Intel GMA

Intel Graphics Media Accelerator (インテル・グラフィックス・メディア・アクセラレータ)は、インテルが開発したグラフィックコントローラ (GPU) である。Intel GMA の名称でも知られている。

Intel GMA は、単体のGPUではなく、チップセットに統合される形で設計されている(統合チップセット)。Intel HD Graphicsへ移行するまでの間、Intel GMAが統合されたチップセットは、主にコストの削減や消費電力を減らすため、高いグラフィックス性能を必要としない安価なコンピュータにおいて、オンボードグラフィックに用いられていた。また、オンボードグラフィックスを含めたGPU市場では、出荷数の約半数を占めていた。

歴史[編集]

Intel GMA は、前モデルの Intel Extreme Graphics シリーズを置き換えるもので、2004年にPentium 4向けのチップセット Intel 915 のグラフィックス機能、Intel GMA 900 として発表された。インテルのチップセットとしては初めて、Direct3DOpenGLハードウェアアクセラレーションがサポートされた他、プログラマブルシェーダーに対応したことで、機能上は GPU に相当するものとなった。

2010年の第1四半期に発表された新しい製品から、GPUユニットがチップセットではなくCPUに統合され、ブランドも Intel HD Graphics へ変更された。

製品[編集]

GMA 900[編集]

GMA 900 は、2004年に発表された製品で、Intel 910/915 チップセット (Intel 915G、915GV、910GL、915GM、915GMS、910GML) に統合されている。コアクロックは 133MHz から 333MHz、ビデオメモリは最大 128MB となっている。ハードウェアDirectX 9のピクセルシェーダー2.0とOpenGL 1.4に対応しているが、ハードウェアT&Lはサポートせず、またソフトウェアバーテックスシェーダー2.0に対応している[1]

GMA 950[編集]

GMA 950 は、2005年に発表された製品で、Intel 945 チップセット (Intel 945G、945GC、945GZ、945GM、945GU) に統合されている。GMA 900 を改良した製品で、コアクロックは 133MHz から 400MHz、ビデオメモリは最大 192MB から 256MB となっている。DirectX 9.0c、バーテックスシェーダー3.0に対応しているが、シェーダーにソフトウェアで対応している点は GMA 900 と同じである。

GMA 3000[編集]

GMA 3000 は、2006年に発表された製品で、Intel 946GZ(デスクトップ用Intel 945チップセットをIntel Core 2プロセッサに対応させたもの)、Q965、Q963チップセットに統合されている。コアクロックは 400MHz から 667MHz、ビデオメモリは最大256MBとなっている。Windows Aeroの最低要件を初めて満たす。

GMA X3000[編集]

GMA X3000 は、2006年に発表された製品で、Intel G965 チップセットに統合されている。コアクロックは 667MHz、ビデオメモリは最大 384MB となっている。シェーダーモデル3.0に対応しており、バーテックスシェーダーにもハードウェアで対応したが、ドライバの開発が遅れて2007年に対応している。

GMA 3100[編集]

GMA 3100 は、2007年に発表された製品で、Intel 3 シリーズ (Intel G31、G33、Q33、Q35) のチップセットに統合されている。設計は GMA 3000 を基にしており、コアクロックは 400MHz、ビデオメモリは最大 256MB となっている。GMA 3000 と同じくバーテックスシェーダーにはソフトウェアで対応している。

GMA 3150[編集]

GMA 3150 は、2009年に発表された製品で、第2世代 Atom プロセッサ (Pineview) に統合されている。コアクロックは200MHz (N450, N470) から 400MHz (D410, D510)、ビデオメモリは最大 256MB となっている。DirectX 9.0c、シェーダーモデル3.0(ソフトウェア対応)、シェーダーモデル2.0に対応している。

GMA X3100[編集]

GMA X3100 は、2007年に発表された製品で、Intel GL960、GM965 チップセットに統合されている。GMA X3000 をモバイル用に設計したもので、コアクロックは 400MHz から 500MHz、ビデオメモリは最大 384MB となっている。DirectX 10、OpenGL 2.0に対応している。

GMA X3500[編集]

GMA X3500 は、2007年に発表された製品で、Intel G35 チップセットに統合されている。GMA X3000 を改良したもので、コアクロックは 667MHz、ビデオメモリは最大 384MB となっている。シェーダーモデル4.0に対応している。

GMA 4500[編集]

GMA 4500 は、2008年に発表された製品で、Intel 4 シリーズ (Intel Q43、Q45) のチップセットに統合されている。GMA 4500MHD は、GMA 4500 にハードウェアによるHDビデオ、Blu-ray Disc の再生支援機能を強化した製品で、Intel 4 シリーズ (Intel GL40、GS45、GM45、GM47) のチップセットに統合されている。OpenGL 2.1に対応している。

GMA X4500[編集]

GMA X4500 は、2008年に発表された製品で、Intel 4 シリーズ (Intel G41、G43) のチップセットに統合されている。GMA X4500HD は、GMA X4500 にハードウェアによるHDビデオ、Blu-ray Discの再生支援機能を強化した製品で、Intel G45 チップセットに統合されている。OpenGL 2.1に対応している。

GMA 500/600 (PowerVR SGX535)[編集]

GMA 500 は、2008年に発表された製品で、Intel UL11L、US15L、US15W システム・コントローラ・ハブ(チップセットに相当)に統合されている。PowerVR SGX535 コアを元に Intel Atom プロセッサ用に設計され、コアクロックは 100MHz (UL11L), 200MHz (US15L、US15W), 400MHz、ビデオメモリは 256MB となっている。HDビデオの再生支援機能をもち、DirectX 9、OpenGL 2.0に対応している。

GMA 3600/3650 (PowerVR SGX545)[編集]

GMA 3600/3650 は、2011年に発表された製品で、第3世代Atomプロセッサ (Cedar Trail) に統合されている。3000番台ではあるが PowerVR SGX545 ベースであり、GMA500 の性能向上版である。ビデオメモリは 512MB、DirectX 10.1、OpenGL 3.0に対応している。コアクロックは 400MHz, 640MHz。

仕様一覧[編集]

製品 Market チップセット / CPU コードネーム Device ID コアクロック (MHz) EU シェーダーモデル APIサポート メモリ帯域 (GB/s) 最大メモリ (MB) 再生支援
DirectX OpenGL MPEG-2 VC-1 AVC
GMA 900 Desktop 910GL Grantsdale 2582
2782
4 2.0 / 2.0 (SW) 9.0 1.4 3.2 128 MC[2] No No
915GL
915GV 8.5
915G
Mobile Mobile 915
Family
Alviso 2592
2792
GMA 950 Desktop 945GZ Lakeport 2772
2776
4 2.0 / 3.0 (SW) 9.0c 8.5 256[3] MC[3] No No
945GC 10.7
945G
Mobile Mobile 945
Family
Calistoga 27A2
27A6
27AE
250[4]
GMA 3100 Desktop Q33 Bearlake 29D2
29D3
4 1.5 12.8 256[5] MC[3] No No
Q35 29B2
29B3
G31 29C2
29C3
400
G33 12.8 (DDR2)
17 (DDR3)
Full[3]
GMA 3150 Nettop Atom Dx10 Pineview Dx10:400
N4x0:200
2 6.4 No No
Netbook Atom N4x0 5.3
GMA 500 MID UL11L Poulsbo 8108
8109
100 4 3.0 9.0c 2.0 4.2 256 Full Full Full
US15L 200
US15W
GMA 3000 Desktop 946GZ Broadwater 2972
2973
667[6] 8 2.0 / 3.0 (SW)[7] 10.7 256 MC[3] No No
Q963 2992
2993
667[8] 12.8
Q965
GMA X3000 G965 29A2
29A3
3.0 384 Full[3] MC + (LF -
WMV9 only)
GMA X3500 G35 2982
2983
667[9] 4.0 10 MC + LF
GMA X3100 Mobile GL960 Crestline 2A02
2A03
400[10] 8.5 MC + (LF -
WMV9 only)
GLE960
GM965 2A12
2A13
500[10] 10.7
GME965
GMA 4500 Desktop B43 Eaglelake 2E42
2E43
2E92
2E93
10 2.1 12.8 (DDR2)
17 (DDR3)[11]
768[12][疑問点]
Q43 2E12
2E13
Q45
GMA X4500 G41 2E32
2E33
800 Full MC + LF MC + LF
G43 2E22
2E23
GMA X4500HD G45 Full Full
GMA 4500MHD Mobile GL40 Cantiga 2A42
2A43
400[13] 12.8
GS40
GM45 533[13] 12.8 (DDR2)
17 (DDR3)
GS45
製品 Market チップセット / CPU コードネーム Device ID コアクロック (MHz) EU数 シェーダーモデル DirectX OpenGL メモリ帯域 (GB/s) 最大メモリ (MB) MPEG-2 VC-1 AVC
APIサポート 再生支援

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]