新房昭之

しんぼう あきゆき
新房 昭之
本名 同じ
別名義 帆村壮二[1]、椎谷太志
Magica Quartet(虚淵玄蒼樹うめシャフトとの共有筆名)[2]
生年月日 (1961-09-27) 1961年9月27日(62歳)
出生地 日本の旗 日本福島県伊達郡桑折町
血液型 O型
職業 アニメ監督シリーズ構成演出家
主な作品
さよなら絶望先生』シリーズ
化物語』シリーズ
魔法少女まどか☆マギカ
 
受賞
日本アカデミー賞
優秀アニメーション作品賞
2013年劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語
2016年打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?
その他の賞
2011年 ニュータイプアニメアワード 監督賞
第11回 東京アニメアワード 個人部門監督賞
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新房 昭之(しんぼう あきゆき、1961年9月27日 - )は、日本アニメ監督アニメ演出家、元アニメーター作画監督福島県伊達郡桑折町出身。血液型O型。別名義として「帆村壮二」「椎谷太志」「Magica Quartet」などがある。

作風[編集]

構成作家としては、原作のあるアニメを手掛ける際には「原作者の言いたい事柄は原作者にしか分からない」「原作者が考えていることをそのままアニメにするのではなくて、あくまでも原作のファンが見たいと思えるようなアニメを作る」「原作者がファンの為に直々に作った様な構成にする」という考えから原作者を脚本会議に同伴させることを心がけている[3][4]。映像作家としては、

  • 奥行きのない平面構成を基本としたレイアウト
  • 赤や黒を基調とし極端にコントラストをつけた奇抜な色遣い
  • カットごとのアスペクト比の変形
  • あおり構図
  • 十字架やステンドグラス・石像などのシンボリックな小物
  • 文字カット・実写・色ベタの挿入
  • 人物とカメラの間に斜めの画面、光のハレーション、カメラと人物の間に机などを配置
  • 作画による細かいカメラワーク

を特徴とする。 また、『月詠 -MOON PHASE-』前後の作品からは、

  • 作画の動きより細かいカット割りを重視した編集
  • 実制作は主に自身の信頼のおけるスタッフに任せ、新房自身は絵コンテチェックや修正を中心に行う

を特徴とする。これはスケジュールの都合でレイアウトの修正に手を回すことができない作画監督への配慮であり、「他の人がもっと面白いことをやってくれるのではないか」という期待からなる方針である。意識的に上記の作風を利用し始めたのは「『月詠 -MOON PHASE-』を制作した時から」とのこと[3][5]

演出手法は、「随所に細かいネタを仕込む独特なもの」であるとされる[6]

シャフト作品においてはキャラクターが独特の角度で首を傾ける演出が多く見られる。この演出は、ファンから「シャフ度」と呼ばれている[7]。始めた理由として「男性が現実で『ジョジョの奇妙な冒険』『北斗の拳』等のアクション漫画にある様なポーズをしながら振り向くとあの角度になる。女性は意外と真っ直ぐに物を見ていなくて、頭が傾いていたり相手に目線を合わせていない事が多い。それをリアルに表現したい」「キャラクターが棒立ちになるのが嫌で、普通に立っている画から外したい」と話している[8]

スタッフのアイデアを入れていったものでそんなに自分の手を入れていないとしつつも、『ぱにぽにだっしゅ!』をTVシリーズにおける自分の代表作としている[9]

来歴[編集]

東京デザイナー学院(現東京ネットウエイブ)卒業後、制作会社を経て、アニメーターとしてスタジオとめに入社。同期に山下将仁などがいた。友人であった漫画家高橋和希と共にスタジオワンパターンへ遊びに来て、以後参加するようになる[10]。一時期カナメプロダクションにも在籍していた[3]

1990年の『からくり剣豪伝ムサシロード』第4話「リョーマは一人風の中だス」で初の演出を手掛け、『幽☆遊☆白書』や『NINKU -忍空-』など、スタジオぴえろ(現・ぴえろ)作品で演出を担当。『幽☆遊☆白書』第58話「究極奥義!ほえろ黒龍波」と第74話「テリトリーを打ちやぶれ!!」は一部のアニメ関係者から一目置かれていたらしく[11]、日本ビクター(現・フライングドッグ)のプロデューサー尾留川宏之が偶然にも第74話を観て彼の演出に惚れ込み、1994年の『メタルファイター♥MIKU』で監督の依頼をされる[11]。これが彼の監督デビュー作である。その後、しばらくはテレビアニメシリーズの監督業からは遠ざかり、『新・破裏拳ポリマー』・『てなもんやボイジャーズ』などのOVA作品を中心に手掛けていた。『それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』はOVAシリーズ・テレビアニメシリーズ共に監督として手掛けている。

2004年に『コゼットの肖像』、『魔法少女リリカルなのは』、『月詠 -MOON PHASE-』の3作品を一挙に発表。2005年以降はシャフトを制作拠点としており、同社制作作品を中心とした活動を行っている。自身の監督した作品が1クールに2作品放送されることも多い。

2011年、『魔法少女まどか☆マギカ』で『文化庁メディア芸術祭アニメーション部門』大賞を受賞し、2015年の『SUGOI JAPAN Award』でもグランプリを受賞。『ニュータイプアニメアワード2011』では監督賞を受賞し、2012年『東京アニメアワード2012』でも監督賞を受賞した。

人物像[編集]

映画監督である市川崑のファンであり[12]、『てなもんやボイジャーズ』のエンディングテーマに市川監修のTVドラマ『木枯し紋次郎』の主題歌「だれかが風の中で」のカバー曲(作詞は市川夫人の和田夏十)を使用したり、『俗・さよなら絶望先生』第11話「黒い十二人の絶望少女/今月今夜この月が僕の涙で曇りますように」では『犬神家の一族』や『黒い十人の女』といった市川作品のパロディが登場したりするなど、新房作品の随所に市川作品に対するオマージュが見られる。

魔法少女まどか☆マギカ』での音楽はダリオ・アルジェントの『サスペリア』を意識していると発言。邦画では構図が特徴的な作品を好む傾向があるとしている[13]

自身の根底には『デビルマン』があるとし「自分たちの世代は『デビルマン』の世界からなかなか離れられない。不動明飛鳥了の関係に持っていきたくなるんです。」と語っている[14]

小黒祐一郎によると、「のんびりした方で、作られる作品とは随分と印象が違う。それと、彼はちょっとシャイなところがあって、雑誌などに写真が載るのが嫌なのだそうだ。」とのこと[15]

主な参加作品[編集]

テレビアニメ[編集]

監督[編集]

1994年
1999年
2001年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2018年
2019年
2021年

その他[編集]

1985年
1989年
1990年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1998年
2007年
2008年
2008年
2020年

劇場アニメ[編集]

1985年
1991年
1995年
2011年
2012年
2013年
2016年
2017年
2024年

OVA[編集]

監督[編集]

1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2003年
2004年
2006年
2008年
2009年
2011年
2013年
2015年
  • ニセコイ(-2015年、総監督)※シリーズ構成も兼任
2016年

その他[編集]

1988年
1989年
1991年
1992年
1993年
1995年
1996年
1997年
2002年

ゲーム[編集]

その他[編集]

参考書籍[編集]

  • 新房, 新房 (2012). 新房語. 一迅社. ISBN 978-4758012591 

脚注[編集]

  1. ^ シャフトの公式Twitterアカウント上で、クレジットでは帆村壮二名義だった絵コンテが「新房氏の絵コンテ」として紹介されている。Twitter / @shaft_official”. twitter. 2015年9月20日閲覧。
  2. ^ “アニメ質問状:「魔法少女まどか☆マギカ」 新たな切り口の魔法少女に「賭けでした」”. まんたんウェブ (毎日新聞デジタル). (2011年4月21日). オリジナルの2011年4月24日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110424114740/http://mantan-web.jp/2011/04/21/20110418dog00m200052000c.html 
  3. ^ a b c 洋泉社刊 「別冊オトナアニメ シャフト超全集!!」より。
  4. ^ 一迅社刊 「Febri」Vol.23より。
  5. ^ 2011年11月11日発売「月刊アニメスタイル」第4号より。
  6. ^ 福田淳「注目ワード 魔法少女まどか☆マギカ」『読売新聞』2011年3月2日付け夕刊、7面。
  7. ^ 2013年7月5日放送の『めざましテレビ』でこの演出についての説明の際に「シャフト角度」のクレジットと共に映され、2013年9月6日放送の『めざましテレビ』で『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』が紹介された際にも鹿目まどか役の悠木碧がこの演出で振り向く姿が「シャフ度」のクレジットと共に映された。
  8. ^ 2014年4月30日発売アニメスタイル第005号より。
  9. ^ 『新房語』p.52, p.177
  10. ^ WEBアニメスタイル_アニメの作画を語ろう「animator interview 山下将仁(1)」
  11. ^ a b WEBアニメスタイル COLUMN「アニメ様の七転八倒 小黒祐一郎 第6回 作家・新房昭之の本領発揮」
  12. ^ さよなら絶望放送』第32回(2008年4月8日放送)より。
  13. ^ 洋泉社『アニメクリエイターの選んだ至高の映画』より。
  14. ^ 芳文社「まんがタイムきらら☆マギカ」 vol.12 2014年 03月号 新房昭之監督インタビューより。
  15. ^ WEBアニメスタイル_COLUMN
  16. ^ The Soul Taker 〜魂狩〜 : 作品情報”. アニメハック. 2020年12月3日閲覧。
  17. ^ 魔法少女リリカルなのは :作品情報”. アニメハック. 2020年6月7日閲覧。
  18. ^ テレビ東京・あにてれ 月詠(つくよみ)-MOON PHASE-”. テレビ東京. 2020年4月11日閲覧。
  19. ^ さよなら絶望先生 : 作品情報”. アニメハック. 2020年10月16日閲覧。
  20. ^ ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド : 作品情報 : 作品情報”. アニメハック. 2020年9月19日閲覧。
  21. ^ それでも町は廻っている : 作品情報”. アニメハック. 2020年4月18日閲覧。
  22. ^ ささみさん@がんばらない: 作品情報”. アニメハック. 2020年8月26日閲覧。
  23. ^ 3月のライオン”. アニメハック. 2020年7月30日閲覧。
  24. ^ https://twitter.com/kozuma_/status/1249304403879682050
  25. ^ 「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉」公式サイト”. 2023年9月10日閲覧。
  26. ^ 新房 2012, p. 225.
  27. ^ 新房 2012, p. 229.
  28. ^ アニメージュ 2005年5月 Vol. 320

関連項目[編集]

外部リンク[編集]