竜ヶ岳 (山梨県)

竜ヶ岳
南東側の富士山麓の山梨県富士河口湖町富士ヶ嶺から望む天子山地の竜ヶ岳(2015年12月17日撮影)
富士山麓の富士河口湖町富士ヶ嶺から望む竜ヶ岳
標高 1,485[1] m
所在地 日本の旗 日本
山梨県南巨摩郡身延町南都留郡富士河口湖町
静岡県富士宮市
位置 北緯35度26分48.55秒 東経138度35分0.31秒 / 北緯35.4468194度 東経138.5834194度 / 35.4468194; 138.5834194座標: 北緯35度26分48.55秒 東経138度35分0.31秒 / 北緯35.4468194度 東経138.5834194度 / 35.4468194; 138.5834194[1]
山系 天子山地
竜ヶ岳 (山梨県)の位置(日本内)
竜ヶ岳 (山梨県)
竜ヶ岳の位置
プロジェクト 山
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竜ヶ岳(りゅうがだけ)は、山梨県南巨摩郡身延町南都留郡富士河口湖町[2]静岡県富士宮市にまたがる天子山地の最北端に位置する[3]標高1,485 m[1][4]本栖湖の南岸に接し[3]、山域は富士箱根伊豆国立公園の特別地域の指定を受けている[5]

概要[編集]

朝霧高原の北西に位置し、一帯ではが発生することが多く湿度が高い[4]。山の上部は原に覆われている[4]。龍神にまつわる伝説がある[2]富士山噴火した際に、本栖湖に潜んでいたが流れ出た溶岩の熱さのために逃げ出し、小富士に登って竜ヶ岳と呼ばれるようになったと伝えられている[4][6][7]。信仰の対象の山で、山麓の六斎念仏講の住民により、念仏行法の登頂が行われている[7]。山頂の東中腹に石仏が祀られている[3][7]。山梨県側の北側の山域は山梨県により「本栖の森」として、遊歩道が整備されている[8]。本栖湖畔山麓の山梨県有林では。広葉樹林自然林が残されている[3][8]。西側の山域の雨ヶ岳の北山腹には川尻金山跡があり、第二次世界大戦の数年後まで採掘が行われていた[8][9]

登山[編集]

山頂からは富士山が望める

ダイヤモンド富士が展望できる山として知られていて、登山ハイキングの対象となる山である[3][4][10][11]。山梨県により山梨百名山の一つに選定されている[12]。かつては山頂部が深い笹に覆われていて登頂が困難であったが[10]2000年に笹原が切り開かれ登山道が整備された[3][4]。山頂はなだらかな広場となっていて、テーブルとベンチが設置されている[10]。富士山の眺めが良く、南アルプスや八ヶ岳方面の展望できる。[6]2009年6月に登山家田部井淳子が訪問していた[13]積雪したり、が張ることがある[4]。以下のルートが開設されている[4][14]。代表的な本栖湖キャンプ場からのコース(無雪期・天候良好時)は、山梨県により技術的難易度が「ランクA/(A-E)」(低い-中程度)、体力度が「2/1-10」(低程度、日帰りが可能)とされていて[15]、途中に石仏を祀ったと展望台となるあずまやが設置されている[10]。南域の一部コースは東海自然歩道を兼ねている。他に南側の毛無山や雨ヶ岳から端足峠を経て天子山地を縦走するコースもある[14][16][17]。北東山腹には本栖の森周遊歩道が整備されている[8]。登山道脇では秋にアキノキリンソウリンドウなどの花が見られる[3]

本栖湖キャンプ場からのコースの石仏の脇にある展望台
本栖湖キャンプ場からのコース
本栖湖キャンプ場 - 登山口 - 石仏・展望台 - 本栖湖湖畔からのコースとの合流点 - 竜ヶ岳
本栖湖湖畔からのコース
本栖湖畔登山口 - ベンチ - 本栖湖キャンプ場からのコースとの合流点 - 竜ヶ岳
端足峠入口からのコース
本栖キャンプ場 - 端足峠入口(本栖湖畔) - 端足峠 - 竜ヶ岳
割石峠からのコース
割石峠(国道139号の山梨県と静岡県との県境) - 東海自然歩道 - 端足峠 - 竜ヶ岳
根原バス停からのコース
根原バス停(富士急山梨バス、国道139号沿い) - A沢貯水池 - 東海自然歩道 - 端足峠 - 竜ヶ岳

地理[編集]

山頂部は身延町と富士河口湖町にまたがり、南山腹の一部が富士宮市に属する[1]。天子山地の最北端に位置し、西南西にある雨ヶ岳との間に鞍部に端足(はしたどうげ[3])がある[1]。東側の山麓は富士山北西面の裾野に繋がっていて、山頂の東3 kmに割石峠(山梨県と静岡県との境界)[18] がある[1]。山域の北東側には広大な青木ヶ原が広がる[1]

周辺の山[編集]

山容 山名 標高(m)
[注釈 1][19]
三角点等級
基準点名[19]
竜ヶ岳からの
方角距離(km)
備考
竜ヶ岳から望む御坂山地の蛾ヶ岳、右奥に山頂部に雲がかかった八ヶ岳(2015年12月5日) 蛾ヶ岳 1,278.99  三等
「岩根」
北北西 9.1 山梨百名山
足和田山から望む烏帽子岳その右側にパノラマ台、手前に青木ヶ原、左側に本栖湖(2014年12月13日) 烏帽子岳 1,257.31  三等
「烏帽子ケ岳」
北北東 3.8
富士山麓の山梨県富士河口湖町富士ヶ嶺から望む竜ヶ岳(2015年12月17日) 竜ヶ岳 1,485 0 山梨百名山
竜ヶ岳から望む雨ヶ岳(2015年12月5日) 雨ヶ岳 1,771.55  三等
「雨ケ岳」
西南西 2.7 山梨百名山
足和田山の紅葉台から望む毛無山、雨ヶ岳、竜ヶ岳、手前に青木ヶ原(2014年12月13日) 毛無山 1,964[20] 南西 5.0 日本二百名山
竜ヶ岳から望む日の出(ダイヤモンド富士)直前の雪を抱いた富士山(2015年12月5日) 富士山 3776.12  二等
「富士山」
南東 16.0 日本最高峰
日本百名山

源流の河川[編集]

南山麓にあるA沢貯水池、周囲に東海自然歩道が通る

北山麓は本栖湖畔となり、涸れ沢が流れる[1]芝川富士川水系)の支流源流となる山で太平洋側の駿河湾へ流れる[1]。山頂の南1.7 kmにA沢貯水池がある[18]。山頂の東南東1.8 kmに竜神池がある[1]

交通・アクセス[編集]

東山麓に国道139号が通り、北山腹の本栖湖畔に山梨県道709号本栖湖畔線が通る[1]。南山腹と東山麓に東海自然歩道が通る[18]。南東山腹に竜ヶ岳林道が敷設されている[8]

周辺の主な施設[編集]

北東山麓の山梨県道709号本栖湖畔線の本栖湖キャンプ場入口から望む竜ヶ岳

山麓や周辺の主な施設を以下に示す。

竜ヶ岳の風景と眺望[編集]

竜ヶ岳の風景[編集]

竜ヶ岳からの眺望[編集]

竜ヶ岳中腹展望台と竜ヶ岳山頂からの風景が富士山がある風景100選の一つに選定されている[21]。12月3日頃-1月9日頃に、竜ヶ岳展望台からダイヤモンド富士(富士山頂部からの日の出)を望むことができる[7]。山頂部からは富士山、八ヶ岳[10]朝霧高原御坂山地赤石山脈(南アルプス)、箱根山と駿河湾などを望むことができる[4] ウィキメディア・コモンズには、竜ヶ岳から眺望に関するカテゴリがあります。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 基準点の標高は、2014年3月13日の国土地理院による標高改算値。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 地理院地図(電子国土Web)・「竜ヶ岳」”. 国土地理院. 2016年11月25日閲覧。
  2. ^ a b c 徳久 (1992)、549頁
  3. ^ a b c d e f g h i 成美堂出版編集部 (2004)、138-141頁
  4. ^ a b c d e f g h i 日本山岳会 (2005)、830-831頁
  5. ^ 富士箱根伊豆国立公園の区域図(富士山・箱根地域)” (PDF). 環境省. 2016年11月28日閲覧。
  6. ^ a b 登山ルート・山旅スポット. “竜ヶ岳(りゅうがだけ)登山ルート・難易度”. 山旅旅. 2020年9月28日閲覧。
  7. ^ a b c d 竜ヶ岳ダイヤモンドポイント”. 公益社団法人やまなし観光推進機構. 2016年11月28日閲覧。
  8. ^ a b c d e 本栖の森” (PDF). 山梨県. 2016年11月28日閲覧。
  9. ^ 富士山雑学研究倶楽部 (2013)
  10. ^ a b c d e 佐古 (2011)、32-33頁
  11. ^ 山村 (2001)、230-231頁
  12. ^ 山梨日日新聞社 (2004)
  13. ^ 田部井 (2011)、42頁
  14. ^ a b 昭文社地図編集部 (2016)
  15. ^ 山梨県版「山のグレーディング」検討会 (2015年8月6日). “山梨県 山のグレーディング~無雪期・天候良好時の「登山ルート別 難易度評価」~” (PDF). 山梨県. pp. 1. 2016年11月28日閲覧。
  16. ^ 竜ヶ岳コース”. 身延町. 2016年11月28日閲覧。
  17. ^ 毛無山・雨ヶ岳・端足峠コース”. 富士宮市 (2013年3月14日). 2016年11月28日閲覧。
  18. ^ a b c 東海自然歩道富士宮コース”. 富士宮市 (2013年11月19日). 2016年11月27日閲覧。
  19. ^ a b 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2016年11月27日閲覧。
  20. ^ 日本の主な山岳標高(山梨県の山)”. 国土地理院. 2016年11月25日閲覧。
  21. ^ 富士山がある風景100選リスト” (PDF). 環境省. 2020年1月19日閲覧。

参考文献[編集]

  • 徳久球雄 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1 
  • 佐古清隆『富士山の見える山 ベストコース45』山と溪谷社〈ヤマケイアルペンガイドNEXT〉、2011年10月5日。ISBN 978-4635014427 
  • 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1 
  • 富士山雑学研究倶楽部 編『富士山の秘密がわかる本』学研パブリッシング、2013年9月17日。ISBN 978-4054058347 
  • 田部井淳子『田部井淳子の人生は8合目からがおもしろい』主婦と生活社、2011年5月13日。ISBN 978-4391139778 
  • 昭文社地図編集部 編『富士山 御坂・愛鷹』昭文社山と高原地図2016年版〉、2016年3月30日。ISBN 978-4398762917 
  • 山梨日日新聞社 編『山梨百名山』山梨日日新聞社、2004年3月。ISBN 4897108500 
  • 山村正光『富士を眺める山歩き』毎日新聞社、2001年6月1日。ISBN 4620315192 
  • 成美堂出版編集部 編『ゆっくり登れる富士山と富士山の見える山』成美堂出版、2004年4月。ISBN 4415099467 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]