CHASE (L'Arc〜en〜Cielの曲)

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CHASE
L'Arc〜en〜Cielシングル
初出アルバム『BUTTERFLY
B面 My Dear -L'Acoustic Version-
リリース
規格 デジタル・ダウンロード
マキシシングル
録音 2011年
ジャンル ロック
時間
レーベル Ki/oon Records
作詞・作曲 hyde, ken
プロデュース L'Arc〜en〜Ciel
岡野ハジメ
ゴールドディスク
  • ゴールド(CD[1]
  • ゴールド(シングルトラック[2]
※ いずれも日本レコード協会認定
チャート最高順位
  • オリコンチャート
    • 週間2位
    • 2011年12月度月間11位
    • 2012年度上半期39位
    • 2012年度年間82位
    • 登場回数9回
  • Billboard JAPAN
    • 週間4位Hot 100
    • 週間2位(Top Singles Sales)
    • 年間70位(Year End Top Singles Sale)
L'Arc〜en〜Ciel シングル 年表
X X X
2011年
CHASE
(2011年)
EVERLASTING
2014年
BUTTERFLY 収録曲
CHASE
(1)
X X X
(2)
ミュージックビデオ
L'Arc~en~Ciel「CHASE」-Music Clip- - YouTube
(※) 2019年12月11日から2022年5月12日まではYouTube Music Premium限定有料公開
(※) 2022年5月13日から無料公開
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CHASE」(チェイス)は、日本のロックバンドL'Arc〜en〜Cielの39作目のシングル。表題曲は2011年12月14日に配信発売。フィジカルは2011年12月21日発売。発売元はKi/oon Records

解説[編集]

前作「X X X」以来約2ヶ月ぶりとなるシングルリリースで、L'Arc〜en〜Cielの2011年第3弾シングルとして発表された作品。なお、本作は2012年2月に発売された12thアルバム『BUTTERFLY』の先行シングルとなっている。

本作の表題曲「CHASE」は、シンセサイザーを多用した近未来的なイメージをもたらすサウンドと、激しくもポップなメロディが融合されたダンサンブルなロック・ナンバーとなっている[3]。作曲者のken曰く、この曲は「サビのシンセのリフみたいのが思い付いて、そこから作り出した[4]」という。そして、レコーディングではyukihiroが所有するアナログシンセサイザーなどを駆使し、ダンス・ミュージックをイメージしたロックナンバーとして制作が行われている。また、表題曲は、本作発売の約2ヶ月前の2011年10月8日に、瑛太主演のワーナー・ブラザース映画配給映画『ワイルド7』の主題歌に使用されることが発表された[5]。L'Arc〜en〜Cielが実写映画のテーマソングに楽曲を提供するのは、2000年1月に発表した「finale」以来約11年11か月ぶりのこととなった。ちなみに表題曲は、バンド結成20周年を記念し、2011年9月より開催したライヴツアー「20th L'Anniversary TOUR」の日本ガイシホール公演で先行披露されている。

また、フィジカル発売1週間前となる2011年12月14日に、各種音楽配信サイトにおいて表題曲「CHASE」のダウンロード先行配信が開始されている。なお、L'Arc〜en〜Cielの楽曲が、CD発売に先駆けデジタルリリースされるのは、前々作「GOOD LUCK MY WAY」以来2作ぶりのことととなる。

本作のリリースプロモーションとして、2011年11月9日から同年11月15日までの1週間限定で、YouTubeにて本作のミュージック・ビデオのフルサイズが無料公開されている。また、2011年11月30日日本テレビ系列で放送された音楽番組『日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト2011』に出演し、表題曲をテレビ初披露している。さらに、2011年12月31日に放送された『第62回NHK紅白歌合戦』に2年連続通算5度目の出場を果たしており、同番組でこの曲を披露している。

表題曲のミュージック・ビデオは、本作の初回生産限定盤に付属するDVDに初収録されている。また、2019年12月11日に、公式YouTubeアーティストチャンネルにおいてYouTube Music Premium限定で映像の有料公開が開始されている。前述のYouTubeチャンネルでの有料公開開始から約2年5ヶ月後となる2022年5月13日には、同サイトで映像の無料公開が開始されている。なお、この映像のディレクターは東弘明が務めている。撮影では、7台のプロジェクターを使ったプロジェクションマッピング[6][注 1]を駆使し、『旧約聖書』における「天地創造」をテーマとした映像が球体や壁面、メンバーに投影されている[7]。また、この映像にはkenのアイデアが活かされている。この映像のコンセプトについて、kenは「白と黒でハイパーな感じを出したいなっていうのが、最初にあったんですね。デジタルとかハイパーなイメージっていうと、どうしても白黒じゃなくなっていくと思うんですけど、それを白黒で表現したいなっていうのが最初[8]」と述べており、映像ではCGを使わず撮影が行われている。

表題曲「CHASE」の先行配信から1週間後となる2011年12月21日に、初回生産限定盤(CD+DVD)と通常盤(CD)の2形態でフィジカルが発売された。ジャケットのアートディレクションは菊池元淑(LOKI)が、アートワークはイラストレーターの長谷亮平が担当している[9]。また、初回盤には「CHASE」のミュージック・ビデオを収録したDVDが付属している。さらに、初回生産限定盤と通常盤(初回仕様限定)には「ニューアルバム完成の瞬間にメンバーと一緒に立ち会えちゃうアクセスコード」が封入されている。このアクセスコードは、2011年12月26日に行われた『BUTTERFLY』のマスタリング音源最終チェック現場の模様を視聴するためのコードで、指定の日時に動画共有サービスUstreamにてアクセスコードを入力することにより、マスタリングの模様を視聴することができるものになっている。

収録曲[編集]

CD
#タイトル作詞作曲編曲時間
1.「CHASE」hydeken, hydeL'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano
2.My Dear -L'Acoustic version-」hydehydeProduced by ken
3.「CHASE (hydeless version)」 ken, hydeL'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano
4.「My Dear -L'Acoustic version- (hydeless version)」 hydeProduced by ken
合計時間:

楽曲解説[編集]

  1. CHASE
    ワーナー・ブラザース映画配給映画『ワイルド7』主題歌。
    シンセサイザーを多用した近未来的なイメージをもたらすサウンドと、激しくもポップなメロディが融合されたダンサンブルなロック・ナンバー[3]。この曲の原型は、作曲者のken曰く「サビのシンセのリフみたいのが思い付いて、そこから作り出した[4]」という。この原型を基にL'Arc〜en〜Cielでレコーディングすることになったが、kenは「もうちょっとヤンチャなところがあったらもっといいのにな[4]」と思っていたといい、打ち込み作業に長けたyukihiroと制作の方向性を話し合ったという。このタイミングで上記映画への楽曲提供の話があり、映画に合う曲としてこの曲の原型が選ばれている。
    映画の主題歌にこの曲を提供するにあたり、kenが制作した原曲が選ばれたが、映画のラッシュフィルムを見たhydeの「もっとワイルドにしたい」という意向から、hydeがAメロ、Bメロを作り直すこととなった[10]。また、Cメロの前半はkenが作曲した部分を採用しているが、後半部分はhydeが作り直している。これにより、L'Arc〜en〜Cielの楽曲としては「New World」(作曲:yukihiro & hyde)以来の合作、kenとhydeでは初の合作クレジットとなった。kenは、この曲の制作を振り返り「(『BUTTERFLY』制作のための)二回目の選曲会の時に、この曲もレコーディングしようということが決まって。その時点で、曲にもうちょっとヤンチャなところがあったらもっといいのにな、って俺自身は思っていて。そうしたらyukihiroが、"こういうのもあるよね、こういうのもあるよね"っていう話をしてくれたんです。その段階で、映画『ワイルド7』のタイアップの話がきたんですよ。映画のラッシュを観せてもらって、"じゃあ、この曲をもうちょっとこういうふうにしたいよね"みたいな、"このままじゃなくて"っていう話がhydeから出たのかな。曲がメンバーの気持ちいいかたちに到達してないんだったら、自分的には、それはそうしたいと。自分でも、もっとヤンチャにしたいっていうこともあったから、じゃあ、みんなでいろいろできたらなっていうことで、スタートしたんですよね。そこからhydeに、ヤンチャっていう話をしたかどうかは覚えてないんですけど、映画から受けた印象もあったのか、hydeから出てくるアイデアが、ワイルドな方向だった[4]」と述懐している。なお、この曲にはkenが弾いたギターが3トラック入っている[11]。この曲のギタープレイについて、kenは「ギターは全部で3トラック入っているんですけど、バッキングはほぼ1トラックで弾ききってますね。パワーコードをどれだけ歯切れよく弾くかがポイントっていう感じです。サビはほぼ白玉なので、スライドを入れて勢いを増すように弾きました[11]」と述べている。なお、kenはこの曲で、ローチューニング仕様にした際でも適度なテンションが得られることから、「dragonfly Custom Model」も弾いている[12]
    また、この曲には、yukihiroが自宅から持参したアナログ・シンセサイザー、Nord rack 3で鳴らした音色が採り入れられている他[13]イントロギターリフではtetsuyaの案が採用されるなど[10]、アレンジにおいてメンバーの意見が多く反映されている。この曲の制作を振り返り、tetsuyaは「kenのデモを基にhydeを中心に4人で意見を出し合って作っていった感じなんですけど、そういう作り方をしたのは「DRINK IT DOWN」以来でしたね。「X X X」もある意味そうでしたけど、今回はさらにみんなで作った感じ。作曲クレジットもken/hydeになっています[4]」と述べている。
    この曲のリズムは、Aメロのボトムの効いた8ビートと、サビの4つ打ちを軸とした16ビートの2つのパターンが入り混じった展開となっている[14]。この曲のドラムパターンについて、yukihiroは「Aメロが8分で、サビの前半が16分の刻みになって、後半で16分の部分がなくなってオープンだけが残るパターンですね[15]」「イントロで16のシーケンスが流れてるんですけど、その16分の4つ打ちの感じをサビまで取っておこうというのは考えていました。(中略)パターンは8ビートなんですけど、16の場所にキックが入っているので、それで統一感を感じるのかもしれないですね[14]」と述べている。なお、yukihiroは、この曲を4つ打ちだけのリズムにする気はなかったようで、「最初は全編4分打ちだったんですけど、別のパターンも試してみたくて、けっきょくサビのパートだけ4分打ちになりました。こういう曲調でドラムが4分打ちっていうは、すごくわかりやすいし、ハマらないわけはないんですけど、そこを外してロックバンドのやるダンスミュージックになればいいなと思いました[13]」「ああいうシンセのシーケンスから始まったら16ビートが浮かぶと思うんですけど、それに対してのリズムは8ビートでもカッコいいって思っていて。ロックバンドとダンスミュージックを融合させようとした時に、テクノの4分打ちにはやっぱり勝てない部分があると思うので。ロックのアプローチとして4分打ちにしなくてもカッコいい、ダンスミュージック的なビートが作れるんじゃないかなとは思ってます[13]」と語っている。
    さらに、この曲ではシンセベースと生のベース音の共存も一つのテーマとなっている。この曲のベースプレイについて、tetsuyaは「シンベが最初から最後まで貫いている中で、どういうふうに生ベースと共存させるか、ということを考える必要があって。ミックスも難しかったですね。ちゃんとしたオーディオで聴かないと、生ベースは聴き取れないかもしれないですけど。ただ、Bメロは1小節ずつコードが変わったり、サビの頭もギターは1小節ずつ動いているんですよ。でも、サビ部分のベースは動かないように、分数コードを活かすかたちを提案しました。サビにいってからもベースのコードが変わると、どっしりした感じが出ないと思ったんですよ。その提案にkenからOKが出たので(笑)、ベースはステイして、後半のサビを繰り返すところでだけ動いています[4]」と語っている。
    歌詞について、作詞を手掛けたhydeは「映画『ワイルド7』にバイクで獲物を追跡するイメージ、狙うイメージがあったので、それを自分の中にあった、首都高を走るイメージと混ぜていった感じ[4]」と述べている。また、歌詞には<手の鳴る方へ>、<let's play tag!>といった、鬼ごっこを意図したフレーズが入っているが[4]、これについてhydeは「もともとクールな歌詞だったと思うんだけど、そこにちょっと三枚目っぽさ…キャッチーさを入れた[4]」と語っている。さらに、歌詞の中には前述のイメージをストレートに綴った<onigokko>というフレーズも登場している[4]。なお、英詞の女性コーラス部分は、シンガーソングライター衛藤利恵が担当している。
    ちなみに、フィジカル発売翌年の2012年5月23日には、この曲の全英語詞バージョンとなる「CHASE -English version-」が配信限定でリリースされている(詳細は配信限定楽曲参照)。
  2. My Dear -L'Acoustic version-
    • 作詞・作曲: hyde / 編曲: ken & HAL-Oh Togashi / プロデュース: ken
    10thアルバム『AWAKE』の収録曲「My Dear」のアコースティックバージョン。
    今回のアコースティックアレンジは、曲前半ではアコースティックピアノ主体のアレンジとなっているが、2サビが終わると一転し、ギターを含めたバンドサウンドが入る構成になっている。アレンジ作業を振り返り、プロデュースを担当したkenは「この曲は最初、hydeがピアノでデモを作ってたんじゃないかな。それで、のちにチェンバロかなんかに変わったんですけど。今一度ピアノにして、より静けさと広さを感じたいなと。あとは暴力的なところを感じたいなと思って。そういう方向にいくようにアコースティックアレンジしましたね[8]」と述べている。
    また、yukihiroは、普段のレコーディングで22インチのバスドラムを基本的に使用しているが、kenと共同で編曲を担当した富樫春生のオーダーにより、この曲のドラム録りでは26インチのバスドラムでキックを踏んでいる[13]。さらに、曲の雰囲気に合わせるため、hydeがボーカルを録り直している[16]
  3. CHASE (hydeless version)
  4. My Dear -L'Acoustic version- (hydeless version)

参加ミュージシャン[編集]

初回生産限定盤付属DVD[編集]

  1. CHASE -Music Clip-
    ディレクター:東弘明[17]

配信限定楽曲[編集]

CHASE -English version-

CDシングルの表題曲「CHASE」の全英語詞バージョンで、「I Love Rock'n Roll」以来となる配信楽曲。2012年5月23日から配信開始。
2012年に開催した海外ライヴツアー「WORLD TOUR 2012」およびライヴハウス公演「一夜限りのL'Arc〜en〜Ciel Premium Night」では、このバージョンが演奏されている。
また、2012年3月3日発売の海外版ベストアルバム『WORLD'S BEST SELECTION』にこの曲が収録されており、この作品で初CD化となった。

収録アルバム[編集]

オリジナルアルバム
ベストアルバム

参考文献・サイト[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ プロジェクションマッピングは、ビデオやコンピュータグラフィックスなどの映像をスクリーンではなく、プロジェクターによって直接建築物のファサードや家具、車、自然物といった立体物に投映する表現手法のこと。

出典[編集]

  1. ^ ゴールドディスク認定 2011年12月 - 日本レコード協会
  2. ^ ダウンロード認定 2014年9月 - 日本レコード協会
  3. ^ a b 『WHAT's IN?』、p.34、ソニー・マガジンズ、2012年2月号
  4. ^ a b c d e f g h i j "【L'Arc~en~Ciel】もっと音楽的にレベルの高いところを挑戦しないと、やる意味がない". OKMusic. 20 December 2011. 2023年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月27日閲覧
  5. ^ "映画『ワイルド7』主題歌は、L'Arc~en~Cielの書き下ろし". BARKS. 8 November 2011. 2023年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月27日閲覧
  6. ^ "プロジェクションマッピングとは". 一般財団法人 プロジェクションマッピング協会. 2023年1月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月3日閲覧
  7. ^ スペースシャワーTVV.I.P. ─L'Arc~en~Ciel─』2011年12月25日放送分
  8. ^ a b "L'Arc~en~Ciel シングル『CHASE』インタビュー(kenインタビュー)". exciteニュース. 2019年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月12日閲覧
  9. ^ "L'Arc~en~Ciel L'Arc〜en〜Ciel / CHASE". LOKI. 2023年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月31日閲覧
  10. ^ a b "シングル『CHASE』インタビュー(tetsuyaインタビュー)". exciteニュース. 2016年2月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月14日閲覧
  11. ^ a b 『ギター・マガジン』、p.25、リットーミュージック、2012年3月号
  12. ^ 『GiGS』、p.16、シンコーミュージック・エンタテイメント、2012年3月号
  13. ^ a b c d "シングル『CHASE』インタビュー(yukihiroインタビュー)". exciteニュース. 2016年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月2日閲覧
  14. ^ a b 『リズム&ドラム・マガジン』、p.20、リットーミュージック、2012年4月号
  15. ^ 『GiGS』、p.22、シンコーミュージック・エンタテイメント、2012年3月号
  16. ^ "シングル『CHASE』インタビュー(hydeインタビュー)". exciteニュース. 2016年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月2日閲覧
  17. ^ ミュージックビデオサーチ - CHASE - SPACE SHOWER TV