西南極氷床

西南極の地図

西南極氷床(にしなんきょくひょうしょう、West Antarctic Ice Sheet、WAIS)は南極氷床の一部であり、西南極を覆う氷床で、南極横断山脈の西にある。乗っている岩盤は海面よりもかなり下にある。氷床の端は氷河となって海に浮く棚氷(ロス棚氷ロンネ棚氷)やアムンゼン海へ流れ込む。

概要[編集]

南極氷床の体積はおよそ25.4 百万立方キロメートル、西南極氷床はその内10%以下または2.2 百万立方キロメートルと見積もられている[1]。 乗っている岩は氷の重さによって0.5から1キロメートル沈んでいる[2]。このような作用をアイソスタシーという。 自重によって氷床は変形し、流れる。 内陸部の氷はざらざらした岩盤の上をゆっくりと流れる。氷は海にたどり着いても、そのまま続けて海へと流れ出す。この結果、大きくて浮いている氷の棚が大陸の淵にくっつく[3]

温暖化[編集]

ここ50年の間、西南極氷床は10年ごとにおよそ0.1度以上温暖化していて、冬と春には最も強くなる。この温暖化は、東南極が秋に寒冷化する代償であるとはいえ、1980年代から1990年代までに限られている。南極大陸全体の平均表面温度の温暖化傾向は明白かつ著しく、1957年から10年ごとに0.05度以上あがっている[4]。西南極氷床で一番温暖化が激しいのは南極半島である。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Lythe, Matthew B.; Vaughan, David G. (June 2001), “BEDMAP: A new ice thickness and subglacial topographic model of Antarctica”, Journal of Geophysical Research 106 (B6): 11335–11352, doi:10.1029/2000JB900449 
  2. ^ Anderson, John B. (1999), Antarctic marine geology, Cambridge University Press, p. 59, ISBN 0521593174, https://books.google.co.jp/books?id=f9YqF73oe4IC&redir_esc=y&hl=ja 
  3. ^ Ice Shelves, Antarctic and Southern Ocean Coalition,
  4. ^ Steig E.J., Schneider D.P., Rutherford S.D., Mann M.E., Comiso J.C., Schindell D.T. (2009). “Warming of the Antarctic ice-sheet surface since the 1957 International Geophysical Year”. Nature 457: 459–462. doi:10.1038/nature07669. 

外部リンク[編集]