日本児童文学者協会賞

日本児童文学者協会賞(にほんじどうぶんがくしゃきょうかいしょう)は、社団法人日本児童文学者協会が、児童文学の創作、評論・研究の優れた単行本に対して毎年与える賞。対象作品は、前年の1月から12月に刊行された単行本。前身として1951年から1960年まで9回にわたって雑誌掲載作品も賞の対象とした児童文学者協会児童文学賞があった。ほかに1968年からの日本児童文学者協会新人賞がある。一人で二度受賞することも少なくない。本賞のほか、特別賞が与えられることがあるほかジャンルやグレードにより複数受賞の年もある。

野間児童文芸賞と並び児童文学の代表的な賞であるが、野間児童文芸賞は前年8月から当年7月が対象で年度賞としては唯一のものである。なお、日本児童文学学会による日本児童文学学会賞というのもあり、これは研究に与えられるものである。

該当作がなかった年が2回(1982年、1997年)あったが、年度のベストを決める賞に「該当作なし」はふさわしくないという意見が1997年の折に出て[1]、その後、必ず受賞作を決めている。

受賞作一覧[編集]

児童文学者協会児童文学賞[編集]

(1951年~1960年)

作品 作者 版元・発表誌
第1回 1951年 ラクダイ横丁/あすもおかしい/イツモシズカニ 岡本良雄 「銀河」「日本児童文学」
柿の木のある家 壺井栄 山ノ木書房
第2回 1952年 該当作なし
第3回 1953年 該当作なし
第4回 1954年 該当作なし
第5回 1955年 鉄の町の少年 国分一太郎 新潮社
第6回 1956年 日本の児童文学 菅忠道 大月書店
第7回 1957年 該当作なし
中止 1958年
第8回 1959年 該当作なし
第9回 1960年 該当作なし

日本児童文学者協会賞[編集]

(1961年~)

第1回 - 第10回[編集]

作品 作者 版元
第1回 1961年 山が泣いてる 鈴木実高橋徳義笹原俊雄
槇仙一郎植松要作
理論社
第2回 1962年 キューポラのある街 早船ちよ 弥生書房
第3回 1963年 あり子の記 香山美子 理論社
第4回 1964年 世界児童文学案内(評論・研究) 神宮輝夫 理論社
星の牧場 庄野英二 理論社
第5回 1965年 マアおばさんはネコがすき 稲垣昌子 理論社
埋もれた日本 たかしよいち 牧書店
第6回 1966年 シラカバと少女 那須田稔 実業之日本社
肥後の石工 今西祐行 実業之日本社
第7回 1967年 宿題ひきうけ株式会社 古田足日 理論社
第8回 1968年 ヒョコタンの山羊 長崎源之助 理論社
第9回 1969年 くろ助 来栖良夫 岩崎書店
天文子守唄(辞退) 山中恒 理論社
第10回 1970年 魔神の海 前川康男 講談社

第11回 - 第20回[編集]

作品 作者 出版社
第11回 1971年 さらばハイウェイ 砂田弘 偕成社
第12回 1972年 小さい心の旅 関英雄 偕成社
日本童謡史(評論・研究) 藤田圭雄 あかね書房
第13回 1973年 赤い帆の舟 久保喬 偕成社
でんでんむしの競馬 安藤美紀夫 偕成社
第14回 1974年 ぼんぼん 今江祥智 理論社
花咲か 岩崎京子 偕成社
第15回 1975年 生きることの意味 高史明 筑摩書房
『児童文学論集』第二巻「現代児童文学への問いかけ」(特別賞) 横谷輝 偕成社
第16回 1976年 日本児童文学史年表(評論・研究) 鳥越信 明治書院
植物のうた(詩集) まど・みちお 講談社
第17回 1977年 白赤だすき小〇の旗風 後藤竜二 講談社
石切り山の人びと 竹崎有斐 偕成社
日本児童演劇史(評論・研究) 冨田博之 東京書籍 
第18回 1978年 天の赤馬 斎藤隆介
滝平二郎(画)
岩崎書店
トンネル山の子どもたち 長崎源之助
梶山俊夫(画)
偕成社
第19回 1979年 いないいないばあや 神沢利子 岩波書店
第20回 1980年 私のアンネ=フランク 松谷みよ子
司修(絵)
偕成社

第21回 - 第30回[編集]

作品 作者 出版社
第21回 1981年 七つばなし百万石 かつおきんや 偕成社
昼と夜のあいだ 川村たかし 偕成社
第22回 1982年 該当作なし
第23回 1983年 ひげよ、さらば 上野瞭 理論社
少年たち 後藤竜二 講談社
落穂ひろい(特別賞) 瀬田貞二 福音館書店
第24回 1984年 同級生たち 佐々木赫子 偕成社
第25回 1985年 体験的児童文学史(評論・研究) 関英雄 理論社
子ども闘牛士(特別賞) 竹中郁 理論社
第26回 1986年 昔、そこに森があった 飯田栄彦
太田大八(絵)
理論社
草原 ぼくと子っこ牛の大地 加藤多一
長新太(絵)
あかね書房
第27回 1987年 学校ウサギをつかまえろ 岡田淳 偕成社
街かどの夏休み 木暮正夫 旺文社
第28回 1988年 海のメダカ 皿海達哉
長新太(画)
偕成社
第29回 1989年 新十津川物語(全10巻) 川村たかし 偕成社
京のかざぐるま 吉橋通夫 岩崎書店
第30回 1990年 桂子は風のなかで 宮川ひろ 岩崎書店

第31回 - 第40回[編集]

作品 作者 出版社
第31回 1991年 眠れない子(特別賞) 大石真 講談社
第32回 1992年 カモメの家 山下明生
宇野亜喜良(絵)
理論社
第33回 1993年 亀八 舟崎靖子 偕成社
子どもの本のまなざし(評論・研究) 清水真砂子 宝島社
第34回 1994年 青春航路ふぇにっくす丸 八束澄子 文溪堂
第35回 1995年 お江戸の百太郎乙松、宙に舞う 那須正幹 岩崎書店
第36回 1996年 ギンヤンマ飛ぶ空 北村けんじ 小峰書店
第37回 1997年 該当作なし
第38回 1998年 イグアナくんのおじゃまな毎日 佐藤多佳子 偕成社
第39回 1999年 バッテリーII あさのあつこ 教育画劇
ハテルマシキナ よみがえりの島 波照間(詩集) 桜井信夫 かど創房 
第40回 2000年 闇の守り人 上橋菜穂子 偕成社
トゥインクル 長崎夏海 小峰書店

第41回 - 第50回[編集]

作品 作者 出版社
第41回 2001年 ぬくい山のきつね 最上一平 新日本出版社
第42回 2002年 空ゆく舟 沖井千代子 小峰書店
ぎりぎりトライアングル 花形みつる 講談社
第43回 2003年 ひなこちゃんと歩く道 岡田なおこ 童心社
水底の棺 中川なをみ くもん出版
第44回 2004年 ユウキ 伊藤遊 福音館書店
砂田弘評論集成(特別賞) 砂田弘 てらいんく
第45回 2005年 4つの初めての物語 さとうまきこ ポプラ社
ズッコケ三人組シリーズ(特別賞) 那須正幹 ポプラ社
第46回 2006年 風神秘抄 荻原規子 徳間書店
児童文学のなかの障害者(評論・研究) 長谷川潮 ぶどう社 
第47回 2007年 ハーフ 草野たき ポプラ社
第48回 2008年 そのぬくもりはきえない 岩瀬成子 偕成社
猫町五十四番地(詩集) 間中ケイ子 てらいんく
第49回 2009年 やぶ坂に吹く風 高橋秀雄 小峰書店
第50回 2010年 園芸少年 魚住直子 講談社
風の陰陽師 三田村信行 ポプラ社

第51回 - 第60回[編集]

作品 作者 出版社
第51回 2011年 皿と紙ひこうき 石井睦美 講談社
ヤマトシジミの食卓 吉田道子 くもん出版
第52回 2012年 ヒロシマ 那須正幹 ポプラ社
第53回 2013年 チャーシューの月 村中李衣 小峰書店
第54回 2014年 星(詩集) 武鹿悦子 岩崎書店
第55回 2015年 あひるの手紙 朽木祥 佼成出版社
第56回 2016年 トンヤンクイがやってきた 岡崎ひでたか 新日本出版社
第57回 2017年 なりたて中学生 初級編・中級編・上級編 ひこ・田中 講談社
第58回 2018年 こんぴら狗 今井恭子 くもん出版
第59回 2019年 むこう岸 安田夏菜 講談社
第60回 2020年 アドリブ 佐藤まどか あすなろ書房

第61回 - 第70回[編集]

作品 作者 出版社
第61回 2021年 拝啓パンクスノットデッドさま 石川宏千花 くもん出版
万葉と令和をつなぐアキアカネ 山口進 岩崎書店
第62回 2022年 夜叉神川 安東みきえ 講談社
オイモはときどきいなくなる 田中哲弥 福音館書店
第63回 2023年 マスク越しのおはよう 山本悦子 講談社

参照[編集]

  1. ^ 『日本児童文学』1997年8月号

関連項目[編集]

外部リンク[編集]