Atomic Heart

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Atomic Heart
Mr.Childrenスタジオ・アルバム
リリース
録音 Tokyufun
Tokyo Hilton Hotel
Oorong-soh
Sound Village Studio
Victor Yamanakako Studio
Free Studio (Yotsuya & Tsukiji)
Baybridge Studio
ジャンル J-POP
ロック
時間
レーベル トイズファクトリー
プロデュース 小林武史
チャート最高順位
  • 週間1位(2週連続・通算3週、オリコン
  • 1994年度年間3位(オリコン)
  • 1995年度年間6位(オリコン)
  • 1996年度年間171位(オリコン)
  • オリコン歴代アルバムランキング12位
ゴールドディスク
  • 3ミリオン(日本レコード協会
  • 第41回日本レコード大賞ベストアルバム賞受賞作品
  • Mr.Children アルバム 年表
    Versus
    1993年
    Atomic Heart
    (1994年)
    LAND IN ASIA
    1996年
    EANコード
    EAN 4988061880525
    (TFCC-88052)
    『Atomic Heart』収録のシングル
    1. CROSS ROAD
      リリース: 1993年11月10日
    2. innocent world
      リリース: 1994年6月1日
    ミュージックビデオ
    「ラヴ コネクション」 - YouTube
    「innocent world」 - YouTube
    「CROSS ROAD」 - YouTube
    テンプレートを表示
    映像外部リンク
    ライブ映像
    「Printing 〜 Dance Dance Dance」 (2017)
    「Dance Dance Dance」 (2018)
    「Dance Dance Dance」 (2019)
    「innocent world」 (2017)
    「innocent world」 (2019)
    「Over」 (2022)

    Atomic Heart』(アトミック・ハート)は、Mr.Childrenの4枚目のオリジナルアルバム。1994年9月1日にトイズファクトリーから発売された。

    背景とリリース[編集]

    前作『Versus』から1年ぶりのアルバム。小林武史は、本作から方向性が恋愛路線から精神論へと変化してきたことを指摘している。桜井和寿もタイトルについて訊かれた際に「今までのMr.Childrenの詞にあったロマンティックでセンチメンタルな部分をどこかで排除したような詞を書いてみようというのがあって。科学的な目というと大げさかもしれないけど、たとえば人を愛する気持ちというのはどういうことなんだろうとか、(中略)全体の切ない気持ちというよりも、局部局部に視点を持っていって考えていて」と語っている[1]

    ジャケットブルーバックに白文字で「Mr.Children・Atomic Heart」と小さく表記されているのみで、本アルバムの収録シングル「innocent world」の仮タイトルが「innocent blue」だったため、ブルーバックが採用された[2]アートディレクター信藤三雄。初回限定盤はブルーのプラスチックスリーブに水色のカラーCDケースが収納されている仕様で、歌詞カードの表紙は表記のない水色の無地。

    初めてインストゥルメンタルが収録された作品。

    Mr.Childrenのアルバムでは最もシングルカットされた曲(カップリング曲やリミックスバージョンを含む)とベスト・アルバムに収録された曲が多い作品。

    5thシングル『innocent world』のカップリング曲「my confidence song」は未収録。

    チャート成績[編集]

    累計売上は343.0万枚(オリコン調べ)で、Mr.ChildrenのCD作品では最高を記録。また、発売当時の邦楽アルバムで歴代最高を記録した[注 1]。さらに、日本国内における男性アーティストのオリジナルアルバムで歴代最高を記録している。

    なお、本作の初動売上は85.2万枚で、オリコンチャートにて初動売上が100万枚を突破せずに累積売上が300万枚を突破したオリジナルアルバムは本作のみ[注 2]

    収録内容[編集]

    全作詞: 桜井和寿(#1, #9を除く)、全編曲: 小林武史 & Mr.Children。
    #タイトル作詞作曲時間
    1.「Printing」桜井和寿(#1, #9を除く) 
    2.「Dance Dance Dance」桜井和寿(#1, #9を除く)桜井和寿・小林武史
    3.「ラヴ コネクション」(ブラス・アレンジ: 山本拓夫)桜井和寿(#1, #9を除く)桜井和寿・小林武史
    4.innocent world桜井和寿(#1, #9を除く)桜井和寿
    5.「クラスメイト」(ブラス・アレンジ: 山本拓夫)桜井和寿(#1, #9を除く)桜井和寿
    6.CROSS ROAD桜井和寿(#1, #9を除く)桜井和寿
    7.「ジェラシー」桜井和寿(#1, #9を除く)桜井和寿・小林武史
    8.「Asia (エイジア)」桜井和寿(#1, #9を除く)鈴木英哉
    9.「Rain」桜井和寿(#1, #9を除く) 
    10.「雨のち晴れ」桜井和寿(#1, #9を除く)桜井和寿
    11.「Round About 〜孤独の肖像〜」(ブラス・アレンジ: 山本拓夫)桜井和寿(#1, #9を除く)桜井和寿
    12.「Over」桜井和寿(#1, #9を除く)桜井和寿
    合計時間:

    楽曲解説[編集]

    1. Printing
      • プリンターがプリントしている音で構成されているインストゥルメンタル。
      • 桜井は「これは『Dance Dance Dance』と繋がっているイメージがあるんです。『Dance Dance Dance』が詞も音も両方の面で情報量満載の曲で。今この世の中にある情報とか欲望がびっしり詰まっている曲なんで、それを表す意味でコンピューターのプリンターの音を使っているんです」と語っている[3]。ライブにおいても次曲「Dance Dance Dance」の前に流れることが多い。
    2. Dance Dance Dance
      • 仮タイトルは「ひよこの武道館」「ひよこのトンネル探検」「ひよこのトンネル探検・魔界編[4]。また、情報に踊らされている世の中への警告として「メディアン・エイリアン」という仮タイトルも考えていた。
      • ライブ定番曲で、元々は「今の自分達が武道館のような大ホールでやるとしたら?」という発想から作られた[5]。楽曲中のスネアはマイクにオートバイのマフラーを括り付けて録音されたもの[5]
      • 後にベスト・アルバムLAND IN ASIA』『Mr.Children 1992-1995』にも収録された。ベスト・アルバム発売に伴い行われたライブツアー『POPSAURUS』では本作収録の「innocent world」「Round About 〜孤独の肖像〜」と共に2001年2012年の両セットリストに入っている楽曲[注 3]
    3. ラヴ コネクション
      • 仮タイトルは「What Do You Want」「背骨男[4]。「背骨男」という仮タイトルは楽曲と直接関係はなく、当時の現場マネージャーの姿勢の悪さを揶揄して付けられた。
      • 後に6thシングル『Tomorrow never knows』のカップリング曲としてシングルカットされ、ベスト・アルバム『LAND IN ASIA』にも収録された。
      • アルバムの中では最後に出来上がった楽曲。ローリング・ストーンズを意識しつつ、「ライブで盛り上がれる曲を作ろう」というコンセプトにおいて作られた。アルバム曲としては珍しくミュージック・ビデオが制作され、こちらもローリング・ストーンズの『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』を意識したものになっている。このミュージック・ビデオは映像作品に未収録であったためなかなか観られない状態にあったが、2020年4月18日より公式YouTubeチャンネルで公開、視聴可能となった。
    4. innocent world
      • 5thシングル表題曲。
    5. クラスメイト
      • 仮タイトルは「女子供の a long time ago[4]
      • 後に7thシングル『everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-』のカップリングとしてシングルカットされ、ベスト・アルバム『LAND IN ASIA』にも収録された。
      • 既に彼氏がいる昔のクラスメイトと関係を持ってしまうというのがテーマで、「innocent world」と同時期に作られた曲でもある。また、同アルバムのCMソングにも起用された。
      • 元々はシングル候補として作られていた。
    6. CROSS ROAD
      • 4thシングル表題曲。
    7. ジェラシー
      • テクノのような手法を取り入れた実験的な楽曲で、人はなぜ人を愛するのかということ、自然、地球愛、DNAなど壮大なテーマを持った歌詞となっている[3]
      • 桜井が遺伝子の話を知って作ったため、このような壮大な歌詞となっている。
    8. Asia (エイジア)
      • 仮タイトルは「アジアン・ジェン[4]で、タイトル通りアジアについて歌われた楽曲。
      • 鈴木が全てを作曲した唯一の楽曲で[注 4]、デモテープには桜井ではなく鈴木の声で録音されていたという。
      • 歌詞カードの17行目から19行目に誤りがある(実際には歌われていない)[注 5]
      • デモテープに入っていたストリングスの音色が東洋的だったため、このような歌詞になった。
    9. Rain
      • 雨の降る音が録音されているインストゥルメンタル。
    10. 雨のち晴れ
      • 仮タイトルは「環七での危険な遭遇[4]
      • 曲作りに疲弊していた桜井が、これは自分の曲ではないのだからと気楽に考え「JEN(鈴木の愛称)がもしサラリーマンだったとしたら?」という発想の下で作られた楽曲[5]
      • 当初は鈴木がボーカルを担当する予定だったが、桜井は歌詞を書き上げると愛着が湧き始め結局桜井がボーカルを取る運びになったという[5][6]。歌詞の中の「上司に愚痴言われるうちが『花』だって言うから」の「花」は正しくは「華」だが、これは意図的なもの[7]
      • この楽曲のリミックスバージョンが8thシングル『【es】 〜Theme of es〜』のカップリングとして収録され、オリジナルバージョンは後にベスト・アルバム『LAND IN ASIA』『Mr.Children 1992-1995』にも収録。
    11. Round About 〜孤独の肖像〜
      • 仮タイトルは「ひょんなことから田沼」「ヒョンタヌ[4]。田沼とはMr.Childrenの初代マネージャーのこと。
      • 本作で最もテンポが速い楽曲。
      • 歌詞は桜井が深夜の渋谷を歩いていた際に目撃した光景をきっかけに書かれているという。
      • 当初はアコギ1本の弾き語り風にする予定だったが、刺激的な言葉には説得力がないということで現在のアレンジに変更されたという。
      • 後にベスト・アルバム『LAND IN ASIA』にも収録。
    12. Over
      • 仮タイトルは「2beatでKAN[注 6]
      • 失恋ソングで、同アルバムのCMソングに起用されたほか曲名には「Love is over(恋が終わる)」と最後の歌詞の「悲しみのトンネルをさぁくぐり抜けよう」という2つの意味が掛かっている[5][8]。桜井は「悲しいことを悲しいことと思わない僕の性格が出た」と語っている[5]
      • 明るいメロディーと相反する、別れの悲しみを綴った歌詞の組み合わせを作詞作曲するにあたっては、ギルバート・オサリバンの楽曲「アローン・アゲイン」を参考にした[8]
      • 歌詞の一部である「顔のわりに小さな胸」が物議を醸す原因を作ってしまい、作詞した桜井本人も「不徳の致すところ」と自虐的に語っている[8]
      • 後にベスト・アルバム『Mr.Children 1992-1995』にも収録。
      • 2014年に開催されたファンクラブ限定ツアー『Mr.Children FATHER&MOTHER 21周年ファンクラブツアー』の直前に行われた「会員が最もライブで聴きたい曲」アンケートでは8位に選ばれた[9]
      • 36thシングル『ヒカリノアトリエ』ではシークレットトラックとして、桜井による制作秘話と演奏を交えたライブバージョンが収録されている。
      • oricon styleが2005年に実施した『男女1000人に聞いた!失恋した時に聴きたい曲NO.1』のアンケートにおいて、本曲が男性部門で1位を獲得した[10]

    参加ミュージシャン[編集]

    テレビ出演[編集]

    番組名 日付 放送局 演奏曲
    ミュージックステーション[11] 1994年9月9日 テレビ朝日 innocent world
    ポップジャム 1994年12月12日 NHK ラヴコネクション
    everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-
    ミュージックステーション[12] 1994年12月30日 テレビ朝日 innocent world
    Tomorrow never knows

    ライブ映像作品[編集]

    曲名 作品名
    Dance Dance Dance 【es】 Mr.Children in FILM[注 7]
    regress or progress '96-'97 tour final IN TOKYO DOME
    Mr.Children TOUR '99 DISCOVERY
    Mr.Children CONCERT TOUR POPSAURUS 2001
    MR.CHILDREN DOME TOUR 2005 "I ♥ U" 〜FINAL IN TOKYO DOME〜
    Mr.Children "HOME" TOUR 2007
    Mr.Children "HOME" TOUR 2007 -in the field-
    Mr.Children DOME TOUR 2009 〜SUPERMARKET FANTASY〜 IN TOKYO DOME
    ap bank fes '11 Fund for Japan
    MR.CHILDREN TOUR POPSAURUS 2012
    Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25
    Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸
    Mr.Children Dome Tour 2019 Against All GRAVITY
    ラヴ コネクション 【es】 Mr.Children in FILM[注 7]
    regress or progress '96-'97 tour final IN TOKYO DOME
    Mr.Children TOUR '99 DISCOVERY
    Mr.Children DOME TOUR 2009 〜SUPERMARKET FANTASY〜 IN TOKYO DOME
    innocent world
    クラスメイト Mr.Children Concert Tour Q 2000-2001
    Mr.Children、ヒカリノアトリエで虹の絵を描く[注 8]
    CROSS ROAD
    ジェラシー 【es】 Mr.Children in FILM[注 7]
    Asia (エイジア) 【es】 Mr.Children in FILM[注 7]
    雨のち晴れ 【es】 Mr.Children in FILM[注 7]
    Round About 〜孤独の肖像〜 【es】 Mr.Children in FILM[注 7]
    regress or progress '96-'97 tour final IN TOKYO DOME
    Mr.Children CONCERT TOUR POPSAURUS 2001
    MR.CHILDREN TOUR POPSAURUS 2012
    Over MR.CHILDREN DOME TOUR 2005 "I ♥ U" 〜FINAL IN TOKYO DOME〜[注 9]
    Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス[注 10][注 11]

    脚注[編集]

    注釈[編集]

    1. ^ それまでは1992年発売のDREAMS COME TRUEThe Swinging Star」が歴代1位であった。
    2. ^ ベスト・アルバムでは『Impressions』(竹内まりや)、『ALL SINGLES BEST』(コブクロ)などが該当。
    3. ^ 他に両セットリストで演奏された楽曲は、14thシングル『ニシエヒガシエ』、16thシングル『光の射す方へ』、3rdアルバム『Versus』収録曲「LOVE」が該当。
    4. ^ 他に鈴木が作曲に携わった曲は2ndアルバム『Kind of Love』収録曲「思春期の夏 〜君との恋が今も牧場に〜」、7thアルバム『DISCOVERY』収録曲「#2601」が該当。
    5. ^ 初回限定盤にはお詫びと訂正を兼ねた紙が同封されている。
    6. ^ もともとのリズムが2ビート、メロディはKAN的なものを意識したことから[4]
    7. ^ a b c d e f ドキュメンタリー映画作品
    8. ^ ドキュメンタリー・ビデオ作品
    9. ^ 特典映像。キーを半音下げて弾き語りで演奏された。
    10. ^ 『Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス - 2022.5.10 TOKYO DOME – 完全版』に収録。
    11. ^ キーを半音下げて演奏された。

    出典[編集]

    1. ^ 『R&R NewsMaker』ビクターエンタテインメント、1994年9月号、35頁
    2. ^ 【Mr.Children特集】アートディレクター信藤三雄が、爆発的ヒット作とともに歩んだ10年間のアートワークを振り返る”. pen (2022年6月3日). 2022年7月14日閲覧。
    3. ^ a b 『R&R NewsMaker』ビクターエンタテインメント、1994年9月号、37頁
    4. ^ a b c d e f g 『【es】 Mr.Children in 370 DAYS』角川書店 
    5. ^ a b c d e f Mr.Children 1992-1995』ライナーノーツ
    6. ^ B-SIDE』ライナーノーツ
    7. ^ 『R&R NewsMaker』ビクターエンタテインメント、1994年9月号、25頁
    8. ^ a b c 36thシングル『ヒカリノアトリエ』収録のシークレットトラックより。
    9. ^ 映画『Mr.Children REFLECTION』劇場公開パンフレット
    10. ^ 男女1000人に聞いた!失恋した時に聴きたい曲NO.1はこれ!(オリコン)”. 2005年3月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月4日閲覧。
    11. ^ ミュージックステーション バックナンバー 出演者ラインナップ 1994.09.09.FRI”. テレビ朝日. 2021年8月30日閲覧。
    12. ^ ミュージックステーション バックナンバー 出演者ラインナップ 1994.12.30.FRI”. テレビ朝日. 2021年8月30日閲覧。

    外部リンク[編集]