東京オリンピックスタジアム

国立競技場 > 東京オリンピックスタジアム
東京2020大会メインスタジアムである国立競技場

オリンピックスタジアムは、2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会にてメインスタジアムとなる国立競技場の、大会における名称。開閉会式、陸上トラック・フィールド種目、オリンピックサッカー女子決勝戦、パラリンピックマラソンのスタート・フィニッシュの会場である。

2016年夏季オリンピックの招致では中央区晴海に建設を計画していたが、4年後の再招致にあたり国立競技場を建て替えて使用することとなった。

会場スケジュール[編集]

オリンピックスタジアムでは、2021年7月23日の夜にオリンピックの開会式が催される。7月30日からは8月7日まで陸上トラック・フィールド種目、8日に閉会式となる[1]。パラリンピックは8月24日の開会式から始まり、8月27日から9月4日まで陸上のトラック・フィールド種目、最終日の9月5日朝にマラソン、晩に閉会式が行われる[2]

オリンピック競技[編集]

以下は、スタジアムでオリンピック競技が実施される2021年7月30日から8月7日のスケジュール[1]

予備予選 予選 準決勝 決勝 表彰式
種目\日時 7月30日 7月31日 8月1日 8月2日 8月3日 8月4日 8月5日 8月6日 8月7日
100m 女子
男子
200m 女子
男子
400m 女子
男子
800m 女子
男子
1500m 女子
男子
5000m 女子
男子
10000m 女子
男子
100mハードル 女子
110mハードル 男子
400mハードル 女子
男子
3000m障害 女子
男子
走高跳 女子
男子
棒高跳 女子
男子
走幅跳 女子
男子
三段跳 女子
男子
砲丸投 女子
男子
円盤投 女子
男子
ハンマー投 女子
男子
やり投 女子
男子
七種競技 女子
十種競技 男子
4×100mリレー 女子
男子
4×400mリレー 混合
女子
男子

オリンピックスタジアム計画の変遷[編集]

2016年夏季五輪の招致[編集]

オリンピックスタジアムは会場計画において、都心のヘリテッジゾーンと臨海の東京ベイゾーンとの「結びクラスター」に位置する晴海地区に新設予定だった[3]。建設地は計画時には都所有の公園や広場であり、近くには中央清掃工場晴海トリトンスクエアなどがある。建設費は約1000億円を予定。大会終了後は、スタジアムの観客収容規模が10万人から8万人に縮小され、国際陸上競技連盟クラス1陸上競技場となり、陸上やサッカーなどの国際的な大会が開催可能としていた。

神宮外苑地区の国立競技場は改築して、サッカースタジアムにすることも考えていた[4]

仕様[編集]

  • 所在地:東京都中央区晴海5丁目
  • 選手村からの距離と時間:1.5 km、3分
  • 完成予定年月日:2015.3.31(新設)
  • 施設概要 構造:鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造
  • 階数:地下1階、地上8階
  • 建築面積:90,900 m2 延床面積:196,000 m2
  • 競技施設
    • トラック:1周400mトラック9レーン(全天候型ウレタン舗装)
    • フィールド:107m×68m(天然芝フィールド)
    • フィールド面積:20,500 m2
    • フィールド規格:第1種公認陸上競技場(IAAFクラス1認証)
    • 観客収容人数:常設80,000人、仮設20,000人[5]
  • コンセプト 屋根に太陽光発電パネルが設置され、環境に配慮する計画だった。
  • 外観・内装 外観はスタジアムの外壁には木が植えられて緑化され、東京湾の青色と一体となって、自然と共生するスタジアムを計画していた。内装は、メインの電光掲示板に加え、多くのスクリーンが設置される予定だった。ブルーが基調で、三層の観客席となる予定だった。[3]

2020年大会の国立競技場とは異なり、招致委員会(の安藤忠雄)が作成した基本デザインにて立候補し、もし東京に決定した場合、その後に国際コンペを開くという計画になっていた[6][7]

立地の課題[編集]

晴海(2009年)

スタジアムが建設される晴海地区には鉄道網が全く通っておらず、最寄り駅は橋を渡ったとなりの地区にある都営地下鉄大江戸線勝どき駅である。徒歩では傾斜の大きな橋を渡らなければならないため、交通アクセスが不便である[注 1]。晴海地区は周辺の地区に比べ再開発が遅れていたが、2009年首都高速晴海線が開通し、自動車でのアクセスは比較的便利になった。しかし、大会関係者や観客のほとんどが鉄道などの公共システムを使うため、鉄道の整備が何よりも重要である。

2007年4月には、三方が海に囲まれる晴海は観客の避難路確保に問題があると日本オリンピック委員会(JOC)が懸念しているらしいということや、ランドスケープコンサルタンツ協会などがメインスタジアムを明治神宮外苑地区にすべきとする案を提言していることが、報じられた[8]。しかし、同4月までに霞ヶ丘地区でのオリンピックスタジアム整備は困難との結論に達し、翌5月に招致委員会理事会に諮り晴海地区に建設する計画とすることを決定し、委員会が発表した[9]

森喜朗の2015年の発言によると、「風があるから公認記録に影響する」「羽田空港の空路のせいで放映用の空撮にも支障がある」との国際オリンピック委員会(IOC)の懸念があったという[10]

五輪招致失敗後の展開[編集]

2016年夏季五輪の開催地は2009年10月2日にブラジルリオデジャネイロへ決まり、東京への招致はならなかった。招致活動の先頭に立っていた東京都知事石原慎太郎は、続く2020年夏季オリンピックの招致(2013年に東京開催が決定)に前向きな姿勢を見せたものの、最終決定は2011年4月に自身の任期を引き継ぐ次期都知事の意向に委ねる姿勢を示し、東京オリンピックスタジアムの建設構想も一時沈静化した。

なお、2018年大会または2022年大会FIFAワールドカップ開催を目指す日本には、開催規定の「8万人以上の観客収容能力があるスタジアムが国内に1つあること」という規定を満たすスタジアムが現在日本国内にないため、招致構想では2016年夏季五輪の開催地に東京が選ばれることが前提になっていた。日本サッカー協会犬飼基昭会長は「東京に決まらなければ、W杯の招致は辞退する」と言っていたほどである。また既に日本での開催が決定している2019年ラグビーワールドカップでも、試合会場の候補地の一つとして名前が挙がっていた[11]

結果的に五輪招致が失敗に終わると、日本サッカー協会は招致失敗を惜しみながらもFIFAワールドカップの招致活動を継続した(後に2022年大会招致へ一本化)。東京オリンピックスタジアムの代替となる「8万人スタジアム」としては、大阪市大阪駅北地区の再開発計画で浮上した「大阪エコ・スタジアム」建設が代替案として提起された。2010年12月2日のFIFA理事会で2022年大会はカタール開催が決定し、大阪エコ・スタジアム構想も事実上白紙となった。

2020年夏季五輪の招致[編集]

2011年4月の都知事選挙で、オリンピック招致への再挑戦を掲げた石原は四選を果たし、同年7月16日に2020年夏季五輪の招致を正式に表明した[12]。メインスタジアムは新設ではなく既存の国立競技場を建て替える方向となった。なお晴海地区には2020年東京オリンピック選手村が建設された。

国立競技場前特設スタジオ[編集]

国立競技場前には、取材拠点として特設スタジオが設置された。放送局向けの準備室が、団地のように200区画ほどある。そのうち、150区画ほどは、IOCとの契約で巨額の放送権料を支払う米テレビ局・NBCが使用。日本の放送局ではNHKが15区画ほどを使用、民放5局(TBS日本テレビテレビ朝日テレビ東京フジテレビ)は1区画を共同で使用している[13]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ただし、ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線を晴海を経由して勝どき駅まで延伸する計画は存在する。

出典[編集]

  1. ^ a b “競技日程・スケジュール”. NHK. (2021年3月3日). https://sports.nhk.or.jp/olympic/schedules/ 2021年3月21日閲覧。 
  2. ^ “競技日程・スケジュール”. NHK. (2020年11月20日). https://sports.nhk.or.jp/paralympic/schedules/ 2021年3月23日閲覧。 
  3. ^ a b #page=3 テーマ 9-7 結びクラスター 2009年2月12日にIOCへ提出した立候補ファイル
  4. ^ (3) オリンピックスタジアムの概要 - 2016年オリンピック・パラリンピック競技大会 招致活動報告書 - TOKYO2016_Bid_Report_1_2.pdf 第2章
  5. ^ 18頁 オリンピックスタジアム - 開催概要計画書。2006年の案。
  6. ^ 世界が驚く東京オリンピック 安藤忠雄(建築家・東京大学名誉教授) 日本人に未来への希望をもたせたい - PHPオンライン 衆知 2009年6月15日公開
  7. ^ 2016年オリンピック・パラリンピック競技大会 招致活動報告書 1 新施設建設準備室の発足 PDF
  8. ^ 五輪会場は、「神宮」?! AERA 2007年4月16日 編集部 藤生明
  9. ^ 2 オリンピックスタジアム候補地の決定 (2) 候補地の決定 - 2016年オリンピック・パラリンピック競技大会 招致活動報告書
  10. ^ 森喜朗元首相 「新国立競技場の経緯すべて語ろう」 産経新聞 2015/07/17
  11. ^ 国内開催地は流動的 2019年ラグビーW杯 - msn産経ニュース・2009年7月29日
  12. ^ 石原都知事、2020夏季五輪への立候補を正式に表明 - asahi.com 2011年7月16日
  13. ^ 安住紳一郎が明かす、五輪取材の「過酷な舞台裏」 トイレは男女共同、個室は1つだけ...”. J-CAST ニュース (2021年8月2日). 2021年8月21日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]