RKKY相互作用(RKKYそうごさよう)とは、金属中の伝導電子のスピンを介して行われる局在スピン同士の相互作用である。この相互作用を導出した4人の物理学者(M.A. Ruderman、C. Kittel、T. Kasuya、K. Yosida)の頭文字から、RKKY相互作用と命名された。
はじめ、 マルヴィン・ルダーマン(英語版)とチャールズ・キッテルは、金属中の伝導電子と核スピンの相互作用を研究した[1]。糟谷忠雄はこれを希土類金属の磁性に適用した議論を行い[2]、芳田奎はこれを伝導電子と局在スピンに置き換えて論じた(s-dまたはs-f交換相互作用)[3]。
s-d相互作用は次のハミルトニアンで記述される。
![{\displaystyle H_{s-d}=-{\frac {J}{2N}}\sum _{k,k',\sigma ,\sigma '}c_{k',\sigma '}^{\dagger }{\boldsymbol {\sigma }}_{\sigma '\sigma }c_{k,\sigma }\cdot {\mathbf {S} }}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/01f3901f35b327caf4cf2f5314a72e1285487bc8)
ここに、
、
はそれぞれ、伝導電子のスピン、(d電子またはf電子の)局在スピンをあらわす。
(
) は波数 k'(k)、スピン
(
)の伝導電子の生成(消滅)演算子を表す。s-d相互作用により局在スピン間には、伝導電子のスピン分極が、距離の3乗で減衰し、振動しながらはたらく(RKKY相互作用)。
距離
だけ離れた局在スピン
と
の間に働く、RKKY相互作用は次のように書かれる。
![{\displaystyle H_{\rm {RKKY}}=-9\pi {\frac {J^{2}}{\varepsilon _{\rm {F}}}}({\frac {N_{e}}{N}})^{2}f(2k_{\rm {F}}R){\mathbf {S} _{1}}\cdot {\mathbf {S} _{2}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/036e2469c4e4d1abb7a4d017edf25a62fc9a0b12)
ここに、
、
:フェルミエネルギー、
:伝導電子の数、
:フェルミ波数である。
希土類化合物の磁性や、遷移金属化合物のスピングラスなどを議論するうえで重要である。
- ^ M.A. Ruderman and C. Kittel, Phys. Rev. 96, 99 (1954).
- ^ T. Kasuya, Prog. Theor. Phys. 16, 45 (1956)
- ^ K. Yosida, Phys. Rev. 106, 893 (1957).
参考文献[編集]
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/64/Question_book-4.svg/50px-Question_book-4.svg.png) | 出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2012年7月) |
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