PSR J0737-3039

PSR J0737-3039
PSR J0737-3039の想像図。
PSR J0737-3039の想像図。
星座 とも座
分類 パルサー
軌道の種類 連星
天文学上の意義
意義 パルサー連星
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  07h 37m 51.248s[1]
赤緯 (Dec, δ) −30° 39′ 40.83″[1]
距離 1600~2000 光年[2]
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 40万 km[3]
公転周期 (P) 2.4 時間[3]
平均軌道速度 291 km/s
物理的性質
質量 A: 1.337 ± 0.004 M
B: 1.250 ± 0.004 M[3]
自転周期 A: 0.0226993786
B: 2.77346077
スペクトル分類 中性子星
発見
発見年 2003年
発見者 Marta Burgay
他のカタログでの名称
[CGB2005] J073751.248-303940.83[1]
Template (ノート 解説) ■Project

PSR J0737-3039は、唯一知られているパルサー同士の連星である。

連星系[編集]

PSR J0737-3039は、自転周期23ミリ秒のPSR J0737-3039Aと、自転周期2.8秒のPSR J0737-3039Bで構成されているパルサー同士の連星系である。中性子星同士の連星は、片方がパルサーであるPSR B1913+16が知られているが、両方がパルサーであることが判明しているのはPSR J0737-3039が唯一である。また、地球からの距離はPSR B1913+16の10分の1である。

PSR J0737-3039は、互いに80万km離れている[3]。質量はほぼ同じなので、共通重心を中心とする半径40万kmの円軌道を公転している事になる。これは地球の周りを公転するに相当する軌道である。ただし、月が27日かけて公転するのに対し、PSR J0737-3039はわずか2.4時間で公転している[3]。これはかに座HM星の5.3分、SDSS J065133.338+284423.37の12.75分、PSR J1719-1438の2.2時間に次ぐ短い公転周期である。

重力波[編集]

PSR J0737-3039は、公転周期が短く、天体が重い連星系のため、重力波の放出による軌道の減少が顕著である。PSR J0737-3039の軌道は、1日あたり7mm減少していると推定されている。パルサー同士の連星系は、重力波の検出を試みる実験では理想的な対象である[4]。ただし、PSR J0737-3039の重力波による変動は、LIGOでも1アトメートル(10-18m)のオーダーである[5]

また、この減少速度から推定すると、PSR J0737-3039は、8500万年後には互いに衝突すると予想されている[4][6]。このことは、以前考えられていたものより、中性子星同士の連星の衝突頻度が高いということを示している[4]。これは重要で、中性子星同士の衝突が、などの重元素を生み出しているという理論があるからである。中性子星同士の衝突は、宇宙最大の高エネルギー現象の1つであると推定されており、中心部の温度は1兆℃まで加熱されると推定されている[7]。衝突後、大きな中性子星になるのか、それともブラックホールへと重力崩壊するのかは分かっていない。

[編集]

PSR J0737-3039は、偶然にも地球から見てを起こす。これは、パルサーの強い磁気圏に捕らわれたプラズマによって、パルスがさえぎられる事によって起こる。この食は30秒ほど継続する。ただし、Bは磁気が弱いため、Aの食は完全ではなく、パルスが少し漏れる事が分かっている[3]

発見[編集]

PSR J0737-3039は、2003年にオーストラリアパークス天文台で発見された。当初はミリ秒パルサーとパルスを放出しない中性子星との連星である[2]と考えられていたが、二度目の観測でパルサー同士の連星系であることがわかった。

似たような連星系[編集]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c PSR J0737-3039 - SIMBAD
  2. ^ a b First Double Pulsar Found - CSIRO
  3. ^ a b c d e f The first double pulsar - CSIRO
  4. ^ a b c An increased estimate of the merger rate of double neutron stars from observations of a highly relativistic system
  5. ^ The Double Pulsar - how was it discovered and why is it important?
  6. ^ First-Known Double Pulsar Opens up New Astrophysics - Jodrell Bank Centre for Astrophysics
  7. ^ 『NHKスペシャル 宇宙 未知への大紀行 第3巻 百億個の太陽』 NHK「宇宙」プロジェクト編 ISBN 978-4-14-080593-0

座標: 星図 07h 37m 51.248s, −30° 39′ 40.83″