西武4000系電車

西武4000系電車
西武4000系8両編成(2019年9月23日)
基本情報
運用者 西武鉄道
製造所 東急車輛製造
製造年 1988年 - 1992年
製造数 12編成48両
運用開始 1988年12月5日[1]
主要諸元
編成 4両編成
軌間 1,067 mm (狭軌
電気方式 直流1,500V
最高運転速度 105 km/h
設計最高速度 110 km/h
起動加速度 2.3 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.0 km/h/s
編成定員 522(座席264)人
車両定員 Tc1車 119(座席56)人
Tc2車 127(座席64)人
M車 138(座席72)人
自重 Tc1車 31 t
Tc2車 29 t
M車 40 t
編成重量 140 t
全長 20,000 mm
全幅 2,850 mm(先頭車)
2,811 mm(中間車)
2,870 mm(側灯幅)
車体幅 2,800 mm
全高 4,065 mm(空調)
4,208 mm(菱形パンタ折畳み)
4,214 mm(シングルアームパンタ)
車体高 3,662.3 mm
床面高さ 1,190 mm
車体 普通鋼(一部ステンレス高耐候性鋼鈑
台車 軸箱守(ペデスタル式)空気ばね台車
Tc車 FS072
M車 FS372
主電動機 直流直巻電動機補極付き(自己通風型)
主電動機出力 150 kW
駆動方式 中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比 86:15 (5.73)
制御方式 電動カム軸式抵抗制御、直並列組合せ制御及び弱界磁制御
制御装置 電動機操作カム軸(MMC-HTB-20E)、抑速ブレーキ
制動装置 抑速ブレーキ装備(電空併用応荷重装置付き)電磁直通ブレーキ(HSC-D)
保安装置 西武形ATS
備考 特記なき限り新製時のデータ・出典:[2][3]
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西武4000系電車(せいぶ4000けいでんしゃ)は、1988年昭和63年)に登場した西武鉄道の旅客用電車

本項では当系列を改造した観光電車「西武 旅するレストラン 52席の至福」についても述べる。

概要[編集]

本系列は秩父鉄道秩父本線への直通運転用に設計され[4]、1988年11月に東急車輛製造(現:総合車両製作所横浜事業所)で製造された第1編成が竣工、以後全編成が同社で製造された[5]。製造にあたっては、廃車された101系の主電動機・主制御器・ブレーキ装置・台車電動発電機が流用された。

1988年(昭和63年)12月5日から営業運転を開始している[1]

構造[編集]

この項では登場時の形態について記す。

飯能方から池袋方面に向かってクハ4001(Tc1:奇数車)- モハ4101(M1:奇数車)- モハ4101(M2:偶数車) - クハ4001(Tc2:偶数車)の1編成4両で組成され、Tc1車にトイレ、M1車に主制御装置とパンタグラフ2基、M2車に電動発電機(MG)と空気圧縮機(CP)を備える。

車体[編集]

構体台枠など普通鋼を基本としながら、腐食のしやすい外板(側板、屋根板、妻板など)には高耐候性鋼板(SPA)、床板にはステンレス鋼が用いられている[6]。外板裾部と台枠の接合は、突き合わせ連続溶接構造とした[6]。塗装は8500系同様の白色をベースに青・赤・緑色のストライプを配した「ライオンズカラー」となっているが、8500系とは違い各色の境に白色のラインが入る[7]

側扉は1,300mm両開きのものが片側2個所に設けられ、側窓はバランサ付き1枚下降式を扉間に5つ(座席1ボックスにつき2連1組)を配置している。客用扉は、ドアレールには凍結防止のためヒーターを備えている。戸閉装置はDP-45STとSI式の組み合わせで鴨居部に搭載されている。また、夏季及び冬季の長時間停車時の車内空調維持のため各ドアに開閉押しボタンが設けられており、半自動扱いを行える[7][2]

前面は貫通型とされ、前面窓内に種別表示機と標識灯(急行灯)、車体側面の幕板中央には行先表示機を搭載する[2]。なお、急行灯は1998年頃に使用停止になった[3]

車内[編集]

座席はドア間と妻部が固定式クロスシート、戸袋部が2人掛けロングシートのセミクロスシートとなる。クロスシートのシート幅は942mm、シートピッチは1,640mmで、背ずりは1人分に分割されている。モケットはTc1車のM1車寄りのロングシートおよびM1車のTc1車寄り妻部2ボックスに設定されたシルバーシートが灰緑色で、その他は青色である。天井はラインフロー式の冷風吹き出し口を備えた平天井で、蛍光灯はカバー式付きのものが連続して並んでいる。Tc1車の車端部には和式トイレと飲料自動販売機、くずもの入れが設置され、その部分は座席が1ボックス無かった[2]。暖房は2000系に比べ6割以上強化され、トイレと乗務員室には温風ヒーターを備える[7]。車内の吊り広告は路線案内など最小限に留められている。

機器類[編集]

制御装置は抑速ブレーキ及び発電ブレーキを備えたMMC-HTB-20Eで、150kWの主電動機8台を制御している[2]。主抵抗器は16箱構成で、種車の101系とは配置が異なる[8]。補助電源装置は150kAの直流電動発電機MG-117AS[4]。台車はTc車がFS072、M車がFS372。空気圧縮機はHS20K[2]。パンタグラフは東洋電機製造製でステンレス製のPT4320S-A-M[3]。冷房機はCU72C型で、マイコン制御により自動運転を行う[7]

運転台にはモニタ装置が搭載され、各車の主要機器に異常が発生した場合は、表示により当該号車や異常項目を確認することができる。放送装置は分割放送機能を備え、編成毎に放送が可能。またTc1に搭載された行先表示機指令装置では、編成別に表示を設定することができた[2]。その他、自動解結装置により、運転台のスイッチ操作で空気管及び電気連結器の施錠・解錠を行うことが可能となっている[7]

製造時期による差異[編集]

1次車
1988,1989年(昭和64年/平成元年)に製造された4001 - 4015編成の8編成。種車となった101系は1141 - 1147,1171,1173,1179,1181編成[4]。なお、廃車は1171と1173,1147,1141,1143,1145,1179,1181の順。このうち1173,1179,1181編成は試作冷房車である[9]
1次車のみボックスシート部のテーブルに栓抜きがある。なお、4001,4003編成は竣工時にはテーブルが無く、営業運転開始までに取り付けられた[3]。なお、4009編成以降ではトイレ部の妻面に換気扇が設けられており、車体が張り出している[3]
2次車
1992年(平成4年)に増備された4017 - 4023編成の4編成。種車となった101系は1163 - 1169編成で[4]、廃車は番号順[9]
2次車はドアの半自動ボタンの取り付け位置が1次車より低く、屋根上の通風器が1次車では鋼製だったのがステンレス鋼製になり、前面貫通扉のワイパーが1次車では2本アームであったものが、2次車ではシングルアームに変更された[3]。また、非常用車側灯が橙色化されている。

その他、クハ4005のみ屋根上空調装置の歩み板が連結面寄りに偏倚しているなどの差異がある[3]

改造[編集]

ワンマン運転対応工事[編集]

運転台(ワンマン化改造後)
運転台(ワンマン化改造後)

池袋線飯能駅 - 西武秩父線西武秩父駅・秩父鉄道線御花畑駅間でワンマン運転を可能にするため、2002年(平成14年)2月から2003年(平成15年)1月にかけてワンマン化改造が行われた。内容は以下の通り[3][10]

  • マスコンが跳ね上げ式デッドマン機能付きのものに取り換えられ、制御回路、ブレーキ回路、列車無線回路にデッドマン機能が付加された。
  • ドア回路、戸閉保安回路がワンマン運転及び分割・併合運転可能なものになった。
  • 自動放送装置が新設された。併せてタッチパネル式の放送設定兼行先表示設定指令器が両運転台に搭載された。また、運転台に運転士用放送マイクが設けられた。
  • 非常通報装置が対話式のものになった。
  • 車掌スイッチが押しボタン式になった。
  • 運転台の機器追加により運転台後ろの窓が小型化された。
  • Tc車の自動販売機が撤去されて立席スペースになり、小窓が新設された。また、各車両車端部のボックス席が撤去され、ロングシートになった。この改造により車両定員がTc1:124(54)人、M1,M2:137(68)人、Tc2:126(62)人に変更された(括弧内は座席定員)。
  • 客室天井に監視カメラがつけられ、運転台にモニタが設けられた。
  • 電気連結器の配線変更に伴い、全編成の改造が終了するまで電気連結器カバーが青色に塗られ未改造車と識別された。

同線区は2003年3月12日にワンマン運転が開始された[11]。秩父鉄道線のワンマン運転には対応していないため、同線乗り入れ列車には車掌が乗務する。

その他改造・変更[編集]

4001F(クハ4002)の運転台の SIV車表示
4001F(クハ4002)の運転台の
SIV車表示
  • 空調装置の変更
    • 当初CU72Cを搭載していたが、CU72Bや後に登場したCU72D系列とも互換性があるため、随時載せ替えが行われていた。その後2020年ごろにCU721へ統一されている。
  • 2001年(平成13年)から転落防止用外幌が取り付けられ、ほぼ同時期にそれまで妻面まで周っていた青・赤・緑のストライプ塗装が側面のみとなり、M2車とTc2車の間の妻面の足掛けが撤去された。
  • 2004年(平成16年)から2007年(平成19年)にかけてパンタグラフがシングルアーム式のPT7116-C1に換装された。
  • 2005年(平成17年)に貫通扉ワイパーが電動式のものに変更された。
  • 2008年(平成20年)6月14日ダイヤ改正までに種別・行先表示器字幕が交換された。側面の内容は従来のものを踏襲(快速急行と交換前の普通→交換後の各停以外は種別表記のみ)しており、2013年3月 - 2020年3月の土休日急行池袋行き存在時は側面が「急行」表示だった。
  • 2013年(平成25年)に4017編成で行われたのを皮切りに、一部の編成で屋根上通風器の撤去が行われた。
  • 2008年(平成20年)から2012年(平成24年)にかけて4001,4003,4009,4013編成で補助電源装置と電動空気圧縮機の換装が行われた。補助電源はSIV(INV174-A3)、電動空気圧縮機はスクリュー式(MBU1600Y3-A)となる[3]
  • 2020年(令和2年)から2021年(令和3年)にかけて、全編成で列車無線の更新が行われた。

運用[編集]

乗り入れ先の秩父鉄道線を走行する急行池袋駅行きの4000系
(2017年3月 三峰口駅 - 白久駅間)

2020年3月14日改正以降の運用は飯能駅 - 西武秩父駅間の各駅停車が主体。秩父鉄道線への乗り入れ運用は、土休日に限って下りは飯能駅発の各駅停車三峰口駅長瀞駅行き、上りは三峰口駅・長瀞駅発の各駅停車飯能駅行きに充当されており、午前に下り2本、午後に上り2本の計2往復が運行される。いずれも分割・併合横瀬駅で行う。平日にも1往復乗り入れがあったが、2021年3月のダイヤ改正で廃止された。

また、現在は飯能駅以東での定期運用は存在しない[12]。土休日の乗り入れ運用は、2012年6月30日改正の時点では快速急行として池袋駅 - 三峰口駅・長瀞駅間で運行されていた[13]。2013年3月16日改正で上り池袋駅行きが急行に変更され[14]、2020年3月14日改正では池袋駅や所沢駅でホームドアの設置工事が開始されたことにより飯能以東の運行が困難となったため、運行区間を飯能駅 - 三峰口駅・長瀞駅に短縮し、種別を各駅停車に変更した。

乗り入れ列車は当初は羽生方面は野上駅行きで[15]、1992年には寄居駅まで延長されたが[16]、現在は長瀞駅までに短縮されている。また、かつては秩父鉄道線内折り返し列車にも充当されていた[3]

通常は4両での運転だが、秩父鉄道乗り入れ列車や繁忙期は[要出典]2編成を連結して8両で運転される。

臨時列車等[編集]

運転日 種類 運転区間 備考 出典
2008年5月18日 団体臨時列車
「秩父サイクルトレイン」
池袋駅 - 西武秩父駅
途中停車駅:練馬高野台駅秋津駅
8両

[17]

2008年5月23日 団体臨時列車 入間市駅 - 池袋駅 - 豊島園駅 4023編成 [18]
2008年8月17日 団体臨時列車 西武秩父駅 - 西武球場前駅 8両 [19]
2008年8月19日 団体臨時列車
「西武線ミステリートレインで行く、
秩父鉄道パレオエクスプレスの旅」
西所沢駅 - 寄居駅 4011編成 [20]
西武園駅 - 三峰口駅 4003編成
2009年8月30日 団体臨時列車 西武新宿駅 - 南入曽車両基地 - 横瀬車両基地 [21]
2014年5月3,4日 臨時列車
新宿線内急行、池袋・西武秩父線内快速急行
西武新宿駅 - 西武秩父駅 4001編成+4005編成 [22][23]
2014年11月1,2日 団体臨時列車
「食と音と灯りの融合 Kawagoe REMIX &
川越鉄道(国分寺線・新宿線の前身)開業120周年アニバーサリートレイン」
国分寺駅 - 本川越駅 4021編成 [24][25]
2015年5月12 - 17日 臨時列車・急行 西武新宿駅 - 西武球場前駅1日1往復 [26][27]
2021年6月5日 団体臨時列車
「池袋発武蔵丘行!4000系で行く西武・電車フェスタ直通ツアー」
池袋駅 - 武蔵丘車両検修場 - 小手指駅 4023編成+4011編成 [28]
2024年1月14日 団体臨時列車
「新宿線乗務員考案! 山の主で行く新宿線大冒険ツアー」
新所沢駅-新所沢駅 4005編成 [29]

その他、2015年に当形式4両編成での本川越駅 - 西武球場前駅間1往復の貸し切り列車による人前挙式プラン「HAPPY TRAIN WEDDING」の販売が発表された[30]。また2015年5月に放送された『タモリ倶楽部』の特別企画では、西武新宿駅 - 所沢駅 - 小手指車両基地間で当形式4両編成の団体臨時列車を運行している[31]

廃車[編集]

1988年の登場以来35年にわたり1両の廃車がなかった本系列だが、2023年度に4015編成が廃車され、本系列初の廃車となった。

西武 旅するレストラン 52席の至福[編集]

西武 旅するレストラン
52席の至福
「52席の至福」(2021年4月)
基本情報
運用者 西武鉄道
種車 4000系4009編成
改造所 総合車両製作所[注 1]
改造年 2016年
改造数 1編成4両
運用開始 2016年4月17日
主要諸元
編成 4両編成
編成定員 52人
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西武 旅するレストラン 52席の至福は、4009編成[32]を改造した全席レストランの観光電車である[33]。2015年6月に開発の着手が発表され、当列車の開発は「西武鉄道100年アニバーサリー」の集大成と位置付けられた[34]。同年12月に愛称やロゴマークなどを含む概要が発表され[33]、翌2016年3月22日に4009編成が武蔵丘車両検修場を出場[35]、試運転や関係者の見学会を経て[36][37]、4月17日に運行を開始した[38][39]。なお、同日池袋駅で行われる予定だった出発式は、熊本地震の影響を鑑みて中止された[40]。運行開始からしばらくは池袋駅 - 西武秩父駅間、西武新宿駅 - 西武秩父駅間の行路で運転されていたが、12月17日に初めて本川越駅発着のプラン(本川越駅を出発後新宿線内を周遊して同駅に戻る行路と、本川越駅→西武新宿駅の行路)が催行された[41][42][43]

「西武 旅するレストラン 52席の至福」の愛称は、当編成の定員が52人であることに由来し、コピーライター谷山雅計が担当。アートディレクター古平正義が担当したロゴマークは、愛称の「52」にちなんでトランプの柄に見立てられており、スペードには「水」、ダイヤには「紅葉」、クローバーには「緑」と「至福」、ハートには「乗客とスタッフの気持ちが通う空間と時間に・・・・」という思いが込められている。なお、このロゴは商標登録されている(登録第6048676号 西武ホールディングスそごう・西武の共同出願[44])。

また、列車の出発時と到着時に流す車内メロディの作曲は向谷実が手掛けた。この他、総合プロデュース・オペレーションは株式会社NKB、外装・内装のデザインは建築家隈研吾が担当[33]。埼玉県西部産西川材柿渋和紙を使った天井[45] などで高級感を演出している。設計・製作は総合車両製作所が行い、工期は2015年9月 - 2016年3月で総工費は3億円[46][47]

各車両の形式、車両番号に変化はないが、形式称号が52型とされている[47][48][49]

改造点は以下の通り[32][33][50]

  • 外装は沿線の風景に溶け込むよう[46]空色基調に、荒川の水と四季をイメージしたデザインがラッピングされた。
  • 内装は渓谷などの自然がモチーフとされ、沿線の伝統工芸品や地産木材が使用された[45]
  • 1号車以外の床は、特注の住之江織物のタイルカーペットが使用された[46]
  • 2・4号車では車内とデッキの仕切りに秩父銘仙が使用された。
  • 運転台にあった監視カメラ用のモニタが撤去された。
  • 床下機器に新設、移設があったため、重量バランスをとるために3号車などに鋼板製のバランスウェイトが搭載された。
1号車(クハ4009)
多目的車両。外装のイメージは「春:芝桜、長瀞の桜」。
車内の中央は多目的室となった。車内の2号車寄りにはテレビモニタが設置された。乗務員室後ろには「こども用展望ステップ」が設けられた。既存のトイレは撤去され、車椅子対応トイレと男性用トイレが設置された。あわせて車体妻部にあった換気扇カバーは撤去された。
2号車(モハ4109)
客室車両。4人用の座席が4卓、2人用の座席が5卓の計26席。外装のイメージは「夏:秩父の山の緑」。
車内中央はダイニングスペース、1号車寄りの車端部はギャラリー、3号車寄りのドアはエントランスホール、同車端部は業務用スペースと荷物置き場になった。車内の両端にテレビモニタが1台ずつ設置された。
既存の天井や照明器具は撤去され、柿渋和紙を貼ったアーチ状の天井とLEDの間接照明となった。なお、和紙には特殊な不燃処理が施されている[3]。テーブルはローマタイルジャパン社製(4号車も同様)[46]
3号車(モハ4110)
キッチン車両。外装のイメージは「秋:秩父連山の紅葉」。
クローズドキッチンとオープンキッチンを備えている。キッチンカウンターはMRC・デュポン社製で、内装はアルミ[46]。4号車寄りの車端部はバーカウンターと業務用スペースとなった。
床下には水タンクが設けられたため、CPがクハ4010に移設された。
4号車(クハ4010)
客室車両。4人用の座席が4卓、2人用の座席が5卓の計26席。外装のイメージは「冬:あしがくぼの氷柱」。
車内中央はダイニングスペース、4号車寄りのドアはエントランスホール、同車端部は業務用スペースと荷物置き場になった。車内の3号車寄りにテレビモニタが設置された。
天井は西川材を貼ったルーバ状で、和紙同様に不燃処理が施されている[46]。それ以外の仕様は2号車に準じている。

これらの改造により、定員と自重がTc1:0人/34.4t、M1:26人/44.1t、M2:0人/43.5t、Tc2:26人/34.4tに変化した[3]

運用[編集]

観光電車の運行は、午前中に出発する「ブランチコース」が池袋駅→西武秩父駅、西武新宿駅→西武秩父駅、西武新宿駅→本川越駅、夕方頃に出発する「ディナーコース」が西武秩父駅→池袋駅、西武秩父駅→西武新宿駅、本川越駅→西武新宿駅、池袋駅→池袋駅[注 2]の行路で設定されており[51]、料理は有名店、有名シェフ監修のものが季節替わりで提供される[52]

食材の搬入は、池袋線での運転時は豊島園駅、新宿線での運転時は上石神井で行われる。

予約は専用Webサイトから行う[33]。予約は旅行日の10日前まで可能で、支払いはクレジットカードによるオンライン決済のみ。1人のみでの申し込みは不可。乗車のみのプラン及び子供料金の設定は無い。ブランチコースの西武秩父駅行きのみ芦ヶ久保駅で下車し、旅行を終了することができるが、それ以外は途中下車はできない[53]

運行は土休日を中心に年間100日程度予定されている[33]。2016年5月14日に始動された「環境活動・地域貢献活動プロジェクト」に際しては、食事提供を伴わない団体臨時列車として池袋線・西武秩父線で運転された[54]。2017年(平成29年)1月25日にはブライダルサロン「メゾン・ド・マリアージュ」とコラボレーションし、当編成を貸し切っての結婚式を行うプランの発売が発表された[55]

新型コロナウイルス感染症の流行で2020年春は3か月運休し、再開後も利用に際しては体温測定を求められる[45]

編成表[編集]

4000系 一般車

 
形式  
クハ4001
(Tc1)
< >
モハ4101
(M1)
 
モハ4101
(M2)
 
クハ4001
(Tc2)
搭載機器,設備 トイレ,
フリー
CONT MG or SIV
CP
 
自重 製造時[2][3] 31.0 t 40.0 t 40.0 t 29.0 t
現在[3] 30.8 t 39.9 t[注 3] 39.0 t[注 3] 29.1 t
定員(座席) 製造時[2] 119
(56)
138
(72)
138
(72)
127
(64)
ワンマン[3] 124
(54)
137
(68)
137
(68)
126
(62)
車両番号 4001
(奇数)
4023
4101
(奇数)
4123
4102
(偶数)
4124
4002
(偶数)
4024
  • 4009編成は「52席の至福」へ改造された。改造後の編成表は下記参照。

52型 「西武 旅するレストラン 52席の至福」

 
改造日[56]
形式[57]  
クハ4001
(Tc1)
< >
モハ4101
(M1)
 
モハ4101
(M2)
 
クハ4001
(Tc2)
搭載機器,設備 多目的トイレ CONT SIV CP
自重[3] 34.4 t 44.1 t 43.5 t 34.4 t
定員 0 26 0 26
車内[57] 多目的
スペース
客席 キッチン 客席
車両番号 4009 4109 4110 4010 2016.03.22
愛称 52春 52夏 52秋 52冬

凡例

備考

車歴表[編集]

編成 竣工日 ワンマン改造 パンタグラフ
シングルアーム化
SIV化・CP換装
4001編成 1988年11月4日 2002年3月20日 2007年8月6日 2008年11月17日
4003編成 2002年2月25日 2007年6月26日 2011年3月4日
4005編成 1988年11月18日 2002年6月10日 2006年3月7日
4007編成 2002年9月30日 2006年7月5日
4009編成 1989年3月23日 2003年1月14日 2007年11月20日 2011年12月1日
4011編成 2002年12月2日 2006年12月19日
4013編成 1989年3月30日 2002年11月18日 2004年6月11日 2012年3月15日
4015編成 2003年1月28日 2004年8月24日
4017編成 1992年10月2日 2002年6月4日 2005年11月21日
4019編成 2002年7月31日 2006年5月24日
4021編成 1992年10月30日 2002年8月5日 2006年8月9日
4023編成 2002年10月3日 2006年8月30日
  • 2013年3月31日現在[5]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 作業は武蔵丘車両検修場内で行われた。
  2. ^ このルートは池袋駅を夕方に出発し、池袋線内を走行して池袋駅へ戻ってくるもので、2017年より「IKEBUKURO ディナーコース」の名称として設定された。
  3. ^ a b 銘板は40.0 t

出典[編集]

  1. ^ a b 鉄道図書刊行会『鉄道ピクトアリル』1989年5月臨時増刊号新車年鑑1989年版163-165P記事。
  2. ^ a b c d e f g h i 『鉄道ファン』1989年2月号(通巻334号)交友社発行 68 - 72頁、及び巻末形式図
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p エリエイ『とれいん』2017年1月号(No.505)MODELERSFILE 西武鉄道4000系電車 p.26 - p.35
  4. ^ a b c d 鉄道ピクトリアル』2002年4月号臨時増刊(通巻No.716)電気車研究会発行 251 - 252,265頁
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外部リンク[編集]