くまがい杏子

くまがい きょうこ
くまがい 杏子
生誕 (1983-02-14) 1983年2月14日(41歳)
日本山口県
職業 漫画家
活動期間 2005年 -
ジャンル 少女漫画
代表作あやかし緋扇[1]
テンプレートを表示

くまがい 杏子(くまがい きょうこ、1983年[2]2月14日[3] - )は、日本の漫画家。女性[1]山口県光市出身[3][1]。福岡コミュニケーションアート専門学校卒。血液型はO型[3]。2006年から小学館の『Sho-Comi』にて執筆中。

来歴[編集]

生い立ち[編集]

1983年2月14日、山口県光市に生まれる[2][3][1]。人を笑わせるのが好きで、幼いころから芸能人をキャラクターにしたギャグ漫画を描いていた[2]。小さいころから篠原千絵の作品を読み、『少女コミック』(小学館)の中で一番好きな作家は篠原である[4]。『少女コミック』で「思い出に残っている作品」として、篠原の『闇のパープル・アイ』を挙げている[4]。小学生の時に母親と訪ねた書店で「面白そう」だと考え手に取った篠原の『陵子の心霊事件簿』のノベライズを読み、それが初めて購入した篠原作品となる[4]ホラー漫画が好きなくまがいの母親とともに漫画を読み、そこから篠原以外の漫画作品を読むようになっていく[4]。姉や弟と分担して漫画を購入し、少女漫画ではなく、『週刊少年ジャンプ』(集英社)、『週刊少年サンデー』(小学館)、『週刊少年マガジン』(講談社)など少年誌を中心として、青年漫画などのジャンルも読んでいた[4]。少年漫画や青年漫画では、岩明均の『寄生獣』と青山剛昌の『名探偵コナン』にハマり、2018年現在でも「大好きな作品」として挙げている[4]。「あまり勉強も運動もできない子だった」くまがいは、唯一の長所であった絵を褒められたことにより、「これで生きていく」と考え、「マンガ風の絵」を描き始める[4]。「作品に影響される中で、自分も人の心を動かしてみたい」と考えたくまがいは、小学4年の時に漫画家になりたいと思うようになる[4][4]

高校生のころ、友達と貸し借りをしたことがきっかけで、萩尾望都竹宮惠子の作品に夢中になり、人生観が変わる[4]。2人の作品は「すごく刺激が強く」、「こんなマンガ初めて読んだ」と衝撃を受けてハマる[4]。特に印象に残っている作品として、萩尾の『残酷な神が支配する』、竹宮の『風と木の詩』を挙げている[4]

デビューまで[編集]

専門学校に入学[4]。漫画を読むことに寛容な家であったが、「描くことについてはそうでもないムード」であったため、度胸がなかったくまがいは、専門学校入学まで漫画を描いた経験がなかった[4]。少年誌に投稿しようとぼんやりと考えていたが、専門学校の教師に「(少年誌は)ちょっとどうかな?」と言われたことをきっかけとして方向転換し、少女漫画誌に投稿を始める[4]。家族を説得するため、在学中でのデビューを考えていたくまがいは、その少女漫画誌ではデビューが難しそうだと考え、もう一度教師に相談し、そこで『少女コミック』を勧められる[4]。絵柄やストーリーを同誌向けに変更して漫画を執筆したことにより、作品が準入選となる[4]。次作を執筆し、大阪の移動スクールに持ち込んだ「キミの手で、あたしを」がデビュー作となる。その時にスクールの講師を務めていたのは新條まゆで、新條がくまがいの作品を推したことにより、準入選から半年でデビューが決定した[4]。2005年、『少女コミック』2006年新春1号に掲載された同作でデビュー[3]。デビュー前は「絵で食っていくなんて無理」という雰囲気であった母親だが、「デビューしてプロでやっていく」段階で初めてくまがいを認め、仕事のサポートに協力している[4]

スポーツからファンタジーへ[編集]

2007年、『少女コミック』17号より陸上部の中学生を描いた『放課後オレンジ』の連載を開始[5][4]。運動音痴によりスポーツを経験してこなかったくまがいは、スポーツのルールを覚えておらず、都度確認しながら「スポーツもの」を執筆[4]。『苺時間』で学園漫画を執筆した際、「自分には正統派の少女マンガは描けないんじゃないか」と考えたくまがいであったが、テニスを題材とした『空色アゲハ』や学園コメディの『Stand UP!!!!』を制作し、挑戦を続ける[4]。「描きたいキャラクター」はあるが、「描きたい世界観やテーマ」をもって制作するタイプではないため、担当編集者から許可を得たこともあり、ファンタジーを描こうと『あやかし緋扇』で挑戦する[4]。2011年2月、『Sho-Comi』5号より霊媒体質の少女とクラスメイトの男子の恋を描いた『あやかし緋扇』の連載を開始[6][7]

作風[編集]

放課後オレンジ』や『空色アゲハ』や『Stand UP!!!!』などではスポーツをテーマに描き、『あやかし緋扇』からはファンタジー漫画を描いている[4]。ファンタジーはスポーツに比べ「自由に描けるのがいい」ため、前者の方がくまがいにとって描きやすいテーマとなる[4]

ファンタジー漫画制作[編集]

くまがいは「ファンタジーは負の感情を主軸にすると描きやすい」と考え、漫画を制作[4]。読者に感情移入をさせるため、あえて主人公に負の感情を抱かせて物語をスタートし、苦悩しながら乗り越えていく展開にしている[4]。その手法はくまがいが「つらかったときに勇気づけられた作品」に影響されている[4]。ハッピーエンドで終わる展開を好んでおり、「設定を暗くすることで、克服できたときのうれしさを倍増させる」よう狙いをもって制作されている[4]

キャラクター[編集]

男の子の登場人物では『Sho-Comi』の読者に楽しんでもらうため、『あやかし緋扇』の陵や『チョコレート・ヴァンパイア』の雪など、「かわいいけれど芯があり、かつヒロインのことが大好き」なキャラクターを描く[4]

画風[編集]

陰影により人物の説得力を出し、絵に「重さ」を出すことにこだわりを持っており、「どこから本を開いても、パッと見入ってしまうような没入感を出せるように工夫」して描かれている[4]。「気を抜くと、すぐにダークな画面」になるという理由から、キラキラなトーンが使用されている[4]

「絵をあんまり華やかにできないというコンプレックス」があるくまがいは、カラー原稿では「いつも新しい手法を試そう」としており、シーツの部分をルイボスティーで着色し、うまくできずに「上から色鉛筆でちょっと塗り足した」こともある[4]。キャラクターや読者に「申し訳なくなる」と考えるくまがいは、カラーの仕事を「作業」にはせず、常に「前よりうまくなりたい」と向上心から挑戦を続けている[4]

作品リスト[編集]

漫画作品[編集]

  • キミの手で、あたしを(『少女コミック』2006年1号[3]
  • お嬢様のごほうび(『少女コミック』2006年8号 - 2006年10号)
  • はつめいプリンセス(『少女コミック』2006年16号 - 2006年21号、2006年23号 - 2007年10号)
  • はつめいプリンセスしずかちゃん!!(『ぷっちぐみ』、小学館、vol.7)
  • お天気注意報
  • 放課後オレンジ(『少女コミック』2007年17号 - 2008年20号)
  • 苺時間(『Sho-Comi』2009年3・4合併号 - 2009年14号)
  • はじまりの、キス。
  • 空色アゲハ(『Sho-Comi』2009年18号 - 2010年5号[8]
  • StandUP!!!!(『Sho-Comi』2010年9号[9] - 2010年19号[3]
  • ねぇ、ぼくにしなよ(『Sho-Comi増刊』2010年10月15日号[3]
  • 修学旅行★ナイショの恋(『Sho-Comi』2010年21号別冊付録「オレたちにときめいちゃえばBOOK」[10]
  • 2回目のはじめての恋
  • あやかし緋扇プロローグ
  • あやかし緋扇(『Sho-Comi』2011年5号[6] - 2013年22号[11]、『Sho-Comi増刊』2014年2月14日号[7](完結編))
  • 片翼のラビリンス(『Sho-Comi増刊』2014年2月14日号(プロローグ)、『Sho-Comi』2014年3・4合併号[12] - 2016年15号[13]、2016年18号(エピローグ[14]))
  • チョコレート・ヴァンパイア(『Sho-Comi』2016年19号(プロローグ[15])、2016年20号[16] - 2021年24号[17]
  • 魔法陣クロノカノン(『Sho-Comi』2022年8号[18] - 2023年17号[19]
  • 東京§神狼(『Sho-Comi』2023年23号[20] - )

その他[編集]

  • 大高忍マギ』を紹介する特集(『Sho-Comi』2012年21号[21]) - 「アニメのアフレコ現場をレポートした4コマ」掲載[21]

書籍[編集]

  • お嬢様のごほうび(全1巻)
  • はつめいプリンセス(全3巻)
  • 放課後オレンジ(全5巻)
  • 苺時間(全2巻)
  • 空色アゲハ(全2巻)
  • StandUP!!!!(全2巻)
  • あやかし緋扇(全12巻)
  • 桐原実加のゆううつ(全1巻)
  • 片翼のラビリンス(全10巻)
  • チョコレート・ヴァンパイア(全18巻)
  • 魔法陣クロノカノン(全5巻)

オムニバス作品[編集]

  • 犬彼キュート
  • 女の子は恋をすると妄想しちゃうんです。
  • 先生second〜これが、イケナイ恋ですか?〜

活動[編集]

  • 2016年8月20日、神奈川県パシフィコ横浜にて開催されたイベント「ちゃおサマーフェスティバル2016」の『片翼のラビリンス』のステージにて、俳優の松本岳とともにくまがいが出演[22]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d くまがい 杏子(漫画家)”. マンガペディア. 2021年11月19日閲覧。
  2. ^ a b c くまがい杏子Archived 2015年8月16日, at the Wayback Machine.天職みつけ隊 職業体験ネット 将来の職業選びをサポート
  3. ^ a b c d e f g h Sho-Comi漫画家情報 Archived 2010年9月18日, at the Wayback Machine.(2011年7月5日閲覧)
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah “Sho-Comi50周年特集 第10回 くまがい杏子インタビュー”. コミックナタリー (ナターシャ). (2018年12月20日). https://natalie.mu/comic/pp/sho-comi50th_10 2021年11月20日閲覧。 
  5. ^ “Sho-Comi50周年特集、50年の歩みを年表で振り返る”. コミックナタリー (ナターシャ). (2018年6月5日). https://natalie.mu/comic/pp/sho-comi50th 2021年11月20日閲覧。 
  6. ^ a b “くまがい杏子のSho-Comi新連載はオカルトラブストーリー”. コミックナタリー (ナターシャ). (2011年2月5日). https://natalie.mu/comic/news/44562 2021年11月20日閲覧。 
  7. ^ a b あやかし緋扇(漫画)”. マンガペディア. 2021年11月20日閲覧。
  8. ^ “Sho-Comi、血液型別の男子攻略法を別冊付録で伝授”. コミックナタリー (ナターシャ). (2010年2月5日). https://natalie.mu/comic/news/27346 2021年11月20日閲覧。 
  9. ^ “Sho-Comi新連載は、問題児が事件を解決系学園アクション”. コミックナタリー (ナターシャ). (2010年4月5日). https://natalie.mu/comic/news/30086 2021年11月20日閲覧。 
  10. ^ “Sho-Comi新連載に咲坂芽亜、携帯ゲームとのコラボ別冊付録”. コミックナタリー (ナターシャ). (2010年10月5日). https://natalie.mu/comic/news/38648 2021年11月20日閲覧。 
  11. ^ “「あやかし緋扇」Sho-Comiで完結、付録にカラーイラスト集”. コミックナタリー (ナターシャ). (2013年10月20日). https://natalie.mu/comic/news/101757 2021年11月20日閲覧。 
  12. ^ “失恋少女、時をかける。くまがい杏子がSho-Comiで新連載”. コミックナタリー (ナターシャ). (2014年1月5日). https://natalie.mu/comic/news/107081 2021年11月20日閲覧。 
  13. ^ “タイムリープラブ「片翼のラビリンス」最終回!岡本信彦ら出演のドラマCDも”. コミックナタリー (ナターシャ). (2016年7月5日). https://natalie.mu/comic/news/193397 2021年11月20日閲覧。 
  14. ^ “これで本当に最後!「片翼のラビリンス」7年後の未来描くエピローグ”. コミックナタリー (ナターシャ). (2016年8月21日). https://natalie.mu/comic/news/198855 2021年11月20日閲覧。 
  15. ^ “「片翼のラビリンス」のくまがい杏子新連載、プロローグがSho-Comiに掲載”. コミックナタリー (ナターシャ). (2016年9月5日). https://natalie.mu/comic/news/200624 2021年11月19日閲覧。 
  16. ^ “くまがい杏子の新連載は“赤い血”で結ばれたヴァンパイアラブ、Sho-Comiで開幕”. コミックナタリー (ナターシャ). (2016年9月20日). https://natalie.mu/comic/news/202531 2021年11月19日閲覧。 
  17. ^ “「チョコレート・ヴァンパイア」5年の連載に幕、人気イラストが付録になる企画も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年11月19日). https://natalie.mu/comic/news/454207 2021年11月20日閲覧。 
  18. ^ “くまがい杏子が描く魔法学校ファンタジー「魔法陣クロノカノン」、Sho-Comiで開幕”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年3月19日). https://natalie.mu/comic/news/470335 2022年3月19日閲覧。 
  19. ^ 『Sho-Comi』2023年17号、小学館、2023年8月4日、ASIN B0CCK2X3Z4 表紙より。
  20. ^ “くまがい杏子の描く和風獣人ファンタジーがSho-Comiで、付録は代表作収めた“傑作集””. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年11月4日). https://natalie.mu/comic/news/547873 2023年11月4日閲覧。 
  21. ^ a b “「マギ」の見所を「あやかし緋扇」くまがい杏子が解説”. コミックナタリー (ナターシャ). (2012年10月5日). https://natalie.mu/comic/news/77771 2021年11月19日閲覧。 
  22. ^ “「片翼のラビリンス」イベントで松本岳が劇中シーン再現!くまがい杏子も登壇”. コミックナタリー (ナターシャ). (2016年8月6日). https://natalie.mu/comic/news/197329 2021年11月20日閲覧。 

外部リンク[編集]