野暮

野暮(やぼ)とは、洗練されていない様を表す語である。「いき」の反対の形容である。

語源[編集]

903年延喜3年)、武蔵国谷保天満宮(やぼてんまんぐう)が建てられた。この神社は東日本最古の天満宮であり、「野暮」「野暮天」や「やぼったい」の語句が出来たとされる説がある。また、田舎者を意味する「野夫」を語源とする説がある(後述の「#落語・川柳」や「#奥の細道」とも合致する)。

落語・川柳[編集]

地方出身のは、落語川柳などで浅黄裏と呼ばれ、江戸っ子からは野暮の代表ともされた。

奥の細道[編集]

奥の細道で、「野夫(田舎者事であり「野夫」は「やぶ」とも読む)といへども、さすがに情け知らぬにはあらず」と読まれている。このように「いき」の一つとされる「情け」の反対語と関連付けられており、語源の可能性もあるが定かとはなっていない。

現代における野暮・いき[編集]

野暮という形容は、派手な服装、金銭への執着、くどくどしい説明などについて用いられる。また、(機能美までに至らない)非実用的で表面的な見栄えの重視、ブランドへの無批判な信仰と依存も野暮といえる。時代遅れのファッションは、いまだレトロとみなされない場合は、野暮と見られる。キッチュは、俗悪という点では野暮に類似した面もあるが、「奇妙さ」が徹底しており、突き抜けている点において、かえって肯定的な美的評価がされることがある。しかし、レトロやキッチュと混同されていないかぎり、野暮であること自体に肯定的な美的評価がされることはない。江戸時代の感覚では、くどくどしい場合は「気障(きざ)」を使う。

具体例[編集]

  • 本来は無用な看板や宣伝を、必要以上に行う。
  • 規則に固執する役人根性 ⇔ 「いき」な計らい
  • (特に男女間の関係への第三者的関与での)配慮の欠如
  • 「おや、お出かけですか?」という問いに、「いや、野暮用で…」と答えることがある。
  • 過剰な準備や多機能 ⇔ シンプルな所持品

関連項目[編集]