追い出し猫

若宮コミュニティセンター前にある追い出し猫の像

追い出し猫(おいだしねこ)は、福岡県宮若市特産品である。

概要[編集]

1995年平成7年)旧若宮町に組織された、特産品の委員会が、旧若宮町に伝わる「追い出し猫伝説」(次項を参照)に基づき試作を繰り返してできたものである。縁起物で、普通の招き猫の裏にもう一つの猫がくっついたような、表裏一体の形になっている。一方の側の猫は普通の招き猫と同様、笑顔で手招きをしており、幸せを招くとされているが、もう一方の側の猫は片手にほうきを持ち怒った顔をしており、ほうきで災いを追い出すとされる。怒った顔の側を表に向け、笑顔の側を裏に向ける。

1998年(平成10年)に東京で開催された「第12回日本全国むらおこし展特産品コンテスト」では、全国商工会連合会会長賞を受賞した。

2012年には「追い出し猫」が宮若市のイメージキャラクターに認定された[1][2]

由来[編集]

追い出し猫は、以下の話に基づき誕生した。「400年以上昔、宮若市(旧若宮町)に西福寺というお寺がありました。そこに住む和尚さんは、をたいそう可愛がっていた。あるとき、その寺に大ねずみが住み着き、大暴れして和尚さんはとても困っていました。これを見かねた和尚さんの飼い猫は、何百匹もの仲間の猫を集め、その大ねずみと長い時間戦い、とうとう退治しました。しかし、力尽きた飼い猫や仲間の猫もみんな死んでしまいました。哀れんだ和尚さんは、猫塚を作って、丁寧に供養しました。」

現在でも、その猫塚は残っており、猫塚公園として整備されている(猫塚公園については次の項参照)。なお、現在西福寺は宮若市に隣接する宗像市野坂にある。

現在の状況[編集]

猫塚公園前バス停

現在、追い出し猫は同市の「宮若追い出し猫振興会」等が中心となって、生産・販売等の活動を続けている。この全国的に珍しい特産品に企業も注目し、サンリオ2008年10月、携帯ストラップご当地キティ宮若追い出し猫バージョン」を発売し、わずか3ヶ月で4500本売れた。また、不況になったことでかえって厄除け・招福の縁起物として人気を博し、2008年度は関連グッズの売上高過去最高を記録した。このことが、2009年5月に西日本新聞夕刊に掲載[3] 、さらにそれがYahoo! JAPANのトピックスに掲載され、瞬く間に全国的に広がった。また、その日のYahoo!検索ワードランキングで第2位になった[4]

旧若宮町中心部にある若宮コミュニティセンター「ハートフル」(若宮総合支所)の敷地の一角には追い出し猫のモニュメントが設置されている。

そのほか、市内を走るJR九州バスは、直方線の主要バス停のデザインに、追い出し猫を採用している。また、2002年4月21日旧西福寺敷地にある猫塚周辺を「猫塚公園」として整備・開園し、猫塚の前には、大きな追い出し猫(招き猫側)の形をしたバス停(宮若市乗合バス、猫塚公園前バス停)がある。猫塚公園には親子連れや猫好きな人が数多く訪れているが、バス停のみを目的に訪れる人も少なくない。この公園は同市山口県道30号線県道92号線の分岐点にあり、すぐ前を九州自動車道が通過しているが、至って静かな場所である。また、地元有志により記念撮影ができるようにもなっている(ちなみに、猫塚に設置してあるさい銭箱は、キャットフードの空き缶である)。

種類・形態[編集]

表裏両方の腹の部分は、シールを貼るようになっており、表には追い出したいもの(病魔や不合格、悪運、不景気等)を、裏には招きたいもの(健康や合格、幸運、商売繁盛等)を貼ったり書いたりする。なので開店祝いや新築祝い、見舞い品にも人気である。また、受験シーズンには受験生にも人気である。現在、販売されているものには以下のようなものがある。

  • 陶器製の置物(商品のメイン。サイズも小から特大、種類〔模様などが違い、それぞれ桜ちゃん等の名前が付けられている〕もさまざまである)
  • マスコット(土鈴、手のひらサイズ)
  • ハローキティ携帯ストラップ(合格祈願・厄除け・安全祈願・恋愛祈願の4種類)
  • 追い出し猫せんべい
  • その他、タオル類、Tシャツ、キーホルダー等

脚注[編集]

  1. ^ 追い出し猫のあゆみ”. 宮若追い出し猫. 宮若追い出し猫振興会. 2020年10月25日閲覧。
  2. ^ 宮若市イメージキャラクターの追い出し猫です”. みやわかぐるわく. 宮若市 (2017年5月19日). 2020年10月25日閲覧。
  3. ^ 不況でモテモテ「追い出し猫」グッズ売上過去最高/2009.05.21付西日本新聞
  4. ^ 2009年5月22日の急上昇ワードランキング‐Yahoo!検索ランキング

外部リンク[編集]