臭化シアン

臭化シアン
cyanogen bromide
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識別情報
CAS登録番号 506-68-3 チェック
PubChem 10476
ChemSpider 10044 チェック
EC番号 208-051-2
RTECS番号 GT2100000
特性
化学式 CNBr
モル質量 105.92 g/mol
外観 無色ないし白色の針状結晶
匂い 刺激臭
密度 2.015 g/cm3
融点

52°C

沸点

61.4°C

への溶解度 加水分解
溶解度 アルコールおよびエーテルに可溶[1]
蒸気圧 13 kPa (20°C)
16.2 kPa (25°C)
危険性
EU Index 不燃性
主な危険性 強毒性
NFPA 704
0
4
1
許容曝露限界 5 mg/m3
関連する物質
関連するハロゲン化シアン フッ化シアン
シアン化塩素
ヨウ化シアン
関連物質 シアン化物
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

臭化シアン(しゅうかシアン、: cyanogen bromide)は、分子式 CNBr で表される無機化合物臭素シアン擬ハロゲン化合物であり、生体高分子領域でペプチド合成などにおいて重要な役割を果たす。

構造、性質[編集]

一般にCNBrまたはBrCNの化学式で表される。炭素窒素の間は三重結合、炭素と臭素の間は単結合となる。極性を持つが水中でイオン化されないため、極性有機溶媒と水の両方に溶ける。臭化シアンは、シアン化ナトリウムと臭素からジシアンを通じて2段階の合成により生成することができる。

加水分解により、シアン化水素次亜臭素酸を生じる。

生化学[編集]

臭化シアンは、たんぱく質の化学的切断に用いられる。たんぱく質のメチオニン残基のカルボキシ基のところでのみ鎖を切断し、メチオニンはホモセリンラクトンに変換される。

安全性[編集]

日本の毒物及び劇物取締法では毒物に該当し、ヒトが吸入した場合の最低中毒濃度(TCL0)は16ppm、ラットが吸入した場合の半数致死濃度(LC50)は350ppm。経口・吸入だけではなく皮膚からも吸収される。自体は不燃性であるが、加熱、加水および酸類との接触によりシアン化水素臭化水素が生じることがある[2][3][4]

脚注[編集]

  1. ^ Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill, 2002, ISBN 0070494398
  2. ^ 国際化学物質安全性カード
  3. ^ 製品安全データシート (PDF)大陽日酸
  4. ^ 田村隆明, ed (2009). ライフサイエンス試薬活用ハンドブック. 羊土社. ISBN 978-4-7581-0733-4