HUNGRY

HUNGRY
長渕剛スタジオ・アルバム
リリース
録音 エピキュラススタジオ
河口湖スタジオ
ジャンル ポピュラー
フォークソング
ロック
時間
レーベル 東芝EMI/エキスプレス
プロデュース 長渕剛
チャート最高順位
長渕剛 アルバム 年表
HOLD YOUR LAST CHANCE
1984年
HUNGRY
1985年
LOVE SONGS
1986年
EANコード
『HUNGRY』収録のシングル
  1. 久しぶりに俺は泣いたんだ
    リリース: 1985年3月30日
  2. 勇次
    リリース: 1985年7月22日
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HUNGRY』(ハングリー)は、日本のミュージシャンである長渕剛の8枚目のスタジオ・アルバムである。

1985年8月22日東芝EMIのエキスプレスレーベルからリリースされた。前作『HOLD YOUR LAST CHANCE』(1984年)よりおよそ1年ぶりにリリースされた作品であり、作詞は長渕および秋元康松井五郎が担当し、作曲およびプロデュースは長渕が担当している。

レコーディングには前作に続きミキサーとしてグレッグ・ラダニー英語版が参加している他、ギタリストとしてFENCE OF DEFENSEに所属していた北島健二が参加している。音楽性は前作に続きロックサウンドを追求した作品であり、本作ではバックバンド「The Band of Spirits」を従えてさらにバンドサウンドを意識したものとなっている。

先行シングル「久しぶりに俺は泣いたんだ 」(1985年)および「勇次」(1985年)を収録している。

オリコンチャートでは最高位4位となった。

背景[編集]

前作『HOLD YOUR LAST CHANCE』(1984年)リリース後、長渕は8月28日の宮崎市民会館より翌1985年1月9日の日本武道館に至るまで、全国35都市全41公演におよぶライブツアー「LIVE'84 - '85 HOLD YOUR LAST CHANCE」を開催した[1]

その後、本作の先行シングルとして3月30日に「久しぶりに俺は泣いたんだ」(1985年)をリリース、7月22日には「勇次」(1985年)をリリースした。

音楽以外の活動としては、前年10月よりTBSラジオスーパーギャング』の木曜日のパーソナリティーを担当し[2]、1985年3月まで放送する事となった他、4月5日には自身が主演したテレビドラマ『家族ゲームスペシャル』(1985年)が放送された[3]

音楽性[編集]

文芸雑誌『別冊カドカワ 総力特集 長渕剛』では、「ブルース・スプリングスティーンにEストリート・バンド、ニール・ヤングにはクレイジー・ホースがいるように、長渕剛もThe Band of Spiritsを従えた」、「前作で見事に発芽した長渕イズムがさらに大きく葉を広げる」と表記されている[4]

文芸雑誌『文藝別冊 長渕剛 民衆の怒りと祈りの歌』では、「このアルバムのテーマは、一〇代のころ、だれもがもっていたハングリーさをとりもどそうということである」と表記されている[5]

リリース[編集]

アルバムは1985年8月22日東芝EMIのエキスプレスレーベルよりレコードカセットテープCDの3形態でリリースされた。

その後、CDのみ2006年3月8日に24ビット・デジタルリマスター紙ジャケット仕様で再リリースされた[6]

プロモーション[編集]

本作に関連するプロモーションとしては、シングル「久しぶりに俺は泣いたんだ」にて初となるプロモーション・ビデオが制作された他、フジテレビ系音楽番組『夜のヒットスタジオDELUXE』(1985年 - 1989年)に4月24日に出演し同曲を演奏、また「勇次」に関しては7月31日に同番組で演奏した他、日本テレビ系音楽番組『歌のトップテン』(1986年 - 1990年)に出演し演奏した。

さらに、本作の収録曲をすべて使用したビデオ『HUNGRY』(1985年)がリリースされている(後述)。

アートワーク[編集]

ジャケット写真に写っている長渕は、それまでのトレードマークともいえる長髪がカットされており、若干のメイクアップが施されている。

ツアー[編集]

本作を受けてのコンサートツアーは「LIVE'85 - '86 HUNGRY」と題し、1985年8月26日の千葉県文化会館を皮切りに52都市全62公演が行われた[1]。しかし、このツアー中に毎日39度を超える発熱を点滴で抑えてステージに上がっていた長渕は、ステージ終了後には楽屋で昏倒する日々が続いていた[7]。食事を摂取する事もままならず、体重は53kgを下回りやせ細った体になったが、周囲のスタッフは誰も公演を中止しようとはしなかった[7]。結果、1986年1月22日日本武道館公演を最後に過労により長渕はダウンし、重度の状態のため残り20本全ての公演がキャンセルとなった[8]

批評[編集]

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル肯定的[9][10]
別冊カドカワ 総力特集 長渕剛肯定的[4]
  • 音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「男の生きざまがぷんぷんと臭ってくるようだ。スティール・ギターを泣かせてるところなどブルースのフィーリングを感じさせる」[9]、また「グレッグ・ラダニーをミキサーに迎えて、本格的なロック・サウンドを展開。スティール・ギターなどを使用し、ブルース・ロック的な雰囲気も感じさせる」と肯定的な評価を下している[10]
  • 文芸雑誌『別冊カドカワ 総力特集 長渕剛』において音楽ライターの藤井徹貫は、「収録曲『明日へ向かって』『勇次』『STANCE』は近年のライブでもたびたび歌われるのだが、25年以上前の曲とは思えないほど、何の違和感もない。何の矛盾もない。それは主義主張を貫いている証明だ」と肯定的な評価を下している[4]

チャート成績[編集]

オリコンチャートでは最高位4位となり、売り上げは約9万枚となった[11] 。また、2006年の再発版では最高位247位となった[12]

収録曲[編集]

一覧[編集]

全作詞・作曲: 長渕剛(特記除く)。

A面
#タイトル作詞作曲・編曲編曲時間
1.HUNGRY  瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits
2.STANCE  長渕剛 & The Band of Spirits
3.生意気なパートナー  瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits
4.QUEEN  The Band of Spirits
5.久しぶりに俺は泣いたんだ(作詞: 長渕剛/Special Thanks:秋元康)  瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits
合計時間:
B面
#タイトル作詞作曲・編曲編曲時間
6.勇次  瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits
7.逆転ブルース(作詞: 松井五郎)  瀬尾一三 & The Band of Spirits
8.明日へ向かって  浜田良美、長渕剛
9.太陽へ続くハイウェイ  長渕剛 & The Band of Spirits
合計時間:

CD[編集]

全作詞・作曲: 長渕剛(特記除く)。

#タイトル作詞作曲・編曲編曲時間
1.HUNGRY  瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits
2.STANCE  長渕剛 & The Band of Spirits
3.生意気なパートナー  瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits
4.QUEEN  The Band of Spirits
5.久しぶりに俺は泣いたんだ(作詞: 長渕剛/Special Thanks:秋元康)  瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits
6.勇次  瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits
7.逆転ブルース(作詞: 松井五郎)  瀬尾一三 & The Band of Spirits
8.明日へ向かって  浜田良美、長渕剛
9.太陽へ続くハイウェイ  長渕剛 & The Band of Spirits
合計時間:

曲解説[編集]

A面[編集]

  1. HUNGRY
  2. STANCE
  3. 生意気なパートナー
  4. QUEEN
  5. 久しぶりに俺は泣いたんだ
    13枚目のシングル曲。シングル盤でリリースされたバージョンとは、ミックスが異なっている。

B面[編集]

  1. 勇次
    14枚目のシングル曲。ライブでは定番の曲である。ライブでは、「撃鉄が落とされ」の部分で観客がクラッカーを鳴らすのがお決まりである。
  2. 逆転ブルース
  3. 明日へ向かって
    3年後にアルバム『NEVER CHANGE』において再レコーディングされている。
  4. 太陽へ続くハイウェイ
    テレビドラマ『家族ゲームII』(1984年)の劇中において長渕自身が歌唱しているシーンがある。

スタッフ・クレジット[編集]

参加ミュージシャン[編集]

Tsuyoshi Nagabuchi and The Band of Spirits[編集]

Additional Musicians[編集]

スタッフ[編集]

  • 長渕剛 - プロデューサー
  • グレッグ・ラダニー英語版 - ミックス・エンジニア
  • 陣山俊一(ユイ音楽工房) - ディレクター
  • 山里剛(ヤマハ音楽振興会) - ディレクター
  • 下河辺晴三(東芝EMI) - ディレクター
  • 石塚良一 - レコーディング・エンジニア
  • まつざかまさのり - アシスタント・エンジニア
  • 掛潤一 - アシスタント・エンジニア
  • 荒木浩三 (MUSIC LAND) - ミュージシャン・コーディネーター
  • ひらたしょういち - マネージャー
  • 田中義則 - マネージャー
  • こばやしはじめ - アルバム・カバー・デッサン
  • 大川奘一郎 - 写真撮影
  • 川上源一 - エグゼクティブ・プロデューサー
  • 後藤由多加 - エグゼクティブ・プロデューサー

リリース履歴[編集]

No. 日付 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
1 1985年8月22日 東芝EMI/エキスプレス LP
CT
CD
ETP-90345
ZH28-1550
CA32-1150
4位
2 2006年2月8日 東芝EMI/エキスプレス CD TOCT-25950 247位 24ビット・デジタルリマスター紙ジャケット仕様

映像作品[編集]

HUNGRY
長渕剛ミュージック・ビデオ
リリース
ジャンル ポピュラー
フォークソング
ロック
時間
レーベル 東芝EMI
長渕剛 映像作品 年表
SUPER LIVE IN 西武球場
1983年
HUNGRY
(1985年)
明日へ向かって 1985-1986 長渕剛の記憶
1986年
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HUNGRY』(ハングリー)は、1985年制作されたアルバムと同名のミュージックビデオ。東芝EMIよりビデオソフト及びレーザーディスクで発売された。単にステージ・シーンを撮影したものではなく、監督に原田眞人を迎え、映画『マッドマックス2』(1981年)のような荒廃した近未来を舞台に銃を手に戦う男たちを描いた、本格的なストーリー仕立ての作品だった。

ストーリー[編集]

荒廃した近未来の世界。ロックンロールを禁止された砂漠の町、ロッカーズ・コフィンに元軍人の「少佐」と「ワン・アイ」、そしてロッカーの「ヘアー」が現れる。三人はこの町で行われている三人対三人の殺人ゲームに挑戦するためにやって来たのだ。だが少佐とワン・アイは「おまえは歌い続けろ」とヘアーを置いてゲームに挑み、チャンピオン・チームに敗れ命を落とす。一人残されたヘアーは仲間の敵を討つべく、謎の少女「チャンス」とバーの親父「軍艦島」を連れてチャンピオン・チームに挑む。

収録曲[編集]

全作曲: 長渕剛。
#タイトル作詞作曲・編曲編曲
1.明日へ向かって長渕剛長渕剛浜田良美、長渕剛
2.久しぶりに俺は泣いたんだ長渕剛/Special Thanks:秋元康長渕剛瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits
3.勇次長渕剛長渕剛瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits
4.QUEEN長渕剛長渕剛The Band of Spirits
5.生意気なパートナー長渕剛長渕剛瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits
6.太陽へ続くハイウェイ長渕剛長渕剛長渕剛 & The Band of Spirits
7.逆転ブルース松井五郎長渕剛瀬尾一三 & The Band of Spirits
8.STANCE長渕剛長渕剛長渕剛 & The Band of Spirits
9.HOLD YOUR LAST CHANCE長渕剛長渕剛瀬尾一三
10.HUNGRY長渕剛長渕剛瀬尾一三、長渕剛 & The Band of Spirits

脚注[編集]

  1. ^ a b 長渕剛 TSUYOSHI NAGABUCHI|OFFICIAL WEBSITE”. 長渕剛 TSUYOSHI NAGABUCHI|OFFICIAL WEBSITE. 2018年11月22日閲覧。
  2. ^ 【1980年代ラジオ伝説】第31回 ラジオを使って公開ナンパ?~長渕剛のオールナイトニッポン~”. Nicheee! [ニッチー!]|テレビリサーチ会社がお届けする情報サイト. フルタイム (2011年4月19日). 2018年11月22日閲覧。
  3. ^ 矢吹光 1995, p. 113- 「第2章 対決! 両雄黄金の経歴」より
  4. ^ a b c 別冊カドカワ 2010, p. 250- 藤井徹貫「長渕剛オール・ヒストリー&アルバム・コレクターズ解説」より
  5. ^ 文藝別冊 2015, p. 234- 栗原康「ディスコグラフィー 一九七九→二〇一五 富士の国への軌跡」より
  6. ^ 長渕剛、リマスター&紙ジャケ復刻決定!”. CDジャーナル. 音楽出版 (2005年12月19日). 2018年11月22日閲覧。
  7. ^ a b ライナーノーツ「TSUYOSHI NAGABUCHI INTERIEW」 『Tsuyoshi Nagabuchi All Time Best 2014 傷つき打ちのめされても、長渕剛。』、EMI Records、2014年。
  8. ^ 文藝別冊 2015, p. 235- 栗原康「ディスコグラフィー 一九七九→二〇一五 富士の国への軌跡」より
  9. ^ a b 長渕剛 / ハングリー [廃盤]”. CDジャーナル. 音楽出版. 2018年9月22日閲覧。
  10. ^ a b 長渕剛 / HUNGRY [紙ジャケット] [再発]”. CDジャーナル. 音楽出版. 2018年9月30日閲覧。
  11. ^ 矢吹光 1995, p. 88- 「第2章 対決! 両雄黄金の経歴」より
  12. ^ HUNGRY|長渕剛”. オリコンニュース. オリコン. 2018年11月22日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]