スピッティング・イメージ

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スピッティング・イメージ
ジャンル 政治風刺
ブラックコメディ
声の出演 Chris Barrie
Harry Enfield
Jon Glover
Louise Gold
Steve Nallon
Kate Robbins
John Sessions
et al.
国・地域 イギリス
シリーズ数 18
話数 131
各話の長さ 30-60 分
製作
製作 Spitting Image Productions
Central Independent Television
配給 [TV Studios
放送
放送チャンネルITV
放送期間26 February 1984 - 18 February 1996
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スピッティング・イメージ』(Spitting Image)は、Peter Fluck、Roger Law、Martin Lambie-Nairnらによって制作されたイギリスの風刺人形劇である。このシリーズはSpitting Image ProductionsによってCentral Independent Television向けに制作され、18エピソードがITV(Channel 3)ネットワークで放映された。シリーズは数多くの賞に入選・入賞しており、英国テレビアカデミー賞を10回、ポピュラーアート・エミー賞を2回(1985,1986年)受賞している[1]

シリーズでは、人形劇を用いて1980年代から1990年代のセレブを風刺しており、英国マーガレット・サッチャー首相やジョン・メージャー首相などの政治家、米国ロナルド・レーガン大統領、イギリス王室一家などの人形が登場する。

なお、スピッティング・イメージ(spitting image)とは「生き写し」[2]「瓜二つ」[3][4]という意味である。

反応[編集]

初回エピソード放送時には、東ミッドランドテレビ局を開局したエディンバラ候に配慮して、英国王室にまつわるパロディはカットされていた。しかし再放送時にはこれらは復活している[5]

初回エピソードの視聴者は790万人であったが、経営的な理由により、後に急に低下していった。それは製作費が260万ポンドと、他のプライムタイム番組のほぼ倍であったためである。

シリーズは当初13エピソードで計画されていたが、後に12エピソードまでにカットされた[5]

番組から誕生した楽曲「The Chicken Song」は1986年に全英シングルチャートの1位を獲得した。

放送日時[編集]

全てのエピソードとスペシャルは日曜日に放送され、たいてい午後10時であった。また海外でも放映され、カナダではCBCテレビにて日曜の夜(1980年代末)、米国NBCネットワークでは数度プライムタイムに特集が組まれた。

シリーズ[編集]

シリーズ エピソードナンバー 放送時刻
Series 1 1984 26 February - 17 June 12 episodes Mostly 10pm
Series 2 1985 6 January - 24 March 11 episodes Mostly 10pm
Series 3 1986 6 January - 2 Nov 18 episodes Mostly 10pm
Series 4 1987 1 November - 6 December 6 episodes Mostly 10pm
Series 5 1988 6 November - 11 December 6 episodes Mostly 10pm
Series 6 1989 11 June - 9 July 5 episodes Mostly 9.30pm
Series 7 1989 12 November - 17 December 6 episodes Mostly 10.05pm
Series 8 1990 13 May - 24 June 6 episodes Mostly 10.05pm
Series 9 1990 11 November - 16 December 6 episodes Mostly 10.05pm
Series 10 1991 14 April - 19 May 6 episodes Mostly 10.05pm
Series 11 1991 10 November - 15 December 6 episodes Mostly 10.05pm
Series 12 1992 12 April - 17 May 6 episodes Mostly 10.05pm
Series 13 1992 4 October - 8 November 6 episodes 10.05pm
Series 14 1993 16 May - 20 June 6 episodes 10.45pm
Series 15 1993 7 November - 12 December 6 episodes 10pm
Series 16 1994 1 May - 5 June 6 episodes 10pm
Series 17 1994 6 November - 18 December 7 episodes 10pm
Series 18 1996 14 January - 18 February 6 episodes Mostly 11.15pm

スペシャル[編集]

タイトル 放映時刻 長さ
Down And Out In The White House 1986 14 September 9.45pm 45 minutes
The Spitting Image 1987 Movie Awards 1987 Saturday 4 April 10.45pm 30 minutes
Election Special 1987 Thursday 11 June 10pm 45 minutes
A Non-Denominational Spitting Image Holiday Special 1987 27 December 10pm 30 minutes
The Ronnie And Nancy Show 1988 17 April 9.30pm 30 minutes
Bumbledown - The Life and Times of Ronald Reagan 1988 Saturday 29 October 10.15pm 45 minutes
The Sound Of Maggie 1989 Saturday 6 May 10.10pm 45 minutes
Election Special 1992 Wednesday 8 April 10.40pm 30 minutes
The Spitting Image Pantomime 1993 26 December 10pm 30 minutes
Ye Olde Spitting Image 1995 1 January 10.45pm 30 minutes

登場人物[編集]

政治家[編集]

マーガレット・サッチャー役の人形

サッチャー政権期のイギリスの政治家が多々登場する。最も目立つのはマーガレット・サッチャー自身であり、スーツを着用し、小便器で用を足し、葉巻カッターを用いる男装家の暴君として描かれていた。

第1シーズンでは、サッチャーはおっとりした隣人のジェレミー・フォン・ウィルコックス氏から、労働組合や失業問題について助言を求めていた(彼はおそらく若き日のアドルフ・ヒトラーである)。ウィルコックス氏はソ連と労働組合とを比較し、冬には攻撃を行わないよう助言する。彼は、失業問題については彼らを軍隊に入隊させるべきであるとし、またSSとは「男の大きな結束」であることをサッチャーに教える。

サッチャー政権の閣僚は以下が登場する。

サッチャー政権の後継者ジョン・メージャーは、妻ノーマとエンドウ豆の食事を楽しむ退屈な灰色のキャラクターであり、よく首相官邸ネズミ捕獲長の猫のハンフリーに嘲笑される存在として描かれる。彼はサッチャーの辞任前は、頭上に回転アンテナが付いたロボットとして描かれていた。

野党労働党の政治家は以下が登場する。

前首相のハロルド・ウィルソンジェームズ・キャラハンハロルド・マクミランアレック・ダグラス=ヒュームらは、「Exchequers」という非常に制限を受けた老人ホームで生活している。キャラハンはウィルソンを苦しめるのが楽しみで、ウィルソンは何度も脱出を試みる。

労働党党首を務めたアーサー・スカーギルは国家鉱山労働組合の代表として登場し、鉱山について無知な、大きな鼻のエゴイストとして描かれる。

1994年になるとトニー・ブレアの人形が登場し、初期は灰色のショートパンツ、ブレザー、帽子を身に着けた公立校のスクールボーイであり、労働党を"I'M THE LEADER" というキャッチフレーズで率いる人物として描かれていた。党首になってからは人形が変更され、重要な発言をした後、笑顔でニヤリと笑う人物として描かれるようになった。副党首のジョン・プレスコットは、でぶで失敗の多いアシスタントであり、巨大なジャック・ストローを眼鏡を掛け、きしんだ声のロビン・クックとともに描かれる。

王室[編集]

外国の政治家[編集]

ゴルバチョフ人形

米国大統領ロナルド・レーガンは、愚か者として描かれ、核兵器に取りつかれており、顧問であるエドウィン・ミースキャスパー・ワインバーガーと比較して頼りない。ベッドサイドには「Nuke(核爆弾)」「Nurse(看護婦)」と書かれたボタンが2つあり、よく押し間違える。

ソ連指導者のミハイル・ゴルバチョフは、額に鎌と槌のあざがある。取り巻きはプレジネフに似て描かれ、多くは「da(はい)」と答えるか、またはジャガイモについて話し合っている。ソ連の場面は屋内でも雪が降り、テレビは極めて映りが悪く描かれている。

フランスのフランソワ・ミッテランは、ベレー帽にニンニクの花輪を付けて描かれている。南アフリカのピーター・ウィレム・ボータは、巧みにレイシストの意見を表明し、反反アパルトヘイトのバッジを身に着けている。ドイツのアドルフ・ヒトラーダウニング街9番に隠れ家があった。

ほか、ウガンダのイディ・アミン、ジンバブエのロバート・ムガベ、フィリピンのフェルディナンド・マルコス夫妻、イランのルーホッラー・ホメイニー、イラクのサッダーム・フセインが登場する。

また、米国のリチャード・ニクソンヘンリー・キッシンジャージョージ・H・W・ブッシュダン・クエール、ソ連のコンスタンティン・チェルネンコライサ・ゴルバチョワボリス・エリツィンも登場する。

スポーツ選手[編集]

サッカー選手ポール・ガスコインゲーリー・リネカー

イングランドサッカー監督ボビー・ロブソンは、愛称Rubbishoとして心配性の老人として描かれている。 選手のポール・ガスコインも出演し、1990 FIFAワールドカップにおける西ドイツとの準決勝対戦のシーンをパロディして、よく絶叫している。

クリケット選手イアン・ボサムは暴力的な薬物依存者、マイク・ガッティングは高音で話す人物として描かれる。レスター・ピゴットは字幕付きで放送される。ボクシング選手フランク・ブルーノは彼のトレードである笑いと台詞"where's 'Arry?"と共に描かれ、クリス・ユーバンクは舌足らずな人物とされる。スヌーカー選手スティーブ・デイビスは特にニックネームがなかったが、彼自身が面白い人物であった。

セレブ[編集]

日本での展開[編集]

1980年代に「スピッティング・イメージ 渡る世間にツバぺっぺっ!」というタイトルでビデオソフト・レーザーディスクソフトが2巻リリースされた。1巻目は二ヵ国語収録で、景山民夫監修のもと、シティボーイズワハハ本舗のメンバーなどが日本語の吹き替えを担当したが、2巻目は日本語字幕のみのリリースだった。そして1994年にはテレビ番組「ラスタとんねるず'94」の1コーナーとして、本番組を日本流にアレンジした「SPITTING IMAGE JAPAN」が放送された。

脚注[編集]

  1. ^ “British TV scoops Emmys”. The Times (London): p. 11. (1986年11月26日) 
  2. ^ デイビッド・セイン『何から何まで言ってみる 暮らしと仕事の英語表現8000』語研、2009年、340頁。ISBN 978-4-87615-203-2
  3. ^ 長尾和夫、マケーレブ英美『英会話は、ほめ言葉でうまくいく!』三修社、2009年、13頁。ISBN 978-4-384-05535-1
  4. ^ Spitting Image(瓜二つ)マンツーマン英会話の担任Ella先生の発音付き、ICHWAY、2014年8月11日 12:28。
  5. ^ a b “Royal Family cut from TV satire”. The Times: p. 3. (1984年2月25日) 

外部リンク[編集]