TC2000アルゼンチン選手権

観衆で溢れかえるサンタフェ市街戦(2006年)

TC2000アルゼンチン選手権 (El Campeonato Argentino de TC2000) は、1979年からアルゼンチン自動車クラブ (Automóvil Club Argentino) の認定とオートスポーツ (Auto Sports S.A.) の主催で行われているツーリングカーレースの年間シリーズ。

"TC2000"とは"Turismo Competición 2000" (ツリースモ・コンペティシオン2000) の略で、同名の選手権はチリコロンビアにも存在する。

概要[編集]

1980年代に参戦していたルノー・18

2012年にスーパーTC2000が誕生して以降、同シリーズの下位に位置づけられていたが、以降も独自のカレンダーを持つカテゴリとして存続したが、組織としては事実上の分裂状態にあった。スーパー2000と区別するため、本シリーズはメディアやファンによって『Joven TC2000』とも呼ばれた(Jovenは「若い」「ヤング」の意味)。

2022年に両者は一つとなり、スーパーTC2000は「TC2000」、従来のTC2000は「TC2000ライト」として再スタートを切った[1]。本記事は従来のTC2000についての解説となる。

排気量2,000ccエンジンの4/5ドアツーリングカーを採用するのがシリーズ名の由来であるが、実際は時期によって排気量は微妙に異なる[2]。また発足時のエントラントは全て後輪駆動車であったが、1980年代半ばに新興勢力として台頭したルノー・18に対する規制緩和が行われて以降はベース車両の事情も併せて前輪駆動車の参戦が一般的になり、現在は規定により全車が前輪駆動である。

シルエットタイプカーのTC2000(旧スーパーTC2000)に対し、TC2000ライトはあくまで市販車の骨格を用いたツーリングカーである。2007年時点では最低重量は1,050kg、エンジンは16バルブの2,000cc直列4気筒ターボで最大270〜320馬力を発生。最高速度は275km/hに達した。タイヤピレリのワンメイクで、2004年からギアボックス・ロールケージ・ブレーキ・サスペンションも共通品を用いる[3][4]可変バルブ機構(給排気とも)、トラクションコントロールシステムアンチロック・ブレーキ・システムは禁止となっている。

2009年にはリーマン・ショックによる不況の煽りを受け、同国の名チューナーであるオレステ・ベルタが開発した、フォードマツダ)製デュラテック2.2をベースとする共通エンジン『デュラテックbyベルタ』(310馬力/6500rpm)が導入されている[5]。これにより参戦コストを大幅に削減し、メーカーたちをレースに留めることに成功したものの、「フォードエンジンを積んだシボレー車」という世界的に見ても稀な存在を生み出し、市販車との関連性を重視するファンの興を削いだとされている[6]。しかし2020年現在もデュラテックエンジンが継続して採用されている。

2016年には「1レースでも勝利する」ことがチャンピオンの最低条件となり、戦術に少なからぬ影響を及ぼしている。

8バルブ車用の下位カテゴリとして、1997年に『TC2000ライツ』、1999~2001年に2009~2011年に『TC2000プライベートカップ』が開催されていた。

2000年代にはストックカー・ブラジルとの共催や、ウルグアイプンタ・デル・エステでの開催も行われていた。

参戦チーム[編集]

2006年時点で、下記の自動車メーカーがワークス体制で参戦していた。

母体 チーム名 車両
フォード フォード・YPF
Ford YPF
フォード・フォーカス
GM シボレー・エライオン
Chevrolet Elaion
シボレー・アストラ
ホンダ ホンダ・ペトロブラス
Honda Petrobras
ホンダ・シビック
トヨタ トヨタ・チーム・アルゼンチナ
Toyota Team Argentina
トヨタ・カローラ
ルノー ルノー・チーム・TC2000
Renault Team TC2000
ルノー・メガーヌ

その他、プライベートチームがフォルクスワーゲンボーラポロフィアットスティーロクライスラーネオンを使用しており、ワークス体制で参戦している車両とは別にフォード・フォーカス、シボレー・アストラ、ホンダ・シビック、ルノー・メガーヌを駆って参戦しているプライベートチームも存在した。

かつては三菱自動車ランサーエボリューションプジョー307なども参戦していた。

最もタイトルを獲得したメーカーはフォード(9回)である。

2020年現在はフォード・シトロエン・トヨタ・フィアット・プジョー・ルノーが参戦している。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ デビュー7戦目、わずか17歳のモンテネグロが最上最年少ポールポジション獲得/STC2000第4戦AS-web 2022年8月14日閲覧
  2. ^ SUPER GTのGT500・GT300がかつて馬力を表していたが、現在は形骸化しているのと近い
  3. ^ STOCK CAR: COM A VINDA DA TC2000 ARGENTINA, COMPARAÇÃO É INEVITÁVEL NESTE FINAL DE SEMANA2021年8月17日閲覧
  4. ^ Los 40 años del Súper TC 2000: datos, historias, hitos y sus pilotos más importantesinfobsr 2021年8月19日
  5. ^ 同国のもう一つのビッグツーリングカーレース、『トップレースV6』の直下カテゴリの『トップレースV6ジュニア』で先行採用されていた汎用エンジンだが、TC2000のそれは同カテゴリのものより強化されている
  6. ^ YPF, Fiat y Ford abandonaron el TC2000DEPORTE MOTOR 2021年8月18日閲覧

関連項目[編集]

外部リンク[編集]