鳴門うどん

鳴門うどん もり・うどん 竹輪入
鳴門うどん もり・うどん 竹輪入

鳴門うどん(なるとうどん)は、徳島県鳴門市及びその周辺地域で作られ、食べられているご当地うどん[1]。「鳴ちゅるうどん」とも呼称される[2][3]

歴史[編集]

江戸時代から塩業が盛んだった鳴門市の鳴門町高島が発祥であるとの説[4][注 1]、江戸時代に製麺所として創業し、現在も営業する最も古い店とされる大井食堂(鳴門市撫養町南浜)を発祥とする説[2]:290など諸説[2]:290-292ある。

かつて鳴門では、徳利から出汁を器に注ぎ、食べていたという粋な出前文化[2]:60があった。今ではうどん店や製麺所が点在[2]:83-87し、食料品店やスーパーでも玉売りされ[2]:114-118、店によっては持ち帰りもでき[2]:173、自宅でうどんを打つ家もあるほどであり[2]:232-243、麺文化が根付いており[2]:289-290、地元鳴門の人たちにとって長く深く愛されてきた[5]:55

2000年台に入って、徳島県出身の写真家である中野晃治[6]が「鳴門のちゅるちゅるうどん探訪記」[2]の連載をスタート[注 2]し、鳴門うどんを「鳴ちゅる」と命名[5]:55したことで、その後、「鳴ちゅるうどん」[3]とも呼ばれ、広く知られるようになった。

特徴[編集]

手作りうどん鳴門・おにぎり ばら寿司
手作りうどん鳴門・おにぎり ばら寿司
鳴門うどん もり・ちらし寿司
鳴門うどん もり・ちらし寿司

特徴としては、あっさりとした黄金色に輝く出汁[4]、ほとんどコシの無い不揃い[注 3]の麺、シンプルな具(ネギ、刻み揚げ、ちくわ[7][2]:289などがあげられる。

鳴門は、江戸時代から昭和40年代後半まで塩田として栄えていたが、「浜子」と呼ばれる塩田労働者達が重労働を終えた後の疲れた体で食べたとしても、噛まずとも食べ易く、消化し易いよう、疲れをいやすために少し甘めの出汁で、細くちぎれ易くコシの弱い麺になったと言われている[4]

刻み揚げは、ほとんどの店舗で創業100年の老舗である住谷豆腐店(鳴門市鳴門町高島)製[2]:50-56のものが用いられている[4]

サイドメニューとして、おにぎり揚げ物[4]おでんいなり寿司ちらし寿司[2]:173などが置かれている店も多い。 最近では、カレーうどん[2]:198[8][9]などのアレンジメニューも見受けられる[5]:55

地域おこしへの活用[編集]

香川県讃岐うどんが地元自治体などによって全国に宣伝されて、観光客誘致や地域おこしに活用されている[10]が、鳴門うどんも下記のとおり、同じ動きがみられる。

  • 2010年に鳴門うどんの食べ歩きの参考のため、鳴門市うずしお観光協会が「鳴ちゅるうどんパンフレット(鳴門うどんマップ)」を作成[11][5]:57
  • 2012年に鳴門商工会議所が中心となり「鳴門うどん研究会」が発足され、鳴ちゅるうどんの販売促進活動に取り組んでいる[3]
  • 鳴門市が無料配布している観光ガイドブックに鳴門うどんが紹介されている[12]

店舗[編集]

大井食堂・うどん全部(竹輪・玉子)入
大井食堂・うどん全部(竹輪・玉子)入
舩本うどん末広店・おでん
舩本うどん末広店・おでん

鳴ちゅるうどんパンフレット(鳴門うどんマップ)[11]によれば、鳴門市内に約20軒あるが、この他にも徳島市内や藍住町阿南市小松島市にも店舗が見受けられる[5]:55-67

主な店舗としては、

  • 鳴門市では、大井食堂(撫養町南浜)[13]、舩本うどん(鳴門町高島)[14]など
  • 徳島市では、舩本うどん末広店(徳島市末広)[15]、鳴門うどんもり(徳島市末広)[5]:64[2]:172-177[16]、手作りうどん鳴門(徳島市中前川町)[17]など

がある。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 中野は「高島ではその昔、塩田で働く人がよく食べたと言われている。また重労働の合間に出前でとられていたともいう。柔らかな細麺は消化によく、おやつ感覚で食べられる。食後の労働にも胃に負担をかけなかったと推測できる。」と述べている[2]:291
  2. ^ メディコム月刊タウン情報トクシマ(タウトク)にて2003年2月から2006年6月まで[5]
  3. ^ 不揃いではない、細く、ストレートな麺を提供するお店もある[2]:132-149[5]:66-67

出典[編集]

  1. ^ 鳴ちゅる.com”. ウマイ 馬居製麺. 2020年8月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 中野晃治 (2006.07.01). 鳴門のちゅるちゅるうどん探訪記鳴るちゅる. メディコム 
  3. ^ a b c 鳴門うどん研究会”. 鳴門うどん研究会. 2020年5月10日閲覧。
  4. ^ a b c d e 鳴門名物鳴門うどん”. アサヒビール. 2020年5月15日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h 月刊タウン情報トクシマ. メディコム. (2010.12.01) 
  6. ^ KOJI NAKANO PHOTOGRAPHY”. 中野晃治. 2020年8月21日閲覧。
  7. ^ コラム―鳴門うどん”. 中国四国農政局. 2020年8月12日閲覧。
  8. ^ 徳島美食本 不揃いなちぢれ麺にスパイシーなカレーが絡みつく 鳴門うどんもり. メディコム. (2019.03.01) 
  9. ^ ”カレー・マニア”のうどん店・店主が贈る味”. 徳島のお騒がせWEBメディアAWALOG. 2020年8月14日閲覧。
  10. ^ うどん県旅ネット”. 香川県観光協会. 2020年8月14日閲覧。
  11. ^ a b 鳴門うどん 鳴ちゅる ~鳴門のB級グルメ~”. 一般社団法人鳴門市うずしお観光協会. 2020年8月13日閲覧。
  12. ^ NARUTO TRAVEL GUIDE. 鳴門市. (2018.11.1) 
  13. ^ 濃厚クラシック鳴ちゅる。『大井食堂』徳島・鳴門”. うどん手帖 井上こん. 2020年8月12日閲覧。
  14. ^ 舩本うどん公式HP”. 舩本うどん. 2020年8月14日閲覧。
  15. ^ 船本うどん末広店”. 徳島市公式観光サイト Fun Fun とくしま. 2020年8月14日閲覧。
  16. ^ 鳴門うどんもり”. フェイスブック. 2020年8月14日閲覧。
  17. ^ 手作りうどん鳴門”. フェイスブック. 2020年8月14日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]