水注

明治時代の水注

水注(すいちゅう、みずつぎ)は、茶道煎茶道または書道で使用される、水をつぎ足すための道具。茶道と煎茶道とでは使われ方が僅かに異なる。 英語で jug(ジャグ)と呼ばれる。

茶道の水注[編集]

水次ぎ」とも言われる。

形状[編集]

茶道の水注は、流派によって多少の差異はあるものの、次の2種に大別される。

  • 水注型
    陶磁器製で胴部後ろに取っ手がある一種のポット状の形である。
  • やかん
    金属製。

使用法[編集]

これまた流派や手前によって異同があるが、お手前の最後のほうで水屋から持ち出し、水指に水をつぎ足すのが主な役割である。

煎茶道の水注[編集]

流派によって「水罐」「水指」「水灌」「水次」「水滴」「注子」などの読み方がある。

形状[編集]

大きく分けて

  • 後手式:胴部の後ろに持ち手が付いた物
  • 上手式(提梁式):やかんのように胴体の上に取っ手が付いた物
    • 割手式:持ち手部のみが2本の金属線の物

に分けられる。但し、金属製の物はほとんどなく、陶磁器製で、華やかな形や絵柄の物が多いようである。

中国渡来の伝世品が珍重されるのは、他の煎茶道具と同様である。

茶道の水注は余りバラエティに富んでないのに対し、煎茶道のそれは「瓜式」「筒式」「四方式」「桃型」など形状は多種多様である。ではもともと酒器だった物を転用したと言われ、目立って派手な物が多い。

使用法[編集]

流派や手前によって異同があるが、

など、手前の中で大きな役割を果たしている。華やかな形状の品が多いのは、登場場面が多く、目立つ道具だからと考えられる。

書道の水注[編集]

をする際にに注ぐ水を入れておくための小さな器。[1]

小さいものを「水滴(すいてき)」、やや大きめのものを「水注(すいちゅう)」、水をすくう匙を備えたものを「水盂(すいう)」と区別して呼ぶことがある。

参考文献[編集]

  • 煎茶文化研究会 編 『煎茶の世界 : しつらいと文化』 雄山閣ISBN 4-639-01424-4
  • 『煎茶の心得』 世界文化社〈お茶人の友 : ビジュアル版〉、ISBN 4-418-06304-8

脚注[編集]

  1. ^ "水滴の美 -潜淵コレクションの精華-". 東京国立博物館. 2015. 2015-12-5時点のオリジナルよりアーカイブ2015-12-30閲覧 {{cite web}}: |archivedate=の日付が不正です。 (説明)

関連項目[編集]