1995年フランス大統領選挙

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1995年フランス大統領選挙
大統領 任期:1995年-2002年
1995年4月23日5月7日
種類:  大統領

基礎データ
有権者数: 第1回:39,993,954
第2回:39,976,944
投票数(第1回): 31,346,960
  
78.38%  7.1%
有効投票数: 30,464,552

投票数(第2回): 31,845,819
  
79.66%  1.6%
有効投票数: 29,943,671

選挙結果
ジャック・シラクRPR
得票(第1回): 6,348,696  
得票(第2回): 15,763,027  148.3%
  
20.84%
  
52.64%
リオネル・ジョスパンPS
得票(第1回): 7,098,191  
得票(第2回): 14,180,644  99.8%
  
23.30%
  
47.36%
エドゥアール・バラデュール無所属
選挙連合: UDF
得票(第1回): 5,658,996  
  
18.57%
ジャン=マリー・ル・ペンFN
得票(第1回): 4,571,138  
  
15.00%
ロベール・ユーPCF
得票(第1回): 2,632,936  
  
8.64%
アルレット・ラギエLO
得票(第1回): 1,615,653  
  
5.30%

第2回投票結果
1995年フランス大統領選挙
  ジャック・シラク
  リオネル・ジョスパン

大統領

1995年フランス大統領選挙(1995ねんフランスだいとうりょうせんきょ)は、フランス共和国元首である大統領を選出するため、1995年4月23日5月7日(第2回投票)に投票が行われたフランスの大統領選挙である。

概要[編集]

フランス共和国大統領の任期7年が満了したことに伴って実施された選挙である。フランスの大統領選挙は、第1回投票で過半数を得た候補者がいない場合、得票数上位2名の候補で第2回投票(決選投票)が行われる仕組みとなっており、最終的に左右両陣営に集約されていく傾向がある。2年前の国民議会選挙で大勝した保守勢力出身の大統領の誕生が予測され、保守政党である共和国連合のジャック・シラク候補が当選した。しかし、第1回投票では左派の最大勢力である社会党のリオネル・ジョスパン候補が首位に立ち、第2回投票でも善戦する予想外の結果となった。

争点[編集]

今回の選挙戦では前々回81年のイデオロギー対立や前回88年の社会正義とエリート支配の対立といった構図はなりを潜め、候補者の人柄など国家元首としてどの候補者が相応しいのかを問うイメージ選挙の様相が強くなった[1]

雇用問題はいずれの主要候補も優先課題として取り上げた。シラク候補は「失業者のための社会保障政策より景気回復を優先」する立場から「イニシアティブ雇用契約」[2]という企業援助による雇用創出政策を、バラデュール候補も財政状況改善のための措置を伴った雇用政策や減税・雇用対策など、企業に対する支援に比重を置く政策を掲げた。これに対し、ジョスパン候補は都市郊外の再整備や低所得者向け住宅の建設、老人・身障者介護、環境保護などの社会福祉政策と結びつけた大型プロジェクトを提案し、労働者に対する社会保障政策に重点を置く政策を掲げた[3]

個別政策ではシラク候補が国民投票枠の拡大や大統領任期七年制の維持、徴兵期間短縮、核実験禁止の見直し、ヨーロッパ通貨統合の再検討などを掲げ、一方のジョスパン候補は大統領任期を五年に短縮、徴兵制度維持、核拡散防止条約延長、ヨーロッパ統合の積極的推進を主張し、両者のスタンスの違いが見られた。

候補者[編集]

立候補に必要な国会議員又は地方議員500名以上の署名を集めて候補者登録ができた最終的な立候補者は以下の通りである。

候補者一覧(アルファベット順)
候補者名 所属党派 備考
フランス語 読み(日本語)
Edouard Balladur エドゥアール・バラデュール RPR 共和国連合(反シラク派)   首相  
Jaques Cheminade ジャック・シュミナード 
Jacques Chirac ジャック・シラク  RPR 共和国連合 
Robert Hue ロベール・ユー PCF フランス共産党  共産党全国書記(党首)
Lionel Jospan リオネル・ジョスパン PS 社会党  社会党第1書記(党首)
Arlette Laguiller アルレット・ラギエ LO 労働者の闘争 
Jean-Marie Le Pen ジャン=マリー・ルペン FN 国民戦線  国民戦線党首
Philippe de Villiers フィリップ・ドヴィリエ フランスのための運動 
Dominique Voyer ドミニク・ヴォワネ 緑の党 

選挙結果[編集]

有権者数及び投票者数
第1回投票 第2回投票
% %
登録有権者数 39,993,954 39,976,944
投票者数 31,346,960 78.38 31,845,819 79.66
棄権 8,646,994 21.62 8,131,125 20.34
有効票 30,464,552 29,943,671
無効票 882,408 1,902,148
:%部分の数字は、登録有権者を100とした場合の数字である。
候補者別得票
当落 候補者名 所属党派 第1回投票
(4月23日)
第2回投票
(5月7日)
得票 % 得票 %
Lionel Jospain リオネル・ジョスパン   PS 社会党   7,098,191 23.30 14,180,644 47.36
当選  Jacques Chirac ジャック・シラク  RPR 共和国連合   6,348,696 20.84 15,763,027 52.64
Edouard Balladur エドゥアール・バラデュール  RPR 共和国連合  5,658,996 18.58
  Jan-Marie Le Pen ジャン=マリー・ルペン  FN 国民戦線  4,571,138 15.00
Robert Hue ロベール・ユー PCF フランス共産党  2,632,936 8.64
Arlette Laguiller アルレット・ラギエ LO 労働者の闘争  1,615,653 5.30
Philippe de Villiers フィリップ・ドヴィリエ  MPF フランスのための運動   1,443,235 4.74
Dominique Voynet ドミニク・ヴォワネ  Les Verts 緑の党  1,010,738 3.32
Jaques Cheminade ジャック・シュミナード 84,969 0.28
合計 30,464,552 29,943,671

4月23日の第1回投票では、事前の世論調査などから首位が予想された共和国連合のシラク候補を抑えて社会党のジョスパン候補が首位に立った。ジョスパン候補とシラク候補の上位2名で争われた第2回投票ではシラク候補が首位になり当選を果たしたが、ジョスパン候補も左派勢力の票を集めて四割以上の票を集めて善戦した。そして第1回投票においてはシラクとジョスパン、バラデュールの主要三候補以外の候補者の得票が三割以上に達し、政権を担当する既成政党に対する批判が高いことを示す結果となった[4]。得に極右政党の国民戦線党首であるルペン候補は、前回選挙(14.5%)よりも得票率を伸ばして15%を獲得し、国民戦線の政治的基盤の確立を誇示する結果となった[5]

脚注[編集]

  1. ^ 渡邊啓貴「一九九五年フランス大統領選挙の考察」、日本選挙学会年報『選挙研究』No12、178頁下段
  2. ^ これは長期失業者を新規採用した企業に対して社会保障負担を二年間全額免除し、援助金として月額で2,000フランを支給することで、新規採用の促進を図るものである。
  3. ^ 前掲書同頁上段
  4. ^ 前掲書176頁上段
  5. ^ 前掲書同頁下段

出典[編集]