芍薬甘草湯

ツムラ漢方薬甘草湯エキス顆粒「ツムラ68番」

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)とは、漢方方剤の一種。出典は「傷寒論」。

効果・効能[編集]

下肢の痙攣性疼痛(腓(こむら)返り)や、胃腸の激しい痛み等、急激におこる筋肉の痙攣を伴う疼痛などに用いる。

人工透析患者の腓返りに用いられることがある。透析中に足がつる場合は透析前に服用する。

保険適用エキス剤の効能・効果[編集]

急激におこる筋肉の痙攣を伴う疼痛[1]

臨床試験[編集]

肝硬変症患者126 例(芍薬甘草湯群65 例、プラセボ群61 例)による二重盲検ランダム化比較試験において、芍薬甘草湯はプラセボ群に対して、筋痙攣回数改善度,最終全般改善度(痙攣持続時間や痛みの程度)が有意に改善した[2]

組成[編集]

芍薬(しゃくやく)4.0g、甘草(かんぞう)4.0g

以上の切断あるいは破砕した生薬をとり、1包として製する。


方解[編集]

芍薬と甘草の2生薬からなることから名付けられた。

禁忌[編集]

アルドステロン症のある患者、ミオパシーのある患者、低カリウム血症のある患者[1]

慎重投与[編集]

次の患者には慎重に投与する[1][3]

  1. 高齢者

相互作用[編集]

併用注意[編集]

次の薬剤との併用により、偽アルドステロン症ミオパシーが出現しやすくなる[1]

  1. 甘草含有製剤
  2. グリチルリチン酸およびその塩類を含有する製剤
  3. ループ系利尿剤
  4. チアジド系利尿剤

副作用[編集]

次の副作用がある[1]

長期服用[編集]

60歳以上が30日を越える服用によって低カリウム血症、偽アルドステロン症[3]

重大な副作用[編集]

間質性肺炎、偽アルドステロン症、鬱血性心不全心室細動心室頻拍、ミオパシー、肝機能障害黄疸

その他[編集]

発疹発赤瘙痒悪心嘔吐下痢

注意事項[編集]

高齢者は生理機能の低下、妊産婦、小児は安全性未確立のため注意が必要である[1]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f ツムラ製品情報『ツムラ芍薬甘草湯』
  2. ^ 熊田卓、熊田博光ほか「TJ-68ツムラ芍薬甘草湯の筋痙攣(肝硬変に伴うもの)に対するプラセボ対照二重盲検群間比較試験」『臨床医薬』第15巻第3号、1999年、p.499-523、2009年12月30日閲覧 
  3. ^ a b 本間真人、石原三也、千文、幸田幸直、芍薬甘草湯と小柴胡湯の連用が血清カリウム値に及ぼす影響 YAKUGAKU ZASSHI., 2006年 126巻 10号 p.973-978, doi:10.1248/yakushi.126.973

関連処方[編集]

関連項目[編集]