朱川湊人

朱川 湊人
誕生 (1963-01-07) 1963年1月7日(61歳)
大阪府
職業 作家, ホラー作家
国籍 日本の旗 日本
最終学歴 慶應義塾大学文学部卒業
活動期間 2002年 -
代表作 『花まんま』(2005年)
主な受賞歴 オール讀物推理小説新人賞(2002年)
直木三十五賞(2005年)
デビュー作 『フクロウ男』(2002年)
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朱川 湊人 (しゅかわ みなと、1963年1月7日[1] - ) は、日本小説家大阪府出身[2]

経歴[編集]

5歳の時に両親が離婚して以降は父と2人の兄と生活を共にし[3][4]、9歳の時に足立区に引っ越す[2]慶應義塾大学文学部卒業[1]

小学生の頃から江戸川乱歩シャーロック・ホームズシリーズなどを読んでいたが、中学生になると太宰治に憧れ、太宰を真似た作品を書き始める[4]。そして高校3年生の時に放送局の公募文芸賞に応募して佳作に入選し、小説家を志す[4]。大学時代も新人賞に応募するなどしていたが[3]、大学卒業後は美術雑誌を発行する出版社に就職する[2][4]。しかし夢を諦めきれず27歳の時に退社[3]。結婚して娘や息子が生まれ[4]、公務員の妻が働き自分は家で小説を書く生活を続けるが[4]、新人賞は落選続きだった[3]。しかし作風を変え、開き直ってホラー作品を執筆したところ[3]2002年に「フクロウ男」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー[2]2003年に「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した[4]

2005年、42歳の時に『花まんま』で直木賞受賞[2][3]

2006年、特撮・アニメ好きがきっかけで『ウルトラマンメビウス』の第32話「怪獣使いの遺産」他2本の脚本を手がけ、後に小説版『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』の執筆を担当した。

作風[編集]

昭和30年代から40年代の下町を舞台とした「ノスタルジックホラー」を得意とする[2]

わくらば日記』の「わくらば」は、著者によると、病葉と書くとイメージが暗くなるので、敢えてひらがなにしたとのこと[要出典]

受賞歴[編集]

著書[編集]

小説[編集]

わくらばシリーズ[編集]

薄紅雪華紋様シリーズ[編集]

  • 鏡の偽乙女 薄紅雪華紋様(2010年8月 集英社 / 2013年8月 集英社文庫)
    • 収録作品:墓場の傘 / 鏡の偽乙女 / 畸談みれいじゃ / 壺中の稲妻 / 夜の夢こそまこと
  • 黒のコスモス少女団 薄紅雪華紋様(2015年10月 集英社)
    • 収録作品:鬼蜘蛛の讃美歌 / 汝、深淵をのぞくとき / 黒のコスモス少女団 / 幽鬼喰らい / 銀座狼々 / 白い薔薇と飛行船

箱庭旅団シリーズ[編集]

  • 箱庭旅団(2012年6月 PHP研究所 / 2015年7月 PHP文芸文庫)
    • 収録作品:旅に出ないか / ミッちゃんなんて、大キライ / オツベルと象と宇宙人 / 暗闇カラス丸 / 一冊図書館 / さきのぞきそば / 秋の雨 / クリスマスの犬 / 『Automatic』のない世界 / 夜歩き地蔵 / 神獣ハヤリスタリ / 藤田クンと高木クン / 黄昏ラッパ / 夕凪のころ / 七号室の秘密 / 月の沙漠
  • 黄昏の旗 箱庭旅団(2013年10月 PHP研究所 / 2016年1月 PHP文芸文庫)
    • 収録作品:再び旅立つ友へ / 誰もゾウにはかなわない / ヴォッコ3710 / 市長選怪文書 / 運命の女、のような。 / 黄昏の旗 / 人間ボート、あるいは水平移動の夜 / 未来人のビストロ / ひとりぼっちのファニカ / 僕のおじさんはヒーロー / 時計のまち / 傷心の竜のための無伴奏バイオリンソナタ / 三十年前の夏休み / アタシたちのステキな家 / カムパネルラの水筒
  • キミの名前 箱庭旅団(2014年12月 PHP研究所/2016年7月 PHP文芸文庫)
    • 収録作品:マミオ、地球を去る / シュシュと空きカバンの住人 / 俺と兄貴が火曜日に / 跨線橋の秋 / クリスマスの呪い / 鬼が来る正月 / よいち異聞 / さよなら、旅行者 / シュシュ、途方に暮れちゃって / バルル原理 / サトミを泣かせるな / 夢見王子 / ボブ論争 / キミの名前ーエピローグ

ノンシリーズ[編集]

  • 都市伝説セピア(2003年9月 文藝春秋 / 2006年4月 文春文庫
    • 収録作品:アイスマン / 昨日公園 / フクロウ男 / 死者恋 / 月の石
  • 白い部屋で月の歌を(2003年11月 角川ホラー文庫
    • 収録作品:白い部屋で月の歌を / 鉄柱(クロガネノミハシラ)
  • さよならの空(2005年3月 角川書店 / 2012年7月 角川文庫)
  • 花まんま(2005年4月 文藝春秋 / 2008年4月 文春文庫)
    • 収録作品:トカビの夜 / 妖精生物 / 摩訶不思議 / 花まんま / 送りん婆 / 凍蝶
  • かたみ歌(2005年8月 新潮社 / 2008年2月 新潮文庫)- 連作短編集
    • 収録作品:紫陽花のころ / 夏の落とし文 / 栞の恋 / おんなごころ / ひかり猫 / 朱鷺色の兆 / 枯葉の天使
  • 赤々煉恋(2006年7月 東京創元社 / 2010年1月 創元推理文庫
    • 収録作品:死体写真師 / レイニー・エレーン / アタシの、いちばん、ほしいもの / 私はフランセス / いつか、静かの海に
  • 水銀虫(2006年9月 集英社 / 2009年8月 集英社文庫
    • 収録作品:枯れ葉の日 / しぐれの日 / はだれの日 / 虎落の日 / 薄氷の日 / 微熱の日 / 病猫の日
  • いっぺんさん(2007年8月 実業之日本社 / 2009年7月 ジョイノベルズ / 2011年2月 文春文庫) - やまさき拓味作画で漫画化
    • 収録作品:いっぺんさん / コドモノクニ / 小さなふしぎ / 逆井水 / 蛇霊憑き / 山から来るもの / 磯幽霊 / 八十八姫
  • スメラギの国(2008年3月 文藝春秋 / 2010年9月 文春文庫)
  • 本日、サービスデー(2009年1月 光文社 / 2011年11月 光文社文庫
    • 収録作品:本日、サービスデー / 東京しあわせクラブ / あおぞら怪談 / 気合入門 / 蒼い岸辺にて
  • あした咲く蕾(2009年8月 文藝春秋 / 2012年3月 文春文庫)
    • 収録作品:あした咲く蕾 / 雨つぶ通信 / カンカン軒怪異譚 / 空のひと / 虹とのら犬 / 湯呑の月 / 花、散ったあと
  • 太陽の村(2010年2月 小学館 / 2012年10月 小学館文庫
  • 銀河に口笛(2010年3月 朝日新聞出版 / 2013年7月 角川文庫)
    • 収録作品:夏の終わりの青 / 秋は夢までも橙 / 紫は冬の夜明け / 春に紅が揺れて / 藍の涙と夏 / 黄色が歌う秋 / 冬の緑、そして虹 / 虹は、いつまでも虹[5]
  • オルゴォル(2010年10月 講談社 / 2013年4月 講談社文庫
  • 遊星ハグルマ装置(2011年6月 日本経済新聞出版社) - 笹公人との共著
  • 満月ケチャップライス(2012年10月 講談社 / 2015年5月 講談社文庫)
  • サクラ秘密基地(2013年3月 文藝春秋 / 2015年9月 文春文庫)
    • 収録作品:サクラ秘密基地 / 飛行物体ルルー / コスモス書簡 / 黄昏アルバム / 月光シスターズ / スズメ鈴松
  • なごり歌(2013年6月 新潮社 / 2015年11月 新潮文庫)[6]
    • 収録作品:遠くの友だち / 秋に来た男 / バタークリームと三億円 / レイラの研究 / ゆうらり飛行機 / 今は寂しい道 / そら色のマリア
  • 月蝕楽園(2014年7月 双葉社 / 2017年8月 双葉文庫
    • 収録作品:みつばち心中 / 噛む金魚 / 夢見た蜥蜴 / 眠れない猿 / 孔雀墜落
  • 冥の水底(2014年10月 講談社 / 2017年11月 講談社文庫【上・下】)
  • 無限のビィ(2015年3月 徳間書店 / 2018年5月 徳間文庫【上・下】)
  • 今日からは、愛のひと(2015年6月 光文社 / 2017年12月 光文社文庫)
  • わたしの宝石(2016年1月 文藝春秋 / 2019年1月 文春文庫)
    • 収録作品:さみしいマフラー / ポコタン・ザ・グレート / マンマル荘の思い出 / ボジョン、愛してる / 想い出のセレナーデ / 彼女の宝石
  • 主夫のトモロー(2016年5月 NHK出版
  • 遊星小説(2016年10月 実業之日本社文庫)
    • 収録作品:夜光虫 / ゴメンナサイネ / 雨の世界 / 不都合な真実 / 蚊帳の外 / 果てしなき森 / 母さんの秘密 / メリィ・クリスマス / 暗号あそび / VALADA・GI / ラビラビ / あなたの、古い友だち / 玉手箱心中 / 赤い月 / 春だったね / ラビラビ、宇宙へ / ニセウルトラマン / 魔術師の天国 / 捕食電柱 / まぼろし観光ツアー / 僕らの移動教室 / 弟と鳥 / 不思議な、あの子 / 不都合な真実Z / パイプのけむり / 傷だらけのジン / 大銀河三秒戦争 / 子供部屋の海 / K氏の財布 / 冬の帰り道 / 秘恋 / ある黄昏に
  • 私の幽霊 ニーチェ女史の常識外事件簿(2016年12月 実業之日本社 / 2019年10月 実業之日本社文庫)
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀(2017年2月 日本経済新聞出版社)
    • 【改題】幸せのプチ(2020年4月 文春文庫)
  • 狐と韃 知らぬ火文庫(2017年8月 光文社 / 2020年12月 光文社文庫)
    • 収録作品:サカズキという女 / 髑髏語り / 射千玉国 / 夜半の客 / 狐と韃 / 蛇よ、来たれ / 塵芥にあらず / 舎利菩薩
  • アンドロメダの猫(2018年9月 双葉社 / 2022年1月 双葉文庫)
  • スズメの事ム所 駆け出し探偵と下町の怪人たち(2019年7月 文藝春秋)
  • 鬼棲むところ 知らぬ火文庫(2020年3月 光文社)
    • 収録作品:鬼一口 / 鬼の乳房 / 鬼、日輪を喰らう / 安義橋秘聞 / 松原の鬼 / 鬼棲むところ / 血舐め茨木 / 蓬萊の黄昏
  • 時間色のリリィ(2021年5月 偕成社
  • 揚羽の夢 知らぬ火文庫(2022年6月 光文社)
    • 収録作品:泡沫草子 / 揚羽の夢 / 鵺と辻風 / 一二三ノ尼御前 / 餓鬼京 / 回天流転 / 波濤の揚羽 / 夢方丈

アンソロジー[編集]

「」内が朱川湊人の作品名

  • ザ・ベストミステリーズ 2004 推理小説年鑑(2004年7月 講談社)「死者恋」
    • 【分冊・改題】犯人たちの部屋 ミステリー傑作選(2007年11月 講談社文庫
  • 異形コレクション29 黒い遊園地(2004年4月 光文社文庫)「よいこのくに」
  • 短篇ベストコレクション 現代の小説2005(2005年6月 徳間文庫)「いっぺんさん」
  • ザ・ベストミステリーズ 2005 推理小説年鑑(2005年7月 講談社)「虚空楽園」
    • 【分冊・改題】隠された鍵 ミステリー傑作選(2008年11月 講談社文庫)
  • 短篇ベストコレクション 現代の小説2006(2006年6月 徳間文庫)「磯幽霊」
  • 午前零時(2007年6月 新潮社)「夜、飛ぶもの」
    • 【分冊・改題】午前零時 P.S.昨日の私へ(2009年12月 新潮文庫)
  • 不思議の足跡(2007年10月 光文社カッパ・ノベルス / 2011年4月 光文社文庫)「東京しあわせクラブ」
  • 本からはじまる物語(2007年12月 メディアパル / 2022年3月 角川文庫)「読書家ロップ」
  • きみが見つける物語 十代のための新名作 友情編(2008年8月 角川文庫)「いっぺんさん」
  • あなたに、大切な香りの記憶はありますか?(2008年10月 文藝春秋 / 2011年10月 文春文庫)「いちば童子」
  • 二十の悪夢 角川ホラー文庫創刊20周年記念アンソロジー(2013年10月 角川ホラー文庫)「生まれて生きて、死んで呪って」
  • 奇想博物館(2013年12月 光文社 / 2017年5月 光文社文庫)「遠い夏の記憶」
  • 憑きびと 「読楽」ホラー小説アンソロジー(2016年2月 徳間文庫)「お正月奇談」
  • 妖し(2019年12月 文春文庫)「フクライ駅から」

エッセイ[編集]

  • 超魔球スッポぬけ!(2007年4月 幻冬舎 / 2010年10月 幻冬舎文庫
  • ミステリーの書き方(2010年11月 幻冬舎 / 2015年10月 幻冬舎文庫)※執筆作法「真ん中でブン投げろっ!」
  • 日本の作家60人 太鼓判!のお取り寄せ(2011年6月 講談社)※エッセイアンソロジー「ヨシカミのハヤシライスの具」
  • 作家の履歴書 21人の人気作家が語るプロになるための方法(2014年2月 KADOKAWA / 2016年4月 角川文庫)※エッセイアンソロジー
  • 直木賞受賞エッセイ集成(2014年4月 文藝春秋)※エッセイアンソロジー「あのカバンの意味を探して」
  • 居心地のいい場所へ 随筆集 あなたの暮らしを教えてください3(2023年5月 暮しの手帖社)※エッセイアンソロジー「ウルトラマンの贈り物」

ノベライズ[編集]

脚本[編集]

メディア・ミックス[編集]

テレビドラマ[編集]

フジテレビ
WOWOW

ラジオドラマ[編集]

映画[編集]

  • 赤々煉恋(2013年12月21日公開、配給:アイエス・フィールド、主演:土屋太鳳、原作:アタシの、いちばん、ほしいもの『赤々煉恋』所収)

脚注[編集]

  1. ^ a b 朱川 湊人”. 会員名簿. 日本推理作家協会. 2016年6月22日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 朱川湊人(インタビュー)「〜足立大好きインタビュー〜 直木賞作家 朱川湊人さん」『足立区』、2012年7月21日http://www.city.adachi.tokyo.jp/miryoku/interview/006.html2016年6月22日閲覧 
  3. ^ a b c d e f 朱川湊人(インタビュアー:鵜飼哲夫)「『主夫のトモロー』 朱川湊人(しゅかわ・みなと)さん」『YOMIURI ONLINE』、2016年6月21日。 オリジナルの2016年6月22日時点におけるアーカイブhttps://archive.is/20160622143217/http://www.yomiuri.co.jp/life/book/raiten/20160613-OYT8T50028.html2017年9月25日閲覧 
  4. ^ a b c d e f g 朱川湊人(インタビュアー:タカザワケンジ)「楽天ブックス 著者インタビュー 朱川湊人」『楽天ブックスhttp://books.rakuten.co.jp/event/book/interview/shukawa_m/2016年6月22日閲覧 
  5. ^ 文庫のみ収録の書き下ろし。5年後を描く最終章となっている。
  6. ^ 舞台は異なるが、『かたみ歌』の続編的作品となっている。

外部リンク[編集]