1987年イギリスグランプリ

イギリスの旗 1987年イギリスグランプリ
レース詳細
日程 1987年シーズン第7戦
決勝開催日 7月12日
開催地 シルバーストン・サーキット
イギリス ノーサンプトンシャー州
コース長 4.778km
レース距離 65周（310.570km）
決勝日天候 晴（ドライ）
ポールポジション
ドライバー
タイム 1'07.110
ファステストラップ
ドライバー イギリスの旗 ナイジェル・マンセル
タイム 1'09.832（Lap 58）
決勝順位
優勝
2位
3位

1987年イギリスグランプリは、1987年F1世界選手権の第7戦として、1987年7月12日にシルバーストン・サーキットで開催された。

概要[編集]

アメリカグランプリを終え、ヨーロッパラウンドが再開されての2戦目で、フランスグランプリの翌週に開催されたレースである。

予選[編集]

予選ではウィリアムズのネルソン・ピケが、地元イギリス出身でチームメイトのナイジェル・マンセルを7/100秒抑えてポールポジションを獲得した。リジェのピエルカルロ・ギンザーニは、金曜日に燃料切れでコース上にストップした際、メカニックがコース上で給油して再出走したために失格となり、更に罰金2000米ドルが課された[1]。

決勝[編集]

マンセル逆転優勝[編集]

決勝は、他のチームのマシンを全く寄せ付けずウィリアムズの2台で優勝争いが行われた。ピケは序盤からレースをリードし、タイヤを労わりピットインをせずに最後まで走り切る戦略を取った。これは当時としては珍しい戦略であった。それに対し2位を走行するマンセルは35周目にピットイン[1]し、タイヤを交換した。

マンセルのピットインで2台の差は30秒まで広がった[1]が、マンセルは毎周1秒以上のペースでピケとの差を縮め、残り3周のストウ・コーナーで、マンセルはアウト側にマシンを振ってから急激にピケのインを突いて抜き去ることに成功し、逆転優勝を飾った。

ホンダ勢1-4位独占[編集]

レースはウィリアムズの2台が後続を引き離し、その背後にロータスのセナとマクラーレンのプロストが続いた。レースの半分を過ぎるとセナがプロストの前に出て、ホンダエンジン搭載車が1位から3位までを占めた。その背後にはプロストとフェラーリのアルボレート、スタートで順位を上げてフェラーリのベルガーとマクラーレンのヨハンソンを従えて走っていたロータスの中嶋の順で続いた。

上位陣はレース終盤までこの順位で進行したが、アルボレートとプロストが相次いでトラブルに見舞われると、6位を走行していた中嶋が4位に繰り上がり、ついにホンダエンジン搭載車の全4台が先頭から4位までを独占し、この4台はゴールまで走りきった。レース終盤には、競り合うウィリアムズの2台が3位のセナを周回遅れにし、ほぼ同時に中嶋を2周遅れにした。

ゴール後、中嶋が2周遅れになったことについて、ホンダ総監督の桜井淑敏はフジテレビのインタビューの中で「燃料切れを避けるためにペースを落とした結果」だと述べた。元々このレースで中嶋は「レース前半（30周目前後まで）は燃費を気にせずに突っ走る」作戦をとったため[2]、レース中盤で既に「トップに2周遅れにされないと完走できない」ことが判明していた[3]。中嶋は、自身のベストラップを63周中の61周目に記録しており[4]、全出走車中で最もゴールに近いタイミングで自己ベストタイムを記録したドライバーだったが、これは58周目にトップから2周遅れにされて燃費の心配がなくなった中嶋が、ターボエンジンの過給圧を元に戻したことも関係している[5]。

全13台がマシントラブルでリタイアし、完走は9台だった。また、この1987年にホンダ以外のエンジンでF1勝利を記録したチーム（フェラーリとマクラーレン）の全4台もリタイアした。

結果[編集]

予選[編集]

順位 No ドライバー コンストラクタ 1回目 2回目
1 6 ブラジルの旗 ネルソン・ピケ ウィリアムズ・ホンダ 1'07.596 1'07.110
2 5 イギリスの旗 ナイジェル・マンセル ウィリアムズ・ホンダ 1'07.725 1'07.180
3 12 ブラジルの旗 アイルトン・セナ ロータス・ホンダ 1'09.255 1'08.181
4 1 フランスの旗 アラン・プロスト マクラーレン・TAG 1'08.577 1'09.492
5 20 ベルギーの旗 ティエリー・ブーツェン ベネトン・フォード 1'09.724 1'08.972
6 19 イタリアの旗 テオ・ファビ ベネトン・フォード 1'10.264 1'09.246
7 27 イタリアの旗 ミケーレ・アルボレート フェラーリ 1'10.441 1'09.274
8 28 オーストリアの旗 ゲルハルト・ベルガー フェラーリ 1'10.328 1'09.408
9 8 イタリアの旗 アンドレア・デ・チェザリス ブラバム・BMW 1'10.787 1'09.475
10 2 スウェーデンの旗 ステファン・ヨハンソン マクラーレン・TAG 1'10.242 1'09.541
11 7 イタリアの旗 リカルド・パトレーゼ ブラバム・BMW 1'10.012 1'10.020
12 11 日本の旗 中嶋悟 ロータス・ホンダ 1'10.619 1'10.998
13 17 イギリスの旗 デレック・ワーウィック アロウズ・メガトロン 1'10.654 1'10.781
14 18 アメリカ合衆国の旗 エディ・チーバー アロウズ・メガトロン 1'11.053 1'11.310
15 24 イタリアの旗 アレッサンドロ・ナニーニ ミナルディ・モトーリ・モデルニ 1'13.737 1'12.293
16 25 フランスの旗 ルネ・アルヌー リジェ・メガトロン 1'12.503 1'12.402
17 9 イギリスの旗 マーティン・ブランドル ザクスピード 1'12.852 1'12.632
18 10 ドイツの旗 クリスチャン・ダナー ザクスピード 1'15.833 1'13.337
19 23 スペインの旗 エイドリアン・カンポス ミナルディ・モトーリ・モデルニ 1'15.719 1'13.793
20 21 イタリアの旗 アレックス・カフィ オゼッラ・アルファロメオ 1'18.495 1'15.558
21 30 フランスの旗 フィリップ・アリオー ローラ・フォード 1'16.770 1'15.868
22 4 フランスの旗 フィリップ・ストレイフ ティレル・フォード 1'17.208 1'16.524
23 3 イギリスの旗 ジョナサン・パーマー ティレル・フォード 1'16.644 1'17.105
24 16 イタリアの旗 イヴァン・カペリ マーチ・フォード 1'17.122 1'16.692
25 14 フランスの旗 パスカル・ファブル AGS・フォード 1'19.163 1'18.237
失格 26 イタリアの旗 ピエルカルロ・ギンザーニ リジェ・メガトロン - -

決勝[編集]

順位 No ドライバー コンストラクタ 周回 タイム/リタイヤ グリッド ポイント
1 5 イギリスの旗 ナイジェル・マンセル ウィリアムズ・ホンダ 65 1:19'11.780 2 9
2 6 ブラジルの旗 ネルソン・ピケ ウィリアムズ・ホンダ 65 + 1.918 1 6
3 12 ブラジルの旗 アイルトン・セナ ロータス・ホンダ 64 +1 Lap 3 4
4 11 日本の旗 中嶋悟 ロータス・ホンダ 63 +2 Laps 12 3
5 17 イギリスの旗 デレック・ワーウィック アロウズ・メガトロン 63 +2 Laps 13 2
6 19 イタリアの旗 テオ・ファビ ベネトン・フォード 63 +2 Laps 6 1
7 20 ベルギーの旗 ティエリー・ブーツェン ベネトン・フォード 62 +3 Laps 5  
8 3 イギリスの旗 ジョナサン・パーマー ティレル・フォード 60 +5 Laps 23  
9 14 フランスの旗 パスカル・ファブル AGS・フォード 59 +6 Laps 25  
リタイヤ 4 フランスの旗 フィリップ・ストレイフ ティレル・フォード 57 エンジン 22  
NC 9 イギリスの旗 マーティン・ブランドル ザクスピード 54 規定周回数不足 17  
リタイヤ 1 フランスの旗 アラン・プロスト マクラーレン・TAG 53 エンジン 4  
リタイヤ 27 イタリアの旗 ミケーレ・アルボレート フェラーリ 52 サスペンション 7  
リタイヤ 18 アメリカ合衆国の旗 エディ・チーバー アロウズ・メガトロン 45 エンジン 14  
リタイヤ 23 スペインの旗 エイドリアン・カンポス ミナルディ・モトーリ・モデルニ 34 燃料システム 19  
リタイヤ 21 イタリアの旗 アレックス・カフィ オゼッラ・アルファロメオ 32 エンジン 20  
リタイヤ 10 ドイツの旗 クリスチャン・ダナー ザクスピード 32 ギアボックス 18  
リタイヤ 7 イタリアの旗 リカルド・パトレーゼ ブラバム・BMW 28 ターボ 11  
リタイヤ 2 スウェーデンの旗 ステファン・ヨハンソン マクラーレン・TAG 18 エンジン 10  
リタイヤ 24 イタリアの旗 アレッサンドロ・ナニーニ ミナルディ・モトーリ・モデルニ 10 エンジン 15  
リタイヤ 8 イタリアの旗 アンドレア・デ・チェザリス ブラバム・BMW 8 ターボ 9  
リタイヤ 28 オーストリアの旗 ゲルハルト・ベルガー フェラーリ 7 アクシデント 8  
リタイヤ 30 フランスの旗 フィリップ・アリオー ローラ・フォード 7 ギアボックス 21  
リタイヤ 25 フランスの旗 ルネ・アルヌー リジェ・メガトロン 3 アクシデント 16  
リタイヤ 16 イタリアの旗 イヴァン・カペリ マーチ・フォード 3 アクシデント 24  
失格 26 イタリアの旗 ピエルカルロ・ギンザーニ リジェ・メガトロン 0 除外 -  

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c 「フジテレビオフィシャルF1イヤーブック 87-88」p.142 昭和62年12月21日刊 ISBN 4-594-00191-2
  2. ^ 海老沢泰久『F1走る魂』（文藝春秋、1988年）pp.264 - 269
  3. ^ 『F1走る魂』pp.273 - 275
  4. ^ 「フジテレビオフィシャルF1イヤーブック 87-88」p.192 昭和62年12月21日刊 ISBN 4-594-00191-2
  5. ^ 『F1走る魂』p.277
  6. ^ 「フジテレビオフィシャルF1イヤーブック 87-88」昭和62年12月21日刊 ISBN 4-594-00191-2

関連項目[編集]

前戦
1987年フランスグランプリ 		FIA F1世界選手権
1987年シーズン 		次戦
1987年ドイツグランプリ
前回開催
1986年イギリスグランプリ 		イギリスの旗 イギリスグランプリ 次回開催
1988年イギリスグランプリ
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