がおこなわれることはなかった[1]。ヴォストック島に過去人が居住していたことがあるかについてははっきりしていないが、ナンヨウネズミが生息していることから、はるか昔にポリネシア人が島を訪れたことがあると考えられる。

ヴォストック島は結局、イギリス領のギルバートおよびエリス諸島に組み込まれ、1979年キリバスが独立すると、周辺のライン諸島の島々と同様にキリバス領となった。アメリカ合衆国による領有の主張もキリバスの独立前まで行われていたが、キリバス独立後に結ばれたタラワ条約において、キリバスによる領有を公式に認め、領有権の主張を取り下げている[3]

ヴォストック島は現在、ヴォストック島自然保護区Vostok Island Wildlife Sanctuary)に指定されている[4][5]。また、2014年にキリバス政府は、南部ライン諸島の島(カロリン島(ミレニアム島)フリント島ヴォストック島マルデン島スターバック島)各々の周辺に12海里の禁漁区を設定した[6]

孤立しているため、時折訪れる科学者やヨット乗りを除いて、人が訪れることはほとんど無い[6]クルーズ客船のオーシャン・プリンセスの乗客は、フランス領ポリネシアからハワイへの航路の途中でヴォストック島を見ることが出来る。上陸は難しいと言われており、船を接岸できる場所も停泊できる場所も存在しない。

ギャラリー[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ロシア語で東を意味する。

脚注[編集]

  1. ^ a b c Resture, Jane. “Vostok Island, Line Islands”. janeresture.com. 2015年5月15日閲覧。
  2. ^ “Bellingshausen and the discovery of Antarctica”. Polar Record (Cambridge University Press) 15 (99): 887–889. (September 1971). doi:10.1017/S0032247400062112. http://journals.cambridge.org/action/displayAbstract?fromPage=online&aid=5654852 2015年1月6日閲覧。. 
  3. ^ US Department of State Background Note
  4. ^ Edward R. Lovell, Taratau Kirata & Tooti Tekinaiti (2002年9月). “Status report for Kiribati's coral reefs”. Centre IRD de Nouméa. 2015年5月15日閲覧。
  5. ^ Paine, James R. (1991). IUCN Directory of Protected Areas in Oceania. World Conservation Union. ISBN 978-0-8248-1217-1 
  6. ^ a b Warne, Kennedy (2014年9月). “A World Apart – The Southern Line Islands”. National Geographic. 2015年5月15日閲覧。

外部リンク[編集]