1990年の日本競馬

1990年 > 1990年のスポーツ > 1990年の日本競馬

1990年の日本競馬(1990ねんのにほんけいば)では、1990年平成2年)の日本競馬界についてまとめる。

1989年の日本競馬 - 1990年の日本競馬 - 1991年の日本競馬

概要[編集]

頂点を極める競馬ブーム[編集]

バブル景気に湧く日本に、オグリキャップをはじめとする人気馬、武豊をはじめとする若手人気騎手の活躍もあって競馬人気も大きく向上した。 中央競馬は入場者数を増やし、この年の東京優駿が行われた5月27日東京競馬場の入場者数は2020年現在、歴代最多の196,517名を記録した[1]。 勝馬アイネスフウジンの騎手中野栄治には「ナカノ! ナカノ!」と「ナカノコール」が沸き起こった[1]。 競馬場でGIレースの勝利騎手、勝利馬にコールが起きるのは、このとき以来とされている。 競馬ブームを牽引したオグリキャップの引退レースとなった第35回有馬記念が行われた12月23日中山競馬場も177,779名の中山競馬場の最多記録。これも2020年現在も破られていない。 この際にも勝ったオグリキャップ・武豊に「オグリコール」「ユタカコール」が送られた[2]

平成三強対決の行方[編集]

前年1989年の古馬中長距離戦線の話題を独占したオグリキャップ・スーパークリークイナリワンの「平成三強」対決は1990年の中央競馬も盛り上げた。 オグリキャップ不在の天皇賞・春ではスーパークリークが1番人気に応えてイナリワンを抑えて天皇賞秋→春連覇を達成。 武豊騎手は前年のイナリワンに続いて天皇賞・春連覇[注 1]、さらには春→秋→春の天皇賞3連覇を達成した。 オグリキャップは武豊との新コンビで休養明け初戦の安田記念を1分32秒4の日本レコードで圧勝。 続く宝塚記念では三強対決が期待されたが、スーパークリークが筋肉痛で回避し不在。 オサイチジョージが勝ち、オグリキャップは2着、イナリワンは4着に敗れた。 イナリワンはこのレースを最後に脚部不安を発症してそのまま引退。スーパークリークは秋初戦の京都大賞典で勝利を収めたが直後に故障(左前脚の繋靭帯炎)が判明し、そのまま復帰することなく引退した。 秋に復帰したオグリキャップは天皇賞・秋6着、ジャパンカップ11着と精彩を欠いたが、引退レースと決めて出走した有馬記念で武豊を背に見事に勝利を収めた[注 2]

芝1200mのGI新設[編集]

前年までGIIとして春に開催されていたスプリンターズステークスをGIに昇格し、有馬記念の1週前の12月開催となった。 GI昇格第1回のレースでは1番人気に支持されたバンブーメモリーが優勝し、JRA賞最優秀スプリンターにも2年連続で選出された。

できごと[編集]

1月 - 3月[編集]

4月 - 6月[編集]

7月 - 9月[編集]

10月 - 12月[編集]

その他[編集]

競走成績[編集]

中央競馬[編集]

平地GI[編集]

競走名 優勝馬 性齢 騎手 調教師 所属
月日 競馬場 コース・距離 馬主 タイム
第50回桜花賞[4] アグネスフローラ 牝4 河内洋 長浜博之 JRA栗東
4月8日 阪神競馬場 芝1600m 渡辺孝男 1:37.1
第50回皐月賞[5] ハクタイセイ 牡4 南井克巳 布施正 JRA栗東
4月15日 中山競馬場 芝2000m 渡辺重夫 2:02.2
第101回天皇賞(春)[6] スーパークリーク 牡6 武豊 伊藤修司 JRA栗東
4月29日 京都競馬場 芝3200m 木倉誠 3:21.9
第40回安田記念[7] オグリキャップ 牡6 武豊 瀬戸口勉 JRA栗東
5月13日 東京競馬場 芝1600m 近藤俊典 R1:32.4
第51回優駿牝馬(オークス)[8] エイシンサニー 牝4 岸滋彦 坂口正則 JRA栗東
5月20日 東京競馬場 芝2400m 平井豊光 2:26.1
第57回東京優駿(日本ダービー)[9] アイネスフウジン 牡4 中野栄治 加藤修甫 JRA美浦
5月27日 東京競馬場 芝2400m 小林正明 2:25.3
第31回宝塚記念[10] オサイチジョージ 牡5 丸山勝秀 土門一美 JRA栗東
6月10日 阪神競馬場 芝2200m 野出長一 2:14.0
第102回天皇賞(秋)[11] ヤエノムテキ 牡6 岡部幸雄 荻野光男 JRA栗東
10月28日 東京競馬場 芝2000m (有)富士 R1:58.2
第51回菊花賞[12] メジロマックイーン 牡4 内田浩一 池江泰郎 JRA栗東
11月4日 京都競馬場 芝3000m メジロ商事(株) 3:06.2
第15回エリザベス女王杯[13] キョウエイタップ 牝4 横山典弘 稗田研二 JRA美浦
11月11日 京都競馬場 芝2400m 松岡正雄 2:25.5
第7回マイルチャンピオンシップ[14] パッシングショット 牝6 楠孝志 橋田満 JRA栗東
11月18日 京都競馬場 芝1600m 森本忠治 1:33.6
第10回ジャパンカップ[15] ベタールースンアップ 6 M.クラーク D.ヘイズ オーストラリアの旗豪州
11月25日 東京競馬場 芝2400m G.ファラー 2:23.2
第42回朝日杯3歳ステークス[16] リンドシェーバー 牡3 的場均 元石孝昭 JRA美浦
12月9日 中山競馬場 芝1600m (株)デルマークラブ R1:34.0
第42回阪神3歳ステークス[17] イブキマイカグラ 牡3 南井克巳 中尾正 JRA栗東
12月9日 京都競馬場 芝1600m (株)伊吹 R1:34.4
第24回スプリンターズステークス[18] バンブーメモリー 牡6 武豊 武邦彦 JRA栗東
12月16日 中山競馬場 芝1200m 竹田辰一 R1:07.8
第35回有馬記念[19] オグリキャップ 牡6 武豊 瀬戸口勉 JRA栗東
12月23日 中山競馬場 芝2500m 近藤俊典 2:34.2

障害[編集]

競走名 優勝馬 性齢 騎手 調教師 所属
月日 競馬場 コース・距離 馬主 タイム
第104回中山大障害(春)[20] パンフレット 牡6 嘉堂信雄 田中良平 JRA栗東
4月7日 中山競馬場 4100m 小田切有一 4:39.5
第105回中山大障害(秋)[21] ワカタイショウ 牡6 星野忍 嶋田功 JRA美浦
12月22日 中山競馬場 4100m 渡辺喜八郎 4:38.9

地方競馬主要競走[編集]

表彰[編集]

JRA賞[編集]

  • 年度代表馬・最優秀5歳以上牡馬 オグリキャップ
  • 最優秀3歳牡馬 リンドシェーバー
  • 最優秀3歳牝馬 ノーザンドライバー
  • 最優秀4歳牡馬 アイネスフウジン
  • 最優秀4歳牝馬 アグネスフローラ
  • 最優秀5歳以上牝馬 パッシングショット
  • 最優秀父内国産馬 ヤエノムテキ
  • 最優秀スプリンター バンブーメモリー
  • 最優秀ダートホース カリブソング
  • 最優秀障害馬 ワカタイショウ
  • 最優秀アラブ 該当馬なし

NARグランプリ[編集]

リーディング[編集]

リーディングジョッキー[編集]

  • 最多勝利騎手・最多賞金獲得騎手 武豊
  • 最高勝率騎手 岡部幸雄
  • 最多勝利障害騎手 星野忍

リーディングトレーナー[編集]

リーディングオーナー[編集]

リーディングブリーダー[編集]

リーディングサイアー[編集]

リーディングブルードメアサイアー[編集]

誕生[編集]

人物[編集]

競走馬[編集]

この年に生まれた競走馬は1993年のクラシック世代となる。

死去[編集]

人物[編集]

競走馬[編集]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 競馬歴史新聞編集委員会『新版競馬歴史新聞』日本文芸社、2004年。ISBN 4-537-25205-7 
  • 一般社団法人 中央競馬振興会『日本近代競馬総合年表』中央競馬ピーアール・センター、2018年。 

注釈[編集]

  1. ^ その後も1991年1992年メジロマックイーンで連覇し、4連覇まで伸ばした。
  2. ^ この日の昼休みにはイナリワンの引退式も行われている[3]
  3. ^ 翌年より「阪神3歳牝馬ステークス」として牝馬限定戦で行われるようになったため、関西3歳No.1決定戦としては最後の開催であった。また、阪神競馬場改修の代替で京都競馬場での開催となった。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h 『総合年表』p.223
  2. ^ a b c d e f g 『総合年表』p.224
  3. ^ 南関東の雄から年度代表馬へ!イナリワンの小さな身体に秘めた底力”. ミドルエッジ (2016年11月25日). 2021年2月4日閲覧。
  4. ^ 10R 桜花賞|1990年4月8日(日)3回阪神6日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  5. ^ 10R 皐月賞|1990年4月15日(日)3回中山8日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  6. ^ 10R 天皇賞(春)|1990年4月29日(日)2回京都4日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  7. ^ 10R 安田記念|1990年5月13日(日)2回東京8日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  8. ^ 10R オークス|1990年5月20日(日)3回東京2日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  9. ^ 9R 日本ダービー|1990年5月27日(日)3回東京4日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  10. ^ 10R 宝塚記念|1990年6月10日(日)4回阪神8日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  11. ^ 10R 天皇賞(秋)|1990年10月28日(日)4回東京8日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  12. ^ 10R 菊花賞|1990年11月4日(日)4回京都2日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  13. ^ 10R エリザベス女王杯|1990年11月11日(日)4回京都4日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  14. ^ 10R マイルChS|1990年11月18日(日)4回京都6日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  15. ^ 10R ジャパンC|1990年11月25日(日)5回東京8日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  16. ^ 11R 朝日杯3歳S|1990年12月9日(日)5回中山4日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  17. ^ 11R 阪神3歳S|1990年12月9日(日)5回京都4日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  18. ^ 10R スプリンターズS|1990年12月16日(日)5回中山6日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  19. ^ 9R 有馬記念|1990年12月23日(日)5回中山8日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  20. ^ 10R 中山大障害(春)|1990年4月7日(土)3回中山5日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。
  21. ^ 10R 中山大障害(秋)|1990年12月22日(土)5回中山7日”. JBISサーチ. 2021年5月4日閲覧。