楚文字

楚文字が刻印された青銅器『鄂君啓金節』(zh:鄂君啟)

楚文字(そもじ)は、古代中国のの文字。中国では始皇帝が中国を支配し、文字統一する以前[1]の上古文字、いわゆる古文に分類される。楚国文字とも呼ばれる。また、多くの文字は簡帛(竹簡木簡帛書の3つ全てを指す)に掲載されて発掘されたために「楚系簡帛文字」とも呼ばれ、または「楚系文字[2]、まれに「楚文」「楚字」[3]とも記載され、英語表記では「Chu Text」[4]「Chu Texts」[5]「Chu script」[6]「Chu character」[3]などと記載される。

概要[編集]

六国、すなわち六国文字中国語版(他の小国含めて戦国文字とも)の一つで、古代中国の春秋戦国時代に使われ、秦による中国統一に伴う文字統一に伴い、駆逐される形で使用減少し、後に消滅したと推測されている。

1950年代以降、長沙楚墓から「五里牌竹簡」が、江陵望山楚墓から「望山竹簡」が、河南信陽長台関楚墓から「信陽竹簡」が、1973年には馬王堆漢墓から膨大な帛書が、1975年には秦墓から「雲夢睡虎地秦簡」などが次々出土した[7]。これらはそれ以前の篆書から隷書に変化する途中との推測がなされている[7]。正確な解読に困難が大きい[8]

解読困難な事例として「虎」も字体が虎を想像するには困難なほどに異なっており、さらにここでの虎は一人称で使う「吾」と同じ使い方をしており[2]、字形の変化と、「虎」を一人称の「吾」と同じく使うなど、文字の使用法そのものが違う。ただし、類似した文字も多く、陝西省文物局は現代の「馬」とよく似た馬の楚文字をホームページ上に公開している[1]

多くの失伝した文章・書物が記載されていると推測され、解読・研究が進められている。

脚注[編集]

  1. ^ a b 陝西古代文明 天下一統 - ウェイバックマシン(2016年12月1日アーカイブ分) 陝西省文物局
  2. ^ a b 文学部のひと東京大学文学部・大学院人文社会系研究科
  3. ^ a b The Writing System of Scribe Zhou: Evidence from Late Pre-imperial Chinese Manuscripts and Inscriptions 5th-3rd Centuries BceHaeree Park
  4. ^ 《郭店楚簡》文字考釋四則 - ウェイバックマシン(2016年12月1日アーカイブ分)旦知識庫 Lawdata 法學搜尋
  5. ^ 「新出楚簡国際学術検討会」参加記 No2 学会の概要大阪大学中国哲学研究室内 中国出土文献研究会
  6. ^ Buried Ideas: Legends of Abdication and Ideal Government in Early Chinese Bamboo-Slip ManuscriptsSarah Allan
  7. ^ a b 横田恭三,「戦国期楚系簡帛文字の変遷 ―字形を中心として―」『書学書道史研究』 1998巻 8号 1998年 p.57-75, doi:10.11166/shogakushodoshi1991.1998.57
  8. ^ 戦国楚系文字資料による漢語史再構のための予備的研究 日本学術振興会 科学研究費助成事業データベースKAKEN

関連項目[編集]

外部リンク[編集]