面掛行列

天狗(諸神の先導役のサルタヒコと同一視された)
獅子(獅子舞の原型ともされる)
翁・鬼
翁・火吹き男
女(産婆)・おかめ・福禄寿

面掛行列(めんかけぎょうれつ)は、神奈川県鎌倉市坂ノ下御霊神社で行われる行列行事である。面をかぶった男達が練り歩く。現在は毎年9月18日の例祭で行われているが、明治の神仏分離までは鶴岡八幡宮8月15日放生会で行われていた。「はらみっと祭」などとも言う。神奈川県の無形民俗文化財

現在の構成[編集]

  • 先頭、天狗面をかぶったサルタヒコの神。神々の誘導役。
  • 次、獅子頭二頭。面をかぶらず、枠に載せてかつぐ。
  • 一番、爺。二番、鬼。三番、異形。四番、鼻長。五番、烏(カラス)天狗、六番、翁。七番、火吹き男(ヒョットコ・火男)。八番、福禄寿[注釈 1]、九番、おかめ。十番、女(取り上げ)。
    • 「おかめ」がハラミット(孕み女)で、「女」は産婆である。「おかめ」は腹に詰め物をして妊婦を滑稽に演ずる。その腹に触れると「安産祈願」となる。放生会を最初に始めた大分県宇佐八幡では「尻ひねり」と言って期間中に女性の尻をつねって歩く。つねられた女性は「安産」とされる。
    • 面をかぶる家筋はかつては面ごとに決まっていたが、今では有志がかぶっている。他に御輿も担がれる。御霊神社では五穀豊穣を祈念して湯花神楽をあげる。お旅所はかつては町内であったが、現在は境内に作る。面は普段は境内のかつて国木田独歩が下宿していたあたりに蔵が造られて保管されている。昼間は見学可能(有料)。

歴史[編集]

その他の面掛行列[編集]

現在「面掛行列」は、鎌倉市内ではこの御霊神社のものだけが毎年続けられているが、江戸時代までは鎌倉市山ノ内八雲神社でも行われていた(「面と衣裳」が伝わる)。これは、60年に1度開催される円覚寺洪鐘弁天大祭に「八雲神社の面掛行列」として参加しており、60年周期で存続している[3]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 文献4大藤ゆき『鎌倉の民俗』は「福禄寿」ではなく「ほてい」としている。

出典[編集]

  1. ^ 新編相模国風土記稿
  2. ^ 永田衡吉著『神奈川県民俗芸能誌』
  3. ^ 鎌倉歴史文化交流館『特集展示 洪鐘祭(おおがねまつり/こうしょうさい)~60年に1度の祭礼の記憶~』(2023年)5~6ページ

参考文献[編集]

外部リンク[編集]