アサノハカエデ

アサノハカエデ
雄花序 福島県会津地方 2014年5月
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: ムクロジ目 Sapindales
: ムクロジ科 Sapindaceae
: カエデ属 Acer
: アサノハカエデ A. argutum
学名
Acer argutum Maxim. (1867)[2]
シノニム
和名
アサノハカエデ(麻の葉楓)[5][6]
英名
Deep-veined Maple

アサノハカエデ(麻の葉楓[7]学名: Acer argutum)はムクロジ科カエデ属落葉小高木雌雄異種[5][8]。和名は、葉脈の流れ方がアサ科アサ(麻)の葉に似ることによる[5][6]

分布と生育環境[編集]

日本固有種[1][9]本州福島県新潟県以西および四国に分布し、山地の林縁、谷間、谷間に続く斜面に生育する[5][8]。高地の沢沿いに多く[6]関東地方では、標高800 - 1900メートル (m) の山地にみられる[5]。寒冷な山地の沢沿いで見られるが、個体数は少ない[7]

特徴[編集]

樹高は5 - 10メートル (cm) に、幹の直径は15 - 20センチメートル (cm) になる。樹皮には皮目が点在する。冬芽の鱗片は2対あり、敷石状に並び、紫褐色になる。鱗片葉は長さ1.5 - 2 cmになるへら形で、背面に短い軟毛が密生する。

頂芽側芽および仮頂芽から伸びて、2 - 5対、対生する。この他、雌花序の基部に1対のをつけるが、雄花序の基部にはつかない。葉身は、長さ2.5 - 6.5 cm、幅3 - 8 cmで、掌状に5 - 7浅・中裂し、裂片の先は尾状にとがり、基部は心形から切形になり、縁は細かい重鋸歯がある。葉の表面は無毛で、裏面に短伏毛が密生し、ときに白色を呈する。葉柄は長さ2 - 10 cmあり、葉身より長く、毛はない[5][6][8]。秋には紅葉し、黄色に色づく[7]

花期は5月。葉の展開に伴って、花序を前年枝の仮頂芽および側芽から出す。は淡黄緑色。雄花序は束状で花が7 - 10個垂れ下がり、花柄は長さ約1.5 cm、萼片は4個あり黄緑色で長さ3ミリメートル (mm) 、花弁は4個で萼片より小さい。雄蕊は4個で長さ約5 mmになる。雌花序は散房状で花が約10個垂れ下がり、萼片は4個あり黄緑色で長さ2 - 3 mm、花弁は4個で萼片より小さく、雄蕊はないか、あっても1 - 2個で短い。子房は無毛で、花柱は外曲する。果期は8 - 9月。果実翼果で、果序は総状で垂れ下がり、分果は無毛で長さは2 - 2.5 cmになり、果翼はほぼ水平に開く[5][6][8]

利用[編集]

材は、器具材などとして利用される。また、寒冷地では庭木として植栽される[5]

脚注[編集]

  1. ^ a b Harvey-Brown, Y. (2020). Acer argutum. The IUCN Red List of Threatened Species 2020: e.T193519A2241234. doi:10.2305/IUCN.UK.2020-1.RLTS.T193519A2241234.en. Downloaded on 17 June 2021.
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Acer argutum Maxim. アサノハカエデ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月28日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Acer argutum Maxim. f. minus Sugim. アサノハカエデ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月28日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Acer argutum Maxim. f. latialatum Sugim. アサノハカエデ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月28日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h 茂木透・石井英美ほか 2000, pp. 368–369
  6. ^ a b c d e 猪狩貴史 2010, pp. 12–13
  7. ^ a b c 林将之 2008, p. 49.
  8. ^ a b c d 佐竹義輔ほか編 1989, p. 9
  9. ^ POWO (2019). Plants of the World Online. Facilitated by the Royal Botanic Gardens, Kew. Published on the Internet; http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:781231-1 Retrieved 17 June 2021.

参考文献[編集]

  • 猪狩貴史『カエデ識別ハンドブック』文一総合出版、2010年10月30日。ISBN 978-4829911754 
  • 佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本II』平凡社、1989年2月。ISBN 4582535054 
  • 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月2日。ISBN 978-4-8299-0187-8 
  • 茂木透、石井英美ほか『樹に咲く花(離弁花2)』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑4〉、2000年10月。ISBN 4635070042 
  • 大場秀章編著『植物分類表(初版第3刷訂正入)』アボック社、2011年。