チャーシュー

チャーシュー
叉焼(焼豚)
繁体字 叉燒
簡体字 叉烧
発音記号
標準中国語
漢語拼音chāshāo
粤語
イェール粤拼cha1 siu1
粤拼caa1 siu1

チャーシュー(叉焼、叉焼肉 粤拼: cha1 siu1 (yuk6)拼音: chā shāo (ròu))とは、豚肉を焼いた料理の一種。保存食的な意味合いも兼ね備えた料理である。日本語で焼豚(やきぶた)とも言われる。

概要[編集]

香港/広東のチャーシュー[編集]

叉焼飯 - 香港旺角

焼肉(シウヨッ)は、皮つきの豚のバラ肉に塩と五香粉など香辛料を塗布し、で茶色に炙り焼いた食品。 チャーシューは、豚肩ロースのブロックに、紅麹で発酵させた米である「紅糟(ホンチョウ、ホンツァオ)」、沙姜粉、 柱侯醤(チューホージャン)、焼き物用椒塩(グラニュー糖、塩、五香粉、揚ニンニク等)に漬けた上で、また略式に作られる場合には、食紅蜂蜜などを塗って、専用の抗火石を使用した明炉の中で数十分炙り焼いたもので、紅色である。いずれも鉤に吊し、または数十センチの金串(叉)などに刺して焼くことで、効率よく安定した焼き方ができる。広東料理では焼いた後、蜂蜜の代わりに麦芽糖水あめにくぐらせる「蜜汁叉焼(広東語発音で「マッチャッチャーシウ」)」が主流で、味も比較的甘い。

香港広州には、店先に焼いたチャーシューを吊るしている「燒臘店」(シウラプディム)と呼ばれる、チャーシューやローストダック(焼鴨シゥアッ)、ガチョウ(鵝)やシウヨッ(豚皮付きバラ肉カリカリ焼き)烤乳猪(仔豚丸焼き)などの焼き物専門店が多くある。家に買って帰ることのできる総菜店として、また叉焼飯焼鴨飯などの定食も食べられ、1人でも気軽に入れる食堂として人気がある。広東料理では、チャーシューを食材として用いた叉焼まん叉焼包や薄造りの米粉蒸し巻き腸粉などの点心も作られている。

チャーシューの起源については、イギリスのエッセイストのチャールズ・ラムが『エリア随筆英語版』の中で「A Dissertation upon Roast Pig」[1]を書いている。

日本のチャーシュー[編集]

叉焼の例

日本でのチャーシューは、醤油タレで煮た、または茹でて醤油タレに漬けた、ラーメン店でトッピングとして作られる「煮豚」が「叉焼(チャーシュー)」として認知されており、中国由来の叉焼を食べる機会は少ない。日本では煮豚、叉焼共に薄く切り分けて食される場合が多い。また、家庭で作る事は少なく、精肉店や小売店で購入したり、外食店でメニューの一部やラーメンなど他の料理の一部として食べる事が多い。小売店で売られている商品としては、厚めの物やラーメン用に薄くスライスされた物など各種ある。

家庭では飯のおかずや酒のとすることが多く、特にラーメンの具として欠かせないものとなっている。日本の中華料理では、ラーメンの他に中華まん炒飯冷やし中華などの料理の材料としても使用される場合がある。なおハムが代用される場合もある。

チャーシューは日本の多くのラーメン店では必須の具材であり、他店との差別化を打ちだす経営上重要なものである。ラーメン店の多くはチャーシュー専用の炉がないため、鍋に醤油やザラメ等の糖を入れて肉を煮る。 元々中国で「滷肉(ルーロウ)」と呼ぶ滷水(継ぎ足して使う醤油ベースの煮液)で煮て作る、煮豚が、日本では具として多用されている。直火焼きしたりフライパンで焼いたりして作る方法もある。トロリとして柔らかくラーメンに良く合う、日持ちが長いため廃棄ロスを回避できる、安価なバラ肉を使用できる、煮汁を出汁タレに流用できるなどの点から、ラーメンの具に好んで用いられている。

日本国内では、ラーメンの具材として使用される豚肉以外の肉を「チャーシュー」と俗に呼ぶ場合もある。例えば、笠岡ラーメンの具材として使用される鶏肉料理品を「鶏チャーシュー」と呼ぶことがある。

山形県長井市では馬肉チャーシューをラーメンに入れ馬肉ラーメンとする店が多い[2]

チャーシューを使う料理[編集]

関連商品[編集]

香港や中国では、家庭でチャーシューを焼くための合わせ調味料「叉焼醤」(チャーシュージャン)も市販されている。

脚注[編集]

  1. ^ A Dissertation upon Roast Pig by Charles Lamb - Free Ebook
  2. ^ 【ご当地 食の旅】馬肉チャーシュー(山形県長井市)馬行き交う舟運の拠点に定着、『日本経済新聞』、土曜朝刊別刷り「NIKKEIプラス1」、2020年7月11日(9面)

参考文献[編集]

  • 陳照炎、趙丕揚、胡烈夫編,『廚師及燒臘師手册』,香港・萬里機構,2003,ISBN 962-14-2342-2
  • 増子保志「日本化する叉焼 : 我が国における叉焼の受容と変容」『国際情報研究』第14巻第1号、日本国際情報学会、2017年、39-49頁、doi:10.11424/gscs.14.1_39ISSN 1884-21782023年6月8日閲覧 

関連項目[編集]