象牙質

象牙質(ぞうげしつ、Dentin)はの主体をなす[1]硬組織である。エナメル質セメント質歯髄腔の間にある[2]象牙芽細胞により作られる[3]。エナメル質より柔らかいため、う蝕が象牙質まで達した後は急速に進行する。

組成[編集]

70%が無機質[4]ヒドロキシアパタイト[4])、20%が有機物[4]膠原繊維コラーゲン繊維[4]と非膠原性タンパク質)、10%が水分である。エナメル質よりは硬度が低く、[4]モース硬度は5~6である。

構造[編集]

象牙質全体を象牙細管という管が走っている[5]。これは、象牙芽細胞の突起を中に含んでおり[5]、象牙質の形成並びに形成後の維持を行う。象牙細管の直径は0.8~2.2マイクロメートルである。

形成[編集]

象牙芽細胞は歯の萌出後も象牙質と歯髄の境界部に存在しており、必要なときに歯髄腔壁に象牙質を形成することができる。歯の歯根完成までに作られる象牙質を原生象牙質[6]第一象牙質[6]、歯根完成後に作られる象牙質を第二象牙質[6][5]という。また、う蝕等により刺激を受けた時に作られる象牙質を第三象牙質修復象牙質[6][5]と呼び、正常な状態で作られる第二象牙質を生理的第二象牙質[6][5]と呼び、両者を区別することもある。

脚注[編集]

  1. ^ 久米川ら, p.10
  2. ^ 久米川ら, pp.10-11
  3. ^ 岩久ら, p.7
  4. ^ a b c d e 中塚, p.68
  5. ^ a b c d e 中塚, p.69
  6. ^ a b c d e 久米川ら, p.11

参考文献[編集]

  • 『保存修復学21』監修 岩久正明河野篤千田彰田上順次(改訂版第1刷)、永末書店、2002年3月30日。ISBN 4-8160-1114-5 
  • 久米川正好前田憲彦 著「第1章 総論」、赤井三千男 編『歯の解剖学入門』(第1版第6刷)医歯薬出版東京都文京区、2000年10月31日、1-27頁。ISBN 4-263-40572-2 
  • 中塚敏弘『口腔解剖学サイドリーダー -歯科のための頭頚部解剖学・口腔解剖学要説-』(第1版第4刷)学建書院東京都文京区ISBN 4-7624-0106-4 

関連項目[編集]