藤ノ川祐兒
 |
藤ノ川 祐󠄀兒（ふじのかわ ゆうじ、1960年8月20日 - ）は、愛知県大府市出身で伊勢ノ海部屋に所属した元大相撲力士。本名は服部 祐兒。身長193cm、体重150kg。得意手は左四つ、寄り、小手投げ。最高位は東前頭3枚目（1986年7月場所）。体育学者、アマチュア相撲指導者で、現在は東海学園大学教授[1]。日本相撲連盟の評議員も務めている[2]。
人物[編集]
二卵性双生児の片割れとして生まれた[3]。東海高校から同志社大学へ進学。高校時代は柔道でならし、2年次にはインターハイ個人戦重量級で優勝（3年次は同3位）。同志社大学時代には学生横綱のタイトル2回、アマチュア横綱のタイトル2回など主要なタイトルを計17回獲得し、アマチュア相撲最強と言われた[1][4]。元横綱旭富士（現・伊勢ヶ濱）とは大学の同期で、当時近畿大学を中退して先に関取になっていた旭富士より稽古場では強かった。
1983年（昭和58年）3月場所、鳴り物入りで伊勢ノ海部屋より幕下付出で初土俵を踏む。同年9月場所で新十両、1985年（昭和60年）3月場所で新入幕を果たす（琴ヶ梅、花乃湖、寺尾（現・錣山）と同時入幕）。左四つの型にはまれば上位力士相手でも力を発揮し、師匠（藤ノ川武雄）の四股名である「藤ノ川」に改名した。しかし、脇が甘く守りに回ると脆く、苦し紛れの小手投げが多かった。入門当初から騒がれ、精神面での弱さも影響し、また腰痛も患って大成できず、1986年（昭和61年）11月場所では前頭11枚目の地位で3勝12敗と大敗し、2年近く務めた幕内から陥落すると1987年（昭和62年）1月場所は全休し一気に幕下まで番付を落としてしまう。幕下陥落後は四股名を本名の「服部」に戻すが、陥落後の2場所も勝ち越すことができず、同7月場所を最後に26歳で引退、大相撲界を去った[5]。腰を痛め26歳で引退した師匠にならって若年で年寄襲名をさせる話もあったが、これを固辞している。一方、実績の低さから後援会が年寄襲名を反対したという説もある。また、部屋関係者が「たとえ関取経験者でも大卒なら5年(通算30場所)は現役を続けないとOB扱いにはならない(年寄襲名はできない)」と指摘したため、幕下以下で取って在籍年数稼ぎをすることを良しとせず廃業を決意したという説もある。
廃業後は、日本テレビの『独占!!スポーツ情報』で相撲解説を行ったほか、筑波大学大学院でコーチ学を専攻。高校のアマ指導者を経て、現在は東海学園大学で教鞭をとっている[6][7]。東海学園大学の相撲部を創部し部長・監督を兼任[8]、短期間で大学相撲の有力校に育て上げたが、部員不足などの事情から2019年の全国学生相撲選手権を最後に18年の歴史の幕を閉じた[9]。
主な成績[編集]
- 通算成績：169勝166敗22休 勝率.504
- 幕内成績：75勝90敗 勝率.455
- 現役在位：27場所
- 幕内在位：11場所
- 各段優勝
- 幕下優勝：1回（1983年5月場所）
| 一月場所 初場所（東京） | 三月場所 春場所（大阪） | 五月場所 夏場所（東京） | 七月場所 名古屋場所（愛知） | 九月場所 秋場所（東京） | 十一月場所 九州場所（福岡） | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1983年 （昭和58年） | x | 東幕下付出61枚目 5–2 | 西幕下35枚目 優勝 7–0 | 東幕下2枚目 4–3 | 西十両13枚目 9–6 | 東十両7枚目 8–7 |
| 1984年 （昭和59年） | 西十両4枚目 8–7 | 西十両2枚目 7–8 | 東十両5枚目 10–5 | 東十両筆頭 6–9 | 東十両5枚目 10–5 | 東十両3枚目 8–7 |
| 1985年 （昭和60年） | 西十両筆頭 9–6 | 東前頭14枚目 8–7 | 西前頭10枚目 8–7 | 東前頭6枚目 6–9 | 西前頭10枚目 8–7 | 東前頭5枚目 5–10 |
| 1986年 （昭和61年） | 東前頭13枚目 10–5 | 東前頭7枚目 7–8 | 東前頭9枚目 9–6 | 東前頭3枚目 5–10 | 西前頭8枚目 6–9 | 西前頭11枚目 3–12 |
| 1987年 （昭和62年） | 西十両4枚目 休場 0–0–15 | 東幕下2枚目 2–5 | 西幕下17枚目 1–6 | 西幕下43枚目 引退 0–0–7 | x | x |
| 各欄の数字は、「勝ち-負け-休場」を示す。 優勝 引退 休場 十両 幕下 三賞：敢=敢闘賞、殊=殊勲賞、技=技能賞 その他：★=金星 番付階級：幕内 - 十両 - 幕下 - 三段目 - 序二段 - 序ノ口 幕内序列：横綱 - 大関 - 関脇 - 小結 - 前頭（「#数字」は各位内の序列） | ||||||
幕内対戦成績[編集]
| 力士名 | 勝数 | 負数 | 力士名 | 勝数 | 負数 | 力士名 | 勝数 | 負数 | 力士名 | 勝数 | 負数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 青葉城 | 2 | 1 | 朝潮 | 1 | 2 | 旭富士 | 0 | 1 | 板井 | 3(1) | 5 |
| 巨砲 | 1 | 3 | 大錦 | 1 | 4 | 大乃国 | 0 | 1 | 魁輝 | 3 | 3 |
| 霧島 | 6 | 2 | 起利錦 | 0 | 1 | 麒麟児 | 3 | 4 | 蔵間 | 0 | 5 |
| 高望山 | 1 | 0 | 港龍 | 1 | 0 | 琴ヶ梅 | 1 | 1 | 小錦 | 0 | 2 |
| 逆鉾 | 4 | 2 | 佐田の海 | 4 | 3 | 薩洲洋 | 1 | 1 | 嗣子鵬 | 0 | 1 |
| 陣岳 | 4 | 3 | 太寿山 | 5 | 3 | 大徹 | 2 | 4 | 孝乃富士 | 1 | 2 |
| 隆三杉 | 1 | 5 | 多賀竜 | 3 | 1 | 玉龍 | 2 | 3 | 千代の富士 | 0 | 1 |
| 寺尾 | 5 | 1 | 出羽の花 | 0 | 4 | 闘竜 | 3 | 1 | 栃司 | 0 | 4 |
| 栃剣 | 3 | 3 | 栃纒 | 1 | 0 | 花乃湖 | 1 | 5 | 双羽黒(北尾) | 0 | 2 |
| 鳳凰 | 2 | 0 | 北天佑 | 0 | 1 | 北勝海(保志) | 0 | 3 | 舛田山 | 1 | 0 |
| 益荒雄 | 2(1) | 0 | 三杉磯 | 2 | 0 |
改名歴[編集]
- 服部 祐󠄀兒（はっとり ゆうじ）1983年3月場所 - 1985年5月場所
- 藤ノ川 祐󠄀兒（ふじのかわ - ）1985年7月場所 - 1987年1月場所
- 服部 裕󠄀兒（はっとり - ）1987年3月場所 - 1987年7月場所
脚注[編集]
- ^ a b “服部祐兒 スポーツコラム - Number Web - ナンバー” (日本語). Number Web - ナンバー 2018年12月3日閲覧。
- ^ “公益財団法人 日本相撲連盟”. www.nihonsumo-renmei.jp. 2020年2月13日閲覧。
- ^ 『相撲』2018年3月号 p.20
- ^ 事実、大学4年となっていた1982年だけでもアマチュア横綱と学生横綱を獲得しており、現行制度化では卒業後に幕下10枚目格付出が認められる実績を残していた形になる。
- ^ 当時、日本相撲協会はこれを「廃業」と表現していた。
- ^ “教員情報 学部 学科 | 服部 祐兒”. www.tokaigakuen-u.ac.jp. 東海学園大学. 2020年2月13日閲覧。
- ^ “あの人はいま…元学生横綱、幕内力士、初めてやりました！”. スポニチAnnex(2009年11月13日). 2020年2月13日閲覧。
- ^ “同好会 キャンパスライフ | 相撲部”. www.tokaigakuen-u.ac.jp. 東海学園大学. 2020年2月13日閲覧。
- ^ 月刊「相撲」2020年7月号112頁 アマ翔る！ - 東海学園大学相撲部
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
| 1950年代 |
|
|---|---|
| 1960年代 |
|
| 1970年代 | |
| 1980年代 | |
| 1990年代 | |
| 2000年代 | |
| 2010年代 |
|
| 2020年代 | |
 学生横綱一覧 | |
|---|---|
| 1910年代 |
|
| 1920年代 | |
| 1930年代 | |
| 1940年代 | |
| 1950年代 | |
| 1960年代 | |
| 1970年代 | |
| 1980年代 | |
| 1990年代 |
|
| 2000年代 | |
| 2010年代 |
|
| 2020年代 |
|
| 全般 | |
|---|---|
| 国立図書館 | |
