みなとみらい21中央地区52街区
みなとみらい21中央地区52街区開発事業 | |
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情報 | |
設計者 | 久米設計[1] |
施工 | フジタ・大和ハウス工業共同企業体[2] |
事業主体 | <オフィス棟> DKみなとみらい52街区特定目的会社[1] (大和ハウス工業と光優が出資する特定目的会社) <ミュージアム棟> 光優[1] |
構造形式 | <オフィス棟> S造・一部SRC造(免震構造)[1][2] <ミュージアム棟> S造[1] |
敷地面積 | 11,818.44 m² [1] |
建築面積 | 7,308.73 m² [1] |
延床面積 | 1,113,898.83 m² [1] |
状態 | 建設中 |
階数 | <オフィス棟> 地上29階、地下2階、塔屋6階[1] <ミュージアム棟> 地上3階[1] |
高さ | <オフィス棟> 最高部高さ179.8 m(塔屋含む)[3] <ミュージアム棟> 約31 m[4] |
駐車台数 | 193台(荷捌き10台含む)[1] |
着工 | 2024年2月22日[1] |
竣工 | 2027年5月30日(予定)[1] |
開館開所 | 2027年7月(予定)[1] |
所在地 | 〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい5丁目1番2他 |
座標 | 北緯35度27分44秒 東経139度37分45秒 / 北緯35.46222度 東経139.62917度座標: 北緯35度27分44秒 東経139度37分45秒 / 北緯35.46222度 東経139.62917度 |
みなとみらい21中央地区52街区(みなとみらい21ちゅうおうちく52がいく)は、神奈川県横浜市西区にある再開発計画街区の名称。開発事業者はDKみなとみらい52街区特定目的会社(大和ハウス工業と光優[注 1]が出資する特定目的会社)、設計は久米設計、施工はフジタ・大和ハウス工業共同企業体[注 2]。2024年2月に着工し、2027年5月に竣工する予定[1][2][10]。
本項では主に当街区における再開発計画について記す。
概要
[編集]みなとみらい地区の52街区(敷地面積は約11,820 m2)において地上29階・地下2階、最高部高さ約179.8 mの超高層ビルとなるオフィスビルやゲームアートミュージアム、地域熱供給プラントなどからなる複合施設を建設する計画である[1][3][11]。
当街区は北側の市有地(約5,618 m2)と南側の国有地(約6,200 m2)にもともと分かれており、国有地も含まれるため二段階一般競争入札が実施された[12][注 3]。同入札が2010年代はじめ頃に全国初の試みとして二度実施[13][14]された際にはいずれも開発事業予定者の決定に至らなかった[12][注 4]が、2020年11月から翌2021年にかけて約10年ぶりに実施された三度目の入札[19][20]では、審査を通過した2者で行われた同年6月の競争入札により、開発事業予定者が大和ハウス工業と光優のグループに決定した[21][注 5]。
2022年6月には国土交通大臣の民間都市再生事業計画に認定[26][27]。当初は2023年1月の着工および2026年6月の竣工を予定していた[9]が着工に至らず、2023年3月になって当街区開発に関する都市計画の変更提案(容積率の最高限度を800%から880%に緩和など[注 6])が開発事業者から出され[11][29][30]、手続きや審議[31]を経て同年8月末には変更が告示[32]、都市再生特別地区の「みなとみらい21中央地区52街区地区」となった[33]。その後、同年11月頃より準備工事(先行工事)に着手し、翌2024年2月に本着工を迎えた[1]。当初の予定より工期はちょうど1年程後ろ倒しとなり、2027年5月末の竣工を予定している[1]。
導入する施設計画
[編集]オフィスビル
[編集]街区の北側[注 7]にはみなとみらい地区で横浜ランドマークタワーに次ぐ高さを誇る最高部約179.8 m(塔屋含む)、地上29階建ての超高層オフィスビルを建設[3][11]。
4 - 29階のオフィスフロアには、研究開発 (R&D) 部門や横浜国立大学のサテライトスタジオを誘致予定[34]。屋上には当ビルに入居するオフィスワーカー向けのラウンジ(休憩スペース)を設置し[11]、2・3階のイノベーションプラットフォーム等のフロア(オープンイノベーションスペース[33])には会議室、シェアオフィス、コワーキングスペース、インキュベーションラボのほか、イベントスペースのイノベーションスタジオ、オフィスワーカー向けのワーキングラウンジ、地域交流を促進するコミュニケーションカフェなどの設置も計画されている[4][10][11]。また、1階は店舗(5店舗)や駐車場などとなる[1][3][4][11]。
当ビルは免震システムを導入しているほか、非常用発電機や貯水タンクを設置することで電力や水など連続72時間使用可能とする事業継続計画 (BCP) としており、水や食料などを備蓄する防災倉庫の設置も予定されている。また、屋上に太陽光発電の設備も設置する計画で、建物環境性能の評価で高水準となる「ZEB Oriented」などの取得を目指している[1]。
後述の地域熱供給プラントに関連して、建物の頭頂部に塔屋6階分にもなるクーリングタワー(冷却塔)が設置されているのも外観的に大きな特徴である[1][3]。
ゲームアートミュージアム
[編集]街区の南側[注 8]には世界初のゲームアートミュージアムと緑豊かなアートガーデンを設け[3][6][11][26]、2027年7月の開業を予定している[35][36]。事業主体はコーエーテクモホールディングスの関連会社である光優[1][注 1]。
ゲームアートミュージアムはらせん状円形の3階建て建築が特徴的である[3][11][37]。らせん状の建物は渦巻や巻貝、DNAをモチーフとしており、生命の源「LIFE」を表現[38]。この外観デザインはグラフィックデザイナーの永井一正が担当した[39][40]。
展示コンテンツは『信長の野望シリーズ』や『三國志シリーズ』などコーエーテクモゲームスのゲーム[3][38]のほか、他社とも連携して世界中のゲームファンに向けた施設とする方針[41]。総合ディレクターは演出家の吉谷晃太朗、統括プロデューサー・アドバイザーはチームラボボーダレスの企画運営を手がけた杉山央が担当している[41][42]。
ミュージアムの周辺には日本庭園をコンセプトに池や水路などの水辺を設け、木々などの植栽を施したアートガーデン(約3,000 m2)を整備[3][4][11][38]。『信長の野望シリーズ』に登場した庭園のモチーフも一部に取り入れ、永井一正の立体作品展示も計画[38]。また、夜はゲームの世界観を演出するプロジェクションマッピングも実施予定[1]。外周路やポケットパークはオープンスペースで誰でも入ることが可能であるが、その内側の大部分にあたるアートガーデンに入る際はミュージアムの入場券が通常時必要となる見込みである[3][注 9]。
地域熱供給プラント
[編集]オフィス棟からミュージアム棟の地下にはみなとみらい21熱供給の地域熱供給システム第3プラント(光優が区分所有)が整備される。このプラントは地区全体におけるピーク負荷(地区内でのエリア拡大を想定した最終熱需要)の約20%を賄うことができる冷凍能力20,000 RTに対応し、地区内のエネルギー安定供給と環境性向上に貢献する[1][4][43][44]。
歩行者動線の整備計画
[編集]みなとみらい地区の重要なペデストリアン軸(歩行者動線)の一つであるキング軸が当街区の北側と南側を隔てるように貫いており、本開発に伴う歩行者動線の整備により同軸も完成を迎える[6][11]。
当街区内に整備される歩行者デッキ「キングデッキ」は、高島中央公園との間に設置される高島中央歩道橋(本開発に伴い公園側の階段部分を除き撤去され今後再整備予定、いずれもキング軸の一部)と接続する計画で、さらに53街区「横浜シンフォステージ」や54街区「横浜グランゲート」方面のデッキ(横浜駅東口までデッキレベルでアクセス可能)、60・61街区方面のとちのき通り上に今後設置されるデッキ(とちのき通り歩行者デッキ〈歩道橋〉)[注 10]とも接続する計画となっている[3][11][25]。
脚注
[編集]注釈
- ^ a b 光優はコーエーテクモホールディングス(傘下のコーエーテクモゲームスは47街区のKTビル内に本社を移転)の親会社である光優ホールディングスのグループ企業[5][6][7][8]。
- ^ 当初は清水建設が施行する予定であった[9]。
- ^ 開発の提案内容(企画提案書)を審査した上で、同審査を通過した提案者の間で価格競争入札を行う二段構えの入札手法で、横浜市と国(財務省関東財務局)が合同公募を実施した[12][13][14]。
- ^ 2011年10月より、国有地では全国初の試みとなる二段階一般競争入札による公募を実施した[13][14]が、結果は不調に終わっている[12][15]。さらに翌2012年12月より行われた公募では1件の企画提案があり2013年5月にも入札が予定されていた[15][16]が、企画提案者が取り消した(参加辞退した)ため実施されなかった[12][17][18]。
- ^ 当初は2019年度から2020年度にかけて公募と二段階一般競争入札が予定されていた[22]が、約1年遅れて2020年11月から2021年3月にかけて事業提案(企画提案書)を受け付け、二度の審査後、同年6月22日に審査通過者(2者)による競争入札を実施[19][20][23][24][25]、開発事業予定者が決まった。なお、土地売買契約について国有地は2021年7月21日に締結、市有地は事業予定者決定から1年後の2022年6月22日までに締結している[21]。
- ^ 当街区(ビジネスゾーンA)の建築物等の高さの最高限度はもともと300 mであった[28]が、北側のオフィス棟区域の最高限度を180 m、南側のミュージアム棟区域の最高限度を40 mなどに変更する提案も出され[11]、変更が実施されている。
- ^ 歩行者動線のキング軸より北側(かつて市有地)の敷地。
- ^ 歩行者動線のキング軸より南側(かつて国有地)の敷地で、地下にはみなとみらい線が通っている。
- ^ アートガーデンをミュージアム利用者以外にも一般開放するイベントなどは検討[3]。
- ^ このデッキは60・61街区で計画されている「MM60・61プロジェクト/リンケージテラス」の開発施設(ホテル・オフィス・ミュージアム・専門学校など)とも接続する計画があり[45]、さらにその先のKアリーナ横浜がある「ミュージックテラス」や62街区で計画されている「HARBOR EDGE PROJECT」の開発施設(ラグジュアリーホテル・デジタル水族館など)までデッキレベルでの接続が計画されている[46](「Kアリーナ横浜#隣接地の開発」も参照)。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x “「みなとみらい21中央地区52街区開発事業」着工”. 大和ハウス工業 (2024年2月21日). 2025年5月11日閲覧。
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- ^ コーエテクモの光優が運営する「ゲームミュージアム」や29階建てオフィスを含む、MM21街づくりに大和ハウスが着工(BUILT, 2024年03月11日)
- ^ a b c 世界初のゲームアートミュージアム、みなとみらいに超高層複合ビル(日経クロステック 2022年7月13日)
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- ^ 横浜・新高島駅近くに超高層オフィスビル 26年完成見込み(神奈川新聞〈カナロコ〉 2021年6月25日)
- ^ a b 中央52街区延べ11万平米開発/清水建設で23年1月着工/DKみなとみらい、光優(建設通信新聞Digital 2022年6月28日4面)
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- ^ a b c d e f g h i j k l “都市再生特別地区(みなとみらい21中央地区 52 街区地区)都市計画提案の概要”. 横浜市 (2024年2月21日). 2024年3月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月11日閲覧。
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- ^ a b 有財産(国有地):現在公示中の一般競争入札物件(売却):国有財産の一般競争入札案内書(みなとみらい21中央地区52街区の一部) (PDF) (財務省関東財務局 令和2年 (2020年) 11月6日公示、2025年5月13日閲覧)
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- ^ みなとみらい21中央地区地区計画/計画図 (PDF) (横浜市都市整備局)
- ^ 横浜市建築局:みなとみらい21中央地区52街区地区について都市再生特別措置法に基づく都市計画の変更が提案されました(2023年3月1日)/みなとみらい21中央地区52街区地区における都市計画提案を踏まえ、都市計画手続を進めます(2023年3月13日)
- ^ 光優などがMM21地区52街区の都市計画変更を提案 「ゲームアートミュージアム」の計画も(ヨコハマ経済新聞 2023年3月1日)
- ^ 第168回横浜市都市計画審議会案件表(横浜市建築局)
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- ^ 横浜・みなとみらいにゲーム博物館 大和ハウスなど(日本経済新聞 2021年6月25日)
- ^ 観光関連産業などの4社がテーマパーク、ホテル等を新設 -「セレクト神奈川NEXT」による支援を決定-/「セレクト神奈川NEXT」による神奈川県企業立地支援事業 認定企業及び事業計画の概要 (PDF) (神奈川県 2024年6月10日)
- ^ みなとみらいにゲームのテーマパーク誕生へ、手がける「信長の野望」の系列企業「中身はお楽しみ」(読売新聞 2024年6月18日)
- ^ “みなとみらいに世界初のゲームアートミュージアム 29階建て複合施設着工”. Impress Watch (2024年2月26日). 2025年5月11日閲覧。
- ^ a b c d DKMM52街区特定目的会社、光優/11万㎡開発、久米で設計/庭園は「信長の野望」モチーフ(建設通信新聞Digital 2022年1月18日4面)
- ^ 創作の原点:グラフィックデザイナー 永井一正さん 田中一光さんらとの切磋琢磨(毎日新聞 2024年9月1日)
- ^ 生涯現役の師 襟川恵子(日本経済新聞 2021年10月12日)
- ^ a b 横浜をゲームの聖地に コーエーテクモHD、27年夏に博物館 他社とも連携、作品一堂に(日本経済新聞 2025年4月11日)
- ^ 「チームラボボーダレス」「TOKYO NODE」の立役者、杉山央氏が森ビルから独立(日経クロステック 2024年6月19日)
- ^ 供給設備:第3プラント(みなとみらい21熱供給株式会社)
- ^ みなとみらい 52街区の開発工事着工 27年7月に開業予定(タウンニュース〈中区・西区版〉 2024年2月29日)
- ^ みなとみらい21中央地区60・61街区の事業予定者が決定しました/記者発表資料 (PDF) (横浜市財政局 令和6年 (2024年) 2月5日)
- ^ みなとみらい62街区の「ハーバーエッジプロジェクト」が国交省認定事業に(ヨコハマ経済新聞 2023年1月4日)
外部リンク
[編集]- みなとみらい21中央地区52街区開発事業計画(工事関連公式サイト)
- みなとみらい21中央地区52街区地区(都市再生特別地区)(横浜市都市整備局)