DoCoMo2.0

DoCoMo2.0(ドコモにいてんれい、ドコモにいてんゼロ)はNTTドコモ2007年4月23日に発表したキャッチフレーズ[1]プロモーションおよび企業メッセージ[2]

N904i

概要[編集]

NTTドコモは営業開始15周年[3]記念事業として、2007年4月23日に904iシリーズを5機種発表し、同時に様々な新機能を発表した。そのとき「ケータイが次のステージに進化するシンボル」としてDoCoMo2.0のロゴが掲げられ、変化をアピールした[4]。2000年代に入ってから使われているインターネット用語のWeb 2.0を意識している[5]

発表会では2007年5月以降に8名の有名人を起用した広告が展開されることが予告された[6]。 起用されたのは、浅野忠信D904iP704iμN905i)、長瀬智也N904iD704iSH905i)、妻夫木聡F904iP704iP905i)、瑛太P904iF704iF905i[7]吹石一恵P904iSO905iN905i)、土屋アンナSH904iSO905i)、蒼井優D904iSH905i)、北川景子SH904iD905i)そして謎の一人の9名(カッコ内はCMなどの広告で扱っていた端末)。浅野忠信、長瀬智也、妻夫木聡は、かつてauのCMに出演している[8]

広告で使用された主なキャッチコピーには、「さて、そろそろ反撃してもいいですか?」や「日本全国のドコモユーザーの皆さま、どうぞお楽しみに! 他社ユーザーの皆さまは、…。」などがある。

「DoCoMo2.0」キャッチコピーは2008年5月に終了となり、新たに「Answer」と銘打った広告戦略を展開している[9]

当キャッチコピーが使用された期間内に放送されていた一社提供番組[10]における提供アナウンスは「バージョンアップ! 進化するDoCoMoグループ」であった。

DoCoMo2.0で目指されたフルブラウザ、3Gローミング、GPS、ジャイロセンサーなどの要素は[4]、幸か不幸かスマートフォンに受け継がれ、国内メーカーはその後大苦戦に陥ることとなる。

CM[編集]

上記8人のタレントが出演する様々なCMを展開している。また、ホームページでは上記のメイキングなども公開している。8人が主な配役であったが、脇役であった木村祐一が妻夫木の先輩役としてセットで9人目の出演者として登場するCMが数本ある。

テレビCM[編集]

  • ティザー篇
  • 宣言篇
  • 904i DEBUT篇
    • ロングバージョン
  • 直感!!コロリンパ篇
    • ロングバージョン
  • THE 直感ボウリング篇
    • ロングバージョン
  • 2 in 1(人物)篇
  • 直感☆ボクシング篇
  • ワンセグ(焼肉)篇
    • ロングバージョン
  • DCMX(タクシー)篇
    • ロングバージョン
  • DCMX(コンビニ)篇
    • ロングバージョン
  • 704i DEBUT篇
    • ロングバージョン
  • デコメール(考えられへんぞ!!)篇
    • ロングバージョン
    • 初めて木村祐一が出演したバージョン。
  • うた・ホーダイ(告白)篇
    • ロングバージョン
  • 基本料いきなり半額篇
    • ロングバージョン
  • 魔法の箱(debut)篇
  • 国境を越えて篇
    • ロングバージョン
  • サクサクダウンロード篇
    • ロングバージョン
    • 再び木村祐一が出演したバージョン。
  • 変身篇
  • 漢字検定篇

メイキング[編集]

  • ティザー篇
    • 浅野忠信
    • 長瀬智也
    • 妻夫木聡
    • 瑛太
    • 吹石一恵
    • 土屋アンナ
    • 蒼井優
    • 北川景子
  • 904i DEBUT篇
  • 直感!!コロリンパ篇
  • THE 直感ボウリング篇
  • ワンセグ(焼肉)篇
  • DCMX(タクシー)篇
  • DCMX(コンビニ)篇
  • 704i DEBUT篇
  • デコメール(考えられへんぞ!!)篇
  • うた・ホーダイ(告白)篇
  • 魔法の箱(debut)篇
  • 国境を越えて篇
  • サクサクダウンロード篇
  • 変身篇
  • 漢字検定篇

プレミアムムービー[編集]

  • 奇跡の出会い篇
  • 直感!!コロリンパ篇
  • デコメール(考えられへんぞ!!)篇

評価[編集]

同時に発表された新サービス「2in1」について、2つ目の番号を1契約とカウントするとしていたが、競合他社から反発の声が上がり、総務省も「1契約と数えるのが妥当」と判断したことで、電気通信事業者協会の発表する携帯契約数において、2007年8月に2万件余りの純減となった[11]

「反撃」というキャッチコピーに反し、番号ポータビリティ(以下MNP)制度においては2007年度唯一の契約者数減となった。多数の人気芸能人を起用した広告を展開したものの、MNP制度での契約数の減少により、差し引きで1万4000件余りの純増にとどまった[12]

2007年冬商戦において905iシリーズが好調だったことから、「年末向けのキャッチフレーズを先出ししたことで、実態を伴っていないという批判を受けた」と指摘されている[13]。また、905iシリーズ以降において選択できるようになった新たな販売方法である「バリューコース」「ベーシックコース」と併せ、「内実がようやくともなった」とも評されている[14]

その後、auの端末の発売の遅れや端末価格の上昇などによる2007年冬商戦以降の苦戦が指摘されており[13]、2008年12月にはauが1万1700件の転出超過となったのに対し、ドコモはMNP制度開始以来初めて1200件の転入超過を記録[15]、2010年、2011年には顧客満足度第1位を獲得したが[16]、2011年末以降はiPhone不在の影響などから苦戦が続いた[17]

2007年5月にはテレビCMの本数を前年同月比の3倍に増やしたこともあり[18]DIMSDRIVEDIMEが共同で実施した「携帯電話会社のイメージに関するアンケート」では8割近い認知度があった[19]。また、CM好感度は好調に推移しており、CM総合研究所が月2回調査を行っているCM好感度ランキングでは、2007年5月から8月にかけて3.5か月連続で1位となっている[20]

インターネット上では「DoCoMo2.0」が「ドコモに移転ゼロ」と読めるとして話題となった[11]

電気通信事業者協会のまとめによると、2006年に過半数となったFOMAユーザーの割合が、2007年8月時点で4分の3近くに達している[21]。このことから、movaユーザーのFOMA転換を促進させる契機となったという意見もある[誰によって?]。協会の公表資料によると、2007年9月29日には、FOMA契約者数が第三世代携帯電話初の4,000万契約を突破した[22]

業界関係者などから「2.0が何を指すのか分からず、イメージが空回りしている」[18]「見た目の豪華さと引き替えに商品訴求が散漫となっている」[23]といった声が上がっている。

多数の有名人を同時に使用している点がTSUBAKIと共通している。この手法の目的として「インパクト効果」「ターゲット層の拡大」が挙げられている[24]

当時の執行役員夏野剛が発表会において発した「他社様はご覚悟ください」という言葉が話題となった[25]。 また、当時の社長中村維夫は2007年6月26日に行われた定例会見において、発表以降の状況を「DoCoMo 2.0が物議を醸している」と表現している[26]

受賞歴[編集]

  • 新聞広告賞2007 広告主企画部門 優秀賞[27]
  • 交通広告グランプリ2008 キャンペーン部門 最優秀部門賞[28]

脚注[編集]

  1. ^ 1端末で2回線――“MNP敗者”反撃の「ドコモ2.0」”. ITmedia (2007年4月23日). 2020年8月30日閲覧。
  2. ^ キーパーソンインタビュー ドコモ辻村氏に「DoCoMo 2.0」時代の戦略を聞く”. ケータイWatch (2007年6月14日). 2020年8月30日閲覧。
  3. ^ 1992年にNTTの移動通信部門を分社化し、同年7月1日より営業を開始した。
  4. ^ a b 「他社さまはご覚悟ください」--NTTドコモ夏野氏、DoCoMo2.0的ケータイで反撃へ”. CNET Japan (2007年4月23日). 2020年8月30日閲覧。
  5. ^ DoCoMo 2.0って何だろう?”. 日経xTECH (2007年7月5日). 2020年8月30日閲覧。
  6. ^ 「DoCoMo 2.0」で反撃、人生をバージョンアップさせる - ドコモ・夏野氏”. マイナビニュース (2007年4月24日). 2020年8月30日閲覧。
  7. ^ 約2年後にF-08A以降のドコモ向け富士通製携帯電話のCMキャラクターとして起用された。
  8. ^ 「さて、そろそろ反撃してもいいですか?」DoCoMo 2.0のテレビCMスタート”. マイナビニュース (2007年5月10日). 2020年8月30日閲覧。
  9. ^ “ドコモ、ブランドロゴを「赤」に刷新・既存顧客重視の戦略へ” (日本語). 日本経済新聞(IT-PLUS) (日本経済新聞社). (2008年4月18日). オリジナルの2008年4月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080420142005/http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=MMITfe000018042008 2016年3月28日閲覧。 
  10. ^ BS-i恋する日曜日』『ケータイ刑事 銭形海』、TBS夢の扉 〜NEXT DOOR〜』など。
  11. ^ a b 金子寛人 (2007年11月1日). “苦境脱却への第一歩となるか、905i・705i一斉発表に賭けるドコモ” (日本語). 日経パソコン(ITpro) (日経BP). https://xtech.nikkei.com/it/article/NEWS/20071101/286218/ 2016年3月28日閲覧。 
  12. ^ 2007年携帯年間純増数1位はKDDI──ソフトバンクモバイル、一歩及ばず”. ITmedia (2008年1月11日). 2020年8月30日閲覧。
  13. ^ a b 田中聡 (2007年12月28日). “台頭か、反撃か、失速か―キャリアの“勢い”が変わった1年”. ITmedia Mobile. ITmedia. 2020年8月31日閲覧。
  14. ^ 「ドコモ 2.0」の名に恥じない大きな変化”. ITmedia (2007年11月5日). 2020年8月31日閲覧。
  15. ^ ドコモが初のMNP転入超過、純増トップのソフトバンクモバイルにも肉薄──12月契約数”. ITmedia (2009年1月9日). 2020年8月31日閲覧。
  16. ^ 2011年個人向け携帯電話サービス顧客満足度調査で2年連続第1位を受賞”. NTTドコモ (2011年11月24日). 2020年8月31日閲覧。
  17. ^ ドコモが株主総会を開催、iPhoneの扱いや競争苦戦に厳しい質問”. 日経xTECH (2012年6月19日). 2020年8月31日閲覧。
  18. ^ a b ドコモ2・0:巻き返しに新戦略 「わかりにくい」の声も”. MSN毎日インタラクティブ (2007年5月31日). 2007年6月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月31日閲覧。
  19. ^ DIMSDRIVE & DIME 『ドコモ2.0広告キャンペーン』に関するイメージ調査”. DIMSDRIVE (2007年7月2日). 2020年8月31日閲覧。
  20. ^ ドコモCM 好感度No.1 でも「独り負け」の皮肉”. J-CASTニュース (2007年8月21日). 2020年8月31日閲覧。
  21. ^ (携帯電話の)2007年8月末現在における事業者別契約数”. 社団法人電気通信事業者協会 (2007年8月31日). 2007年9月9日閲覧。
  22. ^ 事業者別契約数(平成19年9月末現在)”. 社団法人電気通信事業者協会 (2007年9月30日). 2020年8月31日閲覧。
  23. ^ ドコモ2.0が教えてくれる2つのこと”. Web担当者Forum (2007年6月6日). 2020年8月31日閲覧。
  24. ^ DoCoMo2.0は果たして成功するか?”. INSIGHT NOW! (2007年6月13日). 2020年8月30日閲覧。
  25. ^ ドコモの“顔”夏野剛氏がドワンゴ顧問に”. MarkeZine (2008年7月4日). 2020年8月31日閲覧。
  26. ^ ドコモ社長会見、高さ払拭「新割引プラン」と一歩先行「新組織」”. ケータイWatch (2007年6月26日). 2020年8月31日閲覧。
  27. ^ 新聞広告賞2007 第27集”. 日本新聞協会. 2020年8月31日閲覧。
  28. ^ 「交通広告グランプリ 2008」各賞が決定!”. ジェイアール東日本企画 (2008年7月11日). 2020年8月31日閲覧。

関連項目[編集]