葛山二郎

(くずやま じろう、1902年3月28日 - 1994年5月16日)は日本の小説家。

人物[編集]

大阪府出身。神戸高等工業学校中退、東京自動車学校卒業。

中学を卒業後、1923年に「噂と真相」が雑誌『新趣味』の懸賞で1等に入選する。

1927年に「股から覗く」が雑誌『新青年』の懸賞に入選する。

代表作は、陪審裁判を扱った法廷ミステリの「赤いペンキを買った女」(『新青年』1929年12月号)。同作で、刑事弁護士の花堂琢磨をシリーズキャラクターとしてデビューさせている。

エピソード[編集]

帝銀事件の際、たまたま犯人のモンタージュ写真と似ていたため、容疑者として密告されたことがある。その話を横溝正史に話したところ、それがのちに『悪魔が来りて笛を吹く』の構想へとつながったという[1]

作品[編集]

  • 葛山二郎探偵小説選(論創ミステリ叢書、2012年)
    • 噂と真相(『新趣味』1923年9月)
    • 利己主義(『新趣味』1923年10月)
    • 股から覗く(『新青年』1927年10月)
    • 赤光寺(『新青年』1928年11月)
    • 偽の記憶(『新青年』1929年7月)
    • 赧顔の商人(『新青年』1929年9月)
    • 杭を打つ音(『新青年』1929年11月)
    • 赤いペンキを買った女(『新青年』1929年12月)
    • 霧の夜道(『新青年』1930年4月)
    • 骨(『新青年』1931年1月)
    • 影に聴く瞳(『新青年』1931年8月増刊号)
    • 暗視野(『新青年』1932年5月)
    • 染められた男(『新青年』1932年10月)
    • 女と群衆(『探偵クラブ』1932年11月)
    • 古銭鑑賞家の死(『新青年』1933年1月)
    • 蝕春鬼(『新青年』1933年8月)
    • 慈善家名簿(『新青年』1935年6月)
    • 情熱の殺人(『新青年』1935年11月)
    • 花堂氏の再起(『新青年』1948年1月)
    • 紅鬼(『富士』1948年4月増刊号)
    • 雨雲(『東京』1948年8月)
    • 後家横丁の事件(『ロック』1948年11月 - 12月)

著書[編集]

  • 葛山二郎『股から覗く』国書刊行会〈探偵クラブ〉、1992年7月。ISBN 4-336-03363-3  - 初の作品集。
  • 葛山二郎『葛山二郎探偵小説選』論創社論創ミステリ叢書〉、2012年12月。ISBN 978-4-8460-1193-2  - 事実上の全集。

脚注[編集]

  1. ^ 横溝正史『真説 金田一耕助』角川書店角川文庫〉、1979年1月5日、156-158頁。 文中、「K君」とあるのは葛山二郎のことである。(谷口基 著「葛山二郎」、江藤茂博; 山口直孝; 浜田知明 編『横溝正史研究 2』戎光祥出版、2010年8月10日、300-301頁。ISBN 978-4-86403-007-6