横浜市奈良中学柔道部暴行事件

横浜市奈良中学柔道部暴行事件(よこはましならちゅうがくじゅうどうぶぼうこうじけん)とは、横浜市立奈良中学校2004年に同校柔道部顧問教諭が3年生だった柔道部員の男子生徒を呼び出して、意識がもうろうとしているのにもかかわらず一方的に投げ技絞め技などを繰り返し、脳挫傷とその後遺症として高次脳機能障害を負わせた事件。

概要・経緯[編集]

同教諭は部活を引退した同生徒を呼び出し、大外刈背負投といった大技を連続でかけ続け、その後絞め技をかけて生徒が意識朦朧となっているのにもかかわらず継続し、最後に体落をかけたと報道されている。

生徒は病院に搬送されたが頚椎ねんざ・急性硬膜下血腫と診断され、脳内の静脈切断や前頭葉挫傷なども判明し、頭蓋骨を取り外す手術を行った。術後・退院後も、記憶障害や手の麻痺など高次脳機能障害の後遺症を抱えている(それでも通学していた)と報道されている。

当該教諭は謝罪せず、さらには学校や教委側が隠蔽を行おうとした[1]ことが明らかになっている。 2007年12月、被害者の両親は教諭、市および県に対し約1億8600万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。

2011年12月27日、横浜地裁は教諭に過失があったことを認め、賠償請求についても「公務員が過失で損害を与えた場合は公共団体が責任を負う」として、市と県に対し計約8900万円の支払いを命じた[2]

事件後[編集]

神奈川県警捜査1課は、2007年7月2日に傷害容疑で同教諭を横浜地検書類送検している。同教諭は「(生徒の)態度が悪く矯正しよう思った。躾の一環だった」と供述した。その後2009年10月27日に、この教諭について、同地検は不起訴処分とした。両親は納得せず、検察審査会に審査を申し立てることを表明した[3]

脚注[編集]

  1. ^ 「28年間に中高生114人が死亡」日本の学校柔道で悲惨な事故がなくならない根本原因 柔道大国フランスでは死亡事故ゼロ”. PRESIDENT Online (2021年10月27日). 2021年10月27日閲覧。
  2. ^ 横浜奈良中柔道事故、「行為と傷害に因果関係」市と県に賠償命令/横浜地裁」『カナロコ』神奈川新聞、2011年12月28日。2013年12月27日閲覧。オリジナルの2013年12月27日時点におけるアーカイブ。
  3. ^ 「柔道技で生徒重傷、教諭を不起訴 横浜地検「指導の一環」」『産経新聞』、2009年10月27日。

関連項目[編集]